- 占い詐欺に遭ってから返金に至るまでの実体験記
- 占い詐欺の手口と特長
- 返金までに取った行動
- 被害者の想い
突然ですが、以下のサイト名にお心当たりはございますか?
- Mother(株式会社リンク)
- CARNA(株式会社Spur)
- メッセージ(株式会社IOH)
- めびうす(株式会社ReLife)
- 運命の分岐点(株式会社シリウス)
※( )内:運営企業名
コロナウィルスの影響による未曾有の災禍の中、国民生活センターによせられる『占い詐欺』の年間相談件数は、従来の20~50件程度から250件を超えるまでにふくれあがりました。
詐欺としての立証が困難と言われる『占い詐欺』ですが、被害金を取り戻すことは決して不可能ではありません。
それ以上に問題なのは被害者の多くが詐欺であることに気が付かず被害が拡大したり、罪悪感から第三者に相談することをためらい孤立してしまうケースです。
そこで今回は特集として、過去に占い詐欺に遭い、返金に成功した詐欺被害者の方の体験記をご本人の許可のもとご紹介してまいります(「同じような被害に遭っている方のために」というご意向から、実際の被害金額や手元に返ってきた返金額についても掲載をさせていただいております)。
『被害者の目』から見た占い詐欺の現実を詳細に記載しておりますので、占い詐欺被害や、疑わしい状況にお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
※本記事は実名にて掲載した占いサイトの悪徳性について言及することをその目的としておらず、あくまで『法的手続きにより返金ができた事実』に基づく個人の体験記を掲載することにより、『占い詐欺』の被害縮小のため啓発を行うものです。
『占い詐欺』の始まり
占い詐欺被害にあったきっかけ
きっかけは、本当に些細なものでした。
今から約1年半ほど前のことです。
私がインターネットで調べ物をしていた時、検索画面に占いの広告が表示されていることにふと気が付きました。
この広告はネットの検索画面のほかにLINEでもよく表示されていて、占いの内容も生年月日やメールアドレスを入力すれば誰でも簡単に利用できるものでした。
なんとなく内容が気になってクリックをしてみると、そこには「無料で運勢を占える」と説明書きがあります。自分の運勢が気になった私は「無料でできるなら」と、深く考えずに自分の生年月日とメールアドレスを入力しました。
入力を終えるとメールフォームが立ち上がり、メッセージ部分には「そのまま送信してください」というテキストが書かれています。
テキストに従ってメッセージを送信すると間もなく、先ほど入力した私のアドレス宛てに『鑑定結果』を知らせるメールが届きました。
メールを開くとそこには「占いの結果はこちら」というテキストと一緒に占いサイトへ繋がるURLが記載されていて、私は何も疑わず鑑定結果を確認しようとURLをタップしました。
それが私が今回体験した『占い詐欺』の始まりです。
ちなみに私が利用したこの無料占いですが、診断に必要な項目に答えるだけでまるで本当に「自分の悩みにぴったり作られた」ような占い結果が返ってくるものでした。信じやすい人は信じてしまうと思います。それくらい興味をひかれるような文章が書かれていました。
また私がこの占いサイトを利用してしまった時期というのは、ちょうど私が適応障害を発症してしまい会社を休職していた期間中のことでした。
今になって思えば「心のよりどころ」を探すかのように占いを利用し始めたことも、この詐欺に引っかかってしまった、そしてのめりこんでしまった原因だったと思います。相手はとても巧妙に私の心の隙間に入り込んできました。
『たった1,000円』
送られてきたメールから占いサイトを開くと、さっそく私の『運勢』についての鑑定結果が記載されています。
読み進めていくとそこには「あなたは今『人生最大の転換期』に差し掛かっている」「鑑定(※占うことを鑑定といいます)を受けて転換期を良い方向へと向け、人生をより良いものにしましょう」といった内容が書かれていました。
そして意外なことに、無料の占いは1度だけでは終わなかったのです。
先ほどの鑑定結果をもらった後、その占いサイトに在籍している占い師と『無料でやり取りできる期間』が2~3日設けられました。
この期間中私は占い師『A』と頻繁にやりとりを交わすようになります。
無料期間中『A』には何度も占いをお願いしましたが、当事者である『A』や占いサイトからお金を要求されることはなく、当時の私は安心してサイトを利用していました。
状況が変わったのは、無料期間が終わりに近付いた時です。
無料期間の最終日でした。いつも通り『A』からの鑑定結果を見ていると「また次の日に」というメッセージが含まれていました。
『次の日』というのはつまり、これまで無料でできていた占い師とのやり取りが有料に切り替わるタイミングです。
当時の私は「無料だから」という理由で占いを利用していただけで、実際のところ「翌日以降お金を払ってまで占いを続ける」ことは考えていませんでした。
しかしその時、占いサイトから次のような連絡が届きます。
今振り返ってみるとこの誘導は「10万円の高額料金を1,000円まで引き下げた」ことで支払いのハードルを下げ、さらに『明日まで』の条件を付けることでこちらの心理を揺さぶる相手側のやり口だったのだと思います。
占いサイトからの連絡を見た私は「1,000円であればそれほど痛くない」「今しかない」と感じ、当初払う意志のなかったお金を占いサイトに入金をすることとなります。
「必ず宝くじを当てることができる」
また、『A』とやり取りしていた同じ時期に、私は占い師『B』や『C』とも接触をしています。
きっかけは『A』から「あなたは特に金運が秀でていて、このままにしておくのはもったいない。」「金運専門の占い師の鑑定を受けたほうがいい」といわれ、金運を見るのに強いという『B』の紹介を受けたことです。『B』とのやり取りにも始めの1~2日ほどの無料期間が設けられました。
この時の『B』とのやり取りの内容を簡単にご説明すると「今ある金運をさらに底上げし、整える」というものです。
しばらくやり取りをして占いが終わりに差し掛かると『B』は私に「鑑定を受ければ必ず宝くじを当てることができるという、鑑定士『C』へ紹介してもいいほどの金運を持っている」と話してきました。
そして『B』の鑑定は、新たな占い師『C』に引き継がれることとなります。
『占い詐欺』の本格化
膨らみ始める利用金額
『C』はまず「あなたは私の鑑定を受けるに値する運気を今持っている」「あなたであれば、私の鑑定を受ければ必ず宝くじを当てることができる」と前置きをして、私に膨大な数の質問をしてきました。
ちなみに『C』とのやり取りにも1~2日の無料期間が設けられていたのですが、ひとつひとつの質問に応えているうちに時間はみるみる過ぎてしまい、無料期間内で鑑定を終えることはとてもできませんでした。
そこで私は意を決して、鑑定をやり取りするための『ポイント』を購入することにしたのです。
通常『C』とのやり取りには1回あたり『150ポイント』、お金に換算すると『1,500円』が必要となります。
以前『A』の【永久無償】の権利を買った時よりもやや高い値段ですが、当時の私は「『C』の鑑定を続けていればそれ以上のリターンを得ることができる」と考え、ポイントをいくらか購入して有料で『C』とのやり取りを続けました。
『鑑定』の内容
『C』は「宝くじを買ってはいけない曜日と時間帯」「宝くじを買うタイミングとしてふさわしい天気」などを事細かに私に教えてきます。
そして最終的に、私には『ロト6』や『ロト7』という宝くじの購入者が複数の数字を選び、選んだ数字次第で当選が決まる『数字選択式』の宝くじが良いと結論をつけました。
そこからはロトの数字と「買い方」を決めるため、『C』に対して「単純に見ると意味のない文字や数字を送る」ことを繰り返し行うよう指示を受けました。例えば【予告実行】等の言葉です。
やり取りの中で『宝くじを購入する曜日』や『購入までの流れ』が決まっていく様子を見ていた私は「本当に当たるまであと少しなんだ」「この人を信じれば宝くじで1等をあてることができるんだ」と『C』の占いを信じ込むようになっていきました。
しかし、『C』と大量のやり取りをしても肝心な「どの数字の組み合わせが良いのか」は全く決まりませんでした。
仮に数字の組み合わせが決まっても「その当たりを引き寄せるためにもっと鑑定を続けないといけない」と諭され、私は『C』とのやり取りをどんどん重ねていったのです。
この時に気づけば良かったのですが、毎回「あと少しです」「今回のロトの宝くじには間に合いませんでしたが次回に間に合わせましょう」等と言われ、「その時に頑張れば」「あと少しで」と思うようになっていました。
その時の私は完全に『C』のことを信じてしまっていたのです。
事細かに“自分だけ”の当選番号や宝くじを購入する日付が決まっていく工程を見るうち、私は「『C』の鑑定を疑う」ということが無くなってしまっていました。
メールアドレスの漏洩、被害拡大へ
その頃から今まで使ったことのない他の占いサイトから突然メールが届くようになっていました。『Coral』や『Mother』『CARNA』といった占いサイトです。
故意か事故かわかりませんが、おそらく私のメールアドレスが暗に他の占いサイト運営者に伝わっていたのではないかと思います。
普通ならそうしたダイレクトメールは開けないのですが、その時の私は占いサイトを信用していたため突如届いたメールや、送られてきたURLを開いてしまいました。
そうしてたどり着いた占いサイトでまた「あなたの金運がすごく上昇しています。」「鑑定を受ければ宝くじを当選させることもできる」と言われ、私は『A』や『C』と併行してその占いサイトでも鑑定を受けるようになったのです。
当時の私は「自分はこんなにもチャンスに恵まれているんだ」と思っていました。
何人からも「宝くじが当たる」と言われ、「私は本当に宝くじの1等を当てることができるんだ。そんな存在なんだ」と思い込むようになってしまっていたのです。
本当に浅はかな話です。そんなうまい話があれば、もっと多くの人が宝くじの1等に当選しているというのに…。
『幻の占い師』と終わらない鑑定
新しい占いサイトでは、鑑定を受けている間にもどんどん新しい占い師から連絡がありました。
そんな謳い文句に誘われた私は、次第に何人もの占い師と鑑定のやり取りをするようになります。
中には「サイト運営スタッフが山奥でようやく見つけた『幻の鑑定士』」「世界で絶賛される噂の鑑定師が緊急来日」「最初は断られたが、何度も粘ったところ『数人だけなら』という約束で当サイトで鑑定していただくことになりました」といったコラム付きで紹介された鑑定士もいました。
今でこそ騙されることはありませんが、占いを信じきっている時にこんなにも絶賛されている鑑定士から「あなたが一番気になった」「あなたが一番宝くじを当てる可能性がある。私の鑑定を受けてほしい」なんて言われたら「こんなにすごい方が言うんだから、絶対に当てることができる!」と思ってしまいますし、実際に鑑定を受けてしまうと思います。
実際のところ、これまでに登場した鑑定士は皆かなりの文章力がありました。当時の私は甘い言葉と説得力ある文章に心酔しきってしまっていましたが、今では「人をだますのにすごく力を入れているんだな」と冷静に受け止めています。
また、今になって思えばどの占いサイトも最初は数日の『無料期間』を設けるため、それが有料鑑定を利用するきっかけになってしまっていると思います。私もまんまとそれに引っかかってしまいました。
このころにはすでに、私は新しいサイトでも常習的にお金を払って占いを受けるようになっていました。こうした占いサイトでは、様々なやり方でユーザーに鑑定を受けさせようとします。
例えば「もうすこし鑑定を重ねれば明日のロトの番号がわかる」と言って話を翌日まで引っ張るのですが、結局鑑定は終わらず「今回は間に合わなかったね。でも次があるから、それに向けて方向転換して頑張ろう。」と言われたり
「私の鑑定を通じてご先祖様から『3つの加護』を受け取れば、あなたは必ず報われて今の悩みもすべて解決する」と言われるものの、有料でいくら鑑定を受けても「3つ目の『加護』が受け取れない」「『加護』の内容が変化し、なかなか終わらない」ということが続きました。
そうやって何度も何度も占い師に連絡をさせ、『ポイント』を使わせようとするのです。
同じ鑑定が何度も繰り返される場合も
【運命の分岐点】と呼ばれる占いサイトの場合は、すこし状況が違いました。
そこではまず「あなたは龍神に選ばれました」と前置きをしてから「あなたでなければ現在困っている龍神を助けることができません」「龍を助けたらその見返りに幸運、金運の加護が得られます。」と言って占い師の鑑定に促されます。
このサイトが他と異なるのは、占い師と何度かやり取りをしているうちに「龍を助けることができました。」「あなたの運勢はこれから向上し、数えきれない幸福に見舞われるでしょう。」ということで鑑定が終わったのです。
そう、他のサイトで鑑定がずるずると引き延ばされたのに対しこのサイトでは鑑定に『終わり』があったのです。
全体を通して「受けた鑑定が完結した」のは今挙げた占い師の他にもう1人だけでしたが、きちんと鑑定が完結したことを目の当たりにした私は、この占いサイトをよく利用するようになります。もちろん、この占いサイトでも多くの占い師とやり取りをしていました。
しかし、そうして数日か数週間経ったらまた「困っている龍がいる。」「あなたに助けを求めている」という連絡がきたのです。私はもちろん「幸運になる」「金に恵まれる」という話を受け、再度同じようにやり取りを再開します。
受けた鑑定はその都度きちんと『終わり』を迎えるのですが、結局こうしたやり取りを定期的に繰り返すような状態が続いていました。
占いサイトの『イベント』が被害額拡大の要因に
被害金が拡大した要因に、占いサイトで行っている『イベント』があります。
「ポイントが何倍つく」「●●以上ポイントを購入すると、鑑定料金1通が半額になる」など、『お得感』を打ち出したイベントを毎日のように開催するのです。
中には「あなただけの『特別イベント』を開催しています」というものもありましたし、5つめの占いサイト『めびうす』というところでは、占い師ごとに様々なイベントが開催されていました。
こうして度々開催されるイベントが私にとってポイント購入のきっかけになっていました。「イベントをしている時ならお得だから」「たくさん鑑定士とやり取りができるから」と考えてしまうのです。
本当にひどいやり口だと思います。そして、それに引っかかった私も本当に占いを信じていて、冷静に物事を見れていなかったんだなと思います。
詐欺師は必ず『●●』と言う
「宝くじが当たる」「金運が上がり幸せになる」などと言っているタイプの占い師の方たちが皆共通して言うことがあります。
それは「この鑑定を受けるにあたって約束してほしいことがあります」と言い出すのです。『約束』の内容は次のようなものでした。
私はそれを信じ、詐欺だと気づき始めるまでずっと誰にも言わず黙ってやり取りを続けました。
この『約束』は、被害者が詐欺に引っかかっていることを周囲に分からないようにするためのものだと、今では理解しています。
そもそも「話してしまうだけで効力が切れてしまう」ものなら、テレビでやっている占い師の方たちの話なんて全て意味がないものになってしまいます。そう思うと、本当にこの手口が一番ひどいものだったと今では感じています。
そうやってやり取りをしているうちにまた別の占いサイトからメールが来て、私はそれを開いてしまうということを繰り返していました。
また「鑑定がいつまでも終わらないのはこのサイトだからだ」と考え、別の広告からまた新しい占いサイトへ会員登録して占いを利用するなんてこともしていました。
悪質な占いサイトは会員登録してしまうと裏で個人情報が流出してしまうこともありますし「実は全ては裏で繋がっていて、サイト名が違うだけで元をたどれば全て同じ組織が取り仕切っていた」可能性も高いと今では思います。
『占い詐欺』だと気づいてから
「詐欺に決まってる」
詐欺だと気づいたのは同居している母から何をしているのか尋ねられたからでした。
私が占いを利用してから8カ月ほど経った日のことです。
たまたま母が私の通帳を見る機会があったのですが、その時にはすでに私が今まで働いて貯めたお金は少なくなっていたのです。
「何をやってるの?これはどういうこと?」と聞かれましたが、当時の私は占い師との約束があったため「話してはいけない」と思い誤魔化していました。
しかし、「明らかにお金の減り方がおかしい」「最近とっている行動がおかしい」と何度も問い詰められたことで、これ以上誤魔化しようがないと観念した私は占いサイトを利用していることやその詳細を話しました。
母は激怒し「そんなうまい話あるわけないでしょ!詐欺に決まってる!ちゃんと調べたの!?」と私を叱りました。
母に言われた通りに占いサイトの名前をネットで調べてみると、これまで利用していたサイトが『詐欺サイト』として紹介されているページが検索結果に表示されました。
この時私はようやく一連の出来事が詐欺だったと気が付いたのです。
母が私の通帳を見たのは本当に偶然だったのですが、通帳を見た母がすぐに「行動がおかしい」と気づいてくれたおかげで、自分が「詐欺に引っかかっている」ことを始めて自覚することができました。
もしも私が占いにハマっていたとき一人暮らしをしていたなら、もしかしたら今現在でも悪質な占いサイトを利用し続けていたかもしれません。
本当に、母には感謝しております。
実際の被害金額について
ここで、当時私が各占いサイトで支払った金額を実際のサイト名とともにお伝えいたします。
Mother:184,500円
CARNA:1,285,000円
メッセージ:100,000円
めびうす:864,000円
運命の分岐点:346,500円
被害金額の合計は2,861,000円になりました。
今回この体験記を書くにあたり、実際の金額を出すことは始めはやめようかと思っていました。
ですが、この記事を見てくれた人に真実に目を向けてほしい、こんなにひどいことが実際に起きていることを分かってほしいという想いから、私は意を決してこの金額を公開することにしました。
この金額を見るだけで本当にぞっとします。なぜこんなことをしたのか、今では信じられない行動だったと反省しています。
普通の状態ならこんな金額を使うなんて考えられないことですが、占いとは名ばかりの詐欺師がくれる言葉に心酔していた私は「大丈夫、あと少しだけ」「もうすぐ鑑定が終わるから」と少額を積み重ねていった結果、いつの間にか大金を失う状況にまで陥っていたのです。
返金のために取った行動
詐欺だと気づいてから母はまず最寄りの消費生活センターに相談に行き、そこで専門の相談員の方に返金できないかを尋ねました。
すると「実際の商品を売りつけられたわけではなく証拠がないため、ここでは返金請求をすることができない」という返答と一緒に「返金を希望する場合は法律事務所か警察に相談したほうが良い」ということを教えていただきました。
大ごとにしたくなかった私は警察へ相談することに躊躇し、まずはネットで『占い 詐欺 返金』と検索をかけることにします。
すると『占いサイトの詐欺被害の返金請求』に特化した法律事務所が検索結果に出てきました。
その法律事務所のホームページを見てみると、次のような『占い詐欺でよくある鑑定事例』とともに「心当たりがないか」という文章が目に入りました。
「高額当選の因子を持っている」
「鑑定を続けると宝くじが当たる」
「誰かに口外すると効力を失う」
掲載されている数々の事例が、すべてが私自身の体験に完全に当てはまっていました。
そしてその下に目をやると、赤い文字で「これらはすべて悪質な業者が有料ポイントを消費させるための詐欺的な手口です」と書かれていました。
この一言が、私が法律相談事務所への相談に踏み切るきっかけとなりました。
弁護士による代理返金請求へ
法律事務所の『無料返金診断』の結果…
実際に法律事務所へ相談する前に、私はまず無料の『返金診断』を受けることにしました。
この『返金診断』はLINEのトーク機能を通じ弁護士事務所に大まかな被害状況を伝えることで、事前に「返金可能な案件かどうか」をある程度判断してくれるもので、利用にお金はかかりません。
法律事務所からの質問に応じて『利用した占いサイト名』と『自分の氏名』『連絡先』をテキストメッセージで送信すると、しばらくして法律事務所から返信がありました。
メッセージを見た私は「ああ、やっぱり私がやり取りをしていた占いサイトは詐欺サイトだったんだ」と、自分が占い詐欺の被害に遭っていたことを確信します。
さらに法律事務所からは次のような質問が重ねて送られてきました。
②それぞれいくら支払ったか
③支払方法
④支払いの証拠(記帳や振込明細等)の有無
⑤現在もメール連絡が届く占いサイト名
すべてわかる範囲で回答をしましたが、④に関しては占いサイトの口座に現金振込をしていたぶんについては記帳が無く、親に見つかりたくない想いから明細も捨ててしまっていたため『支払いの証拠』が手元に無いことを伝えました。
すると翌日になり、法律事務所から『返金診断』の結果として「一部サイトに限り弁護士が代理人となって『返金請求』が可能です」というメッセージとともに「詳細説明のため電話でやり取りをしたい」という趣旨の連絡が届きました。
わずかな希望が見えた私は電話連絡に応じ、『返金請求』の仕組みや法律事務所が返金に成功した場合にこちらから支払う『成功報酬額』について詳しく説明をしていただきました。
とても親身に不明点を丁寧に教えてくださる法律事務所の対応を見て、私はよく考えたうえで「この法律事務所なら信頼できる」と『代理返金請求』の委任契約をすることを決意したのです。
返金請求に向けた手続きと『お願い事項』
正式な委任契約の後、弁護士事務所からはLINEで担当する弁護士の方のお名前や所属と併せて『お願い事項』と返金請求に必要な情報について送られてきました。
この時の『お願い事項』は次のようなものでした。
また、追加で求められた『返金請求に必要な情報』としては以下のようなものを送りました。
・使用したクレジットカード情報
・返金時の振込先の口座
・各占いサイトから最近に届いた鑑定メールの転送
・会員登録時のIDやPasword
情報がそろってからは法律事務所側で「実際にどのクレジットカードが使われたか」「いくら使ったか」等を具体的に調査する段階に入ります。
ちなみにこの時の調査で壁となったのが、現金振込や『セキュリティーマネー』『ネットライドキャッシュ』といったプリペイド型の電子マネーを利用して支払われた金額でした。
クレジットカードの支払い履歴については弁護士からの開示請求で正確な情報を確認することができるのですが、現金振込やプリペイド型電子マネーによる利用額は特定の条件※を除いて振り込み元の特定ができないことから、法律事務所でも調査のしようが無いのです。(※平成25年4月1日の法令改正に伴い10万円を超える現金振込については『取引時確認』の実施が義務化)
そのため、現金振込やプリペイド型電子マネーの利用額については私自身が記憶をたどって各サイトのおおまかな利用額を法律事務所へ伝えました。
そうして調査を進めていたある日、弁護士事務所から次のような連絡が届きます。
この時の気持ちを正直に言うと「戻ってくる金額の基準が『相手の調査結果次第』なのであれば、こちらから通知したものより低い金額を提示してくるだろう」と思い少しがっかりしていましたが、仕方のないことだと受け入れました。
私が了承をするとすぐに返信が届きます。
「質問があれば電話かメッセージをお送りください。」と返信が続き、最後に次のようなメッセージが送られてきました。
「重ねてのご連絡になりますが、この後は占い業者から『占い師と無料でやりとり可能』などのメール連絡が届いても決して開かず、各サイトへのアクセスも絶対にしないでください。このところ上記のトラブルで返金を拒まれるケースが増えております。もし間違えて開いてしまった場合は、速やかに弊所までご連絡ください」
法律事務所からのメッセージを読んでいて、これだけ強く念押しをされても占いサイトと連絡を取ってしまう方がいる事実に私は驚きを隠せませんでしたが、ふと「自分もそうなってしまうのではないか」という不安感がよぎりました。
私はそれ以降、占いサイトからメールが届くと即座に『迷惑メールフォルダ』へ移動することを習慣づけました。もちろん占いサイトへを開くこともありません。
こうした小さな意識の積み重ねで、法律事務所へ相談してから私は占いサイトから送られてくる『鑑定メール』に一切目を通さずに過ごすことができていました。これまでの『占い漬け』の日々を考えると、心持ちは大事だなと感じました。
それからは「弁護士事務所から届くLINEメッセージに返信する」ことを繰り返す日々が続きます。
たった1社から始めた返金請求でしたが、徐々にその他の占いサイト運営業者についても「支払い額の確認が終わった」「返金請求を進める」という連絡が法律事務所から届くようになっていきました。
『返金提案』
数日したある日のことです。
弁護士事務所から「最初に返金請求へ踏み切った『CARNA』の運営業者から『返金提案』があった」と電話がありました。
この『返金提案』というのは「提示した金額をあなたに返しますので、この件については終わりにしませんか」という、いわゆる『示談金額』の提示のようなものです。
その運営業者から提案された返金額は、こちらから請求した額より10万円少ない【¥900,000】でした。
弁護士事務所からは続けて「この金額で合意をして良いか、意思確認をしたい」旨と併せて「この額での返金提案はだいぶ良い条件でこちらの請求が通っている」ことを教えていただきました。
すべて聞き終えた私は「それでお願いします」と回答をしました。
電話を終えると法律事務所からLINEで「内容のご確認・ご記入をいただけましたら『合意しました』という一言を添えてご返送ください。」というメッセージとともに『和解合意書』が送られてきました。
私が氏名等を記入した『和解合意書』を「合意しました」という一文とともに返信すると「それではご入金までしばしお待ちください」というメッセージを最後に、その日のやりとりは終わりました。
「あっさりと事が終わったな」と思いました。
あんなにやり取りをしていたのに、終わるときはあっけなく終わるものだと感じました。
そうして返金を待つ間にも、法律事務所からは「他の運営業者からも『返金提案』がありました」という連絡が続々と届いていました。
返ってきた金額とかかった期間について
『和解合意書』には運営業者からの返金期日についての記載もありますが、返金されるお金は被害者ではなく『被害者から委任を受けた法律事務所』にまず入金されるため、実際に被害者のもとへお金が返ってくるのはそれより後になります。
また、最終的に被害者の手元に戻る金額についても弁護士事務所に『成功報酬額』として何割かを支払うため、サイト運営業者から事前に『返金提案』で提示されていた額より少なくなります。
私の場合も『和解合意書』に書いてあった返金期日からさらに数日後に『成功報酬額』を差し引いた金額が戻ってきていました。
すべての返金が終わったのは、私が正式に法律事務所と委任契約を結んでから4カ月後のことでした。実際に私の手元に戻ってきた金額は次の通りです。
Mother:56,000円(184,500円)
CARNA:504,000円(1,285,000円)
メッセージ:33,600円(100,000円)
めびうす:181,536円(864,000円)
運命の分岐点:18,248円(346,500円)
※( )内:おおよその支払い額
最終的に私の手元に返ってきたのは、支払額の合計2,861,000円に対し、793,384円でした。
最後に
正直に言えば、今回の体験記を書くにあたって実際の被害金額や返金額を書くことにはためらいがありました。けれど私は「書ける部分は全て書いてしまおう」と思いました。
少しでも占い詐欺の実情を知ることができれば、目を覚ましてくれる、このような詐欺がどれだけひどいものか理解してくれる方が増えると考えたからです。
法律事務所の方とのやり取りでは毎回「これ以上返金される金額を上げることはできないと思います」と言われていました。どう頑張っても全額は返ってきません。
返金提案をされた金額を聞くたび私は「ああ、返ってくるんだ」「よかった」と思っていましたが、実際に私が支払った金額と比べると本当にわずかしか返ってきません。「返ってくるだけでもありがたい」と思うほかないのです。
けれど、やはり悔しい想いが残ります。
今まで頑張って仕事をして貯めてきたお金が詐欺に引っかかったことでほとんど無くなって、返ってきたのは半分以下。何でこんなことをしてしまったんだろうという想いが今でも残ります。
生活センターに相談したとき「生活センターでは無理だ」といわれ「警察か法律事務所に相談してください」と提案を受けた際に、どちらにも相談するのは恥ずかしいから相談をせずに泣き寝入りするという選択肢もありました。
ですが、私には「意地でも返金請求をして少しでもお金を手元に戻したい」という意志が強くありました。だからこそ恥を忍んで返金請求を法律事務所にしました。
後悔は今も残りますが、弁護士へ返金請求を依頼する選択をしたことは良かったと思っています。だって、泣き寝入りしていたら793,384円なんて戻ってこなかったからです。
もしこの記事を読んでいる方の中に、占いサイトで詐欺にあわれていて「もう泣き寝入りするしかない」「相談なんてするのが恥ずかしい」と思っている方がいるのであれば、今すぐその思いを捨ててください!
恥や諦めでお金は戻ってきません。私が相談した法律事務所の方のようにやさしく寄り添い、そして返金まで取り付けてくれる方がいるのです。
そしてこの返金請求という行動をとることで「占いをもう二度としない」という強い意志を持つことができます。
どうか諦めないで、勇気ある一歩を踏み出してください。