- 占いサイト詐欺とは、無意味な言葉を送らせて鑑定料金を騙し取る犯罪である
- 占いサイト詐欺の手口はほとんどがワンパターンである
- 被害に遭わないためにも無暗に無料サービスを利用しない
- 詐欺サイトから返金されるケースとされないケースがある
物価はあがれど賃金は上がらない、失われた30年と揶揄されるこの日本において、経済面で困っている人々は少なくありません。
占い詐欺サイトは「お金がもっとあったらいいな」、「お金があれば家族を幸せにできるのに」といった心理を見事に突つき、我慢ばかりの困窮した生活から抜け出したい人たちの気持を逆手に取ってきます。
「幸せになれる」「宝くじが当たる」と夢のような話を餌にメール1通何百円、何千円という高額の鑑定料金を騙し取る極めて悪質な手口です。なかには数千万単位のお金を騙し取られてしまう人もいます。
今回は、占いサイト詐欺の手口や特徴をわかりやすく解説し、被害に遭ってしまった場合でも返金してもらう方法をご紹介します。
占いサイト・コンテンツを安全に利用するための参考になさってください。
占いサイト詐欺とは?
占いサイト詐欺とは、『無料鑑定』を入り口に占いサイトへ登録を促し、サイト内のメール鑑定で『無意味な言葉』などを送らせて高額の鑑定料を騙し取る詐欺占いサイトのことです。
その手口やパターンは単純であり、『大金が手に入る』、『宝くじが当たる』などと利用者の欲を掻き立てるパターンや、『悪い霊が着いている』等、不安を煽りたてて鑑定を続けさせるものが大半のようです。
いずれにしても目的の達成や、問題の解決を図るために『●●と送ってください、唱えてください』と無意味な言葉を何度も送信するよう要求してくる形です。
10年以上前から相談や報告が寄せられている詐欺の手口であり、今現在も被害に遭われる方は少なくありません。
国民生活センターが発表している相談件数は、2020年までの統計に留まっておりますが、以下のような水準で相談が寄せられています。
年度 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 |
---|---|---|---|---|---|
相談件数 | 1,490 | 1,406 | 1,430 | 1,837 | 1,016 |
※国民生活センター公表している資料「占いサイトのトラブルに注意」に基づき作成。
【出典】: 国民生活センター|それって占い?!占い師や鑑定士を名乗る者から次々とメッセージが届いてやめられない
人々の生活に身近な占い系コンテンツですが、そこには大きな落とし穴が…。これから解説する占いサイト詐欺の手口や特徴を知っておくことが必須であるといえるでしょう。
占いサイト詐欺の手口
占い詐欺サイトの具体的な手口としては、以下のものがあります。
「無料鑑定」を餌に占い詐欺サイトへ登録させる
こうした占い詐欺サイトの入り口となるのは、スマホやPCで何となくみていたWEBサイトやSNSに出てくるバナー広告などです。
『無料鑑定』というワードで興味を引くため、その無料というお得感から、「無料ならちょっと試しにやってみよう」と利用してしまう消費者は少なくありません。
サイトへの登録も簡単で、占ってもらうために【ニックネーム】と【性別】、【生年月日】などを入力しメール送信をするだけで占いサイトへ登録されてしまいます。
消費者は占ってもらうために情報を入力してメール送信をするのですが、それと同時に消費者の意思とは関係なくサイトに登録されてしまうのです。
その後、送信に利用したアドレスへ占いサイトの自称占い師から占いの結果が届くのですが、その内容は「何万人に1人の運気を持ってる」、「大金を手にすることができる」などなど、利用者の欲望・願望を煽り期待を高めるような鑑定結果が届きます。
こうした入り口をきっかけに、最初は無料で占いがはじまるのですが、徐々にお金を支払わないとならない展開へと呑み込まれて行ってしまいます。
次から次へと占い師が登場してくる
サイトに登録された後、数日間は無料で占い師とメールのやりとりができるようになり、その間に次から次へと占い師が登場してくるのも、詐欺占いサイトの「あるある」です。
無料でやりとりが可能な期間に、自称占い師たちはあの手この手で利用者の興味や関心を惹きつけるような内容の連絡をしてきます。
そして、あと一歩で『幸せになれる』、『大金が手に入る』といった状況を演出し、そのタイミングで課金をしないとやりとりができない状況へと引き込んできます。
利用者は「お金を払わないと前に進めない」状況に置かれ、ここで課金を迫られるわけです。占い師にメールを送るためにポイントが必要になり、1通1500円ほどもする高額なやりとりを迫られます。
ここで課金してしまうか、やめるかでその先の未来が大きく変わってしまうといっても過言ではありません。
最初は数千円程度でも、一度お金を払ってしまったことで『後には引き返せない』、『自分の判断や行動を信じたい』という心理が消費者の心に芽生えやすくなります。
そして、「●●と送ってください」という悪質な自称占い師からひっきりなしに要求されることとなり、気が付いたら数十万円、数百万円。場合によっては数千万円というお金を使ってしまい、甚大な被害に遭ってしまう利用者も存在します。
場合によってはサイト内でお金をくれるという人物が登場する
『節税のためにお金を譲渡したい』、『財産を譲渡する相手がいない』など、何かしら理由をつけて「大金を譲渡する」といった旨の連絡をしてくるメール詐欺が古くから存在していますが、それらは送金系詐欺ともいわれ、これらも『送金コードの●●を送ってください』といった形で物語が進んでいきます。
こうした送金系詐欺と同じような『お金を譲渡したい』と申し出てくる人物が、この占い詐欺サイト内にも登場してくるパターンがよく見られるようです。もうこうなってくるとメール詐欺業界のMMA(総合格闘技)といったところです。
また、単にお金をもらって欲しいという申し出をしてくるだけなら、『要りません』とキッパリ断れば済む話ですが、『あなたが受け取りしてくれないと誰かが不幸になる』といった理由付けをし、情に付け込んで無理くりお金を譲渡して来ようとします。
絶対には受け取りすることができない、嘘のお金を受け取るために消費者は高額のポイント料金を支払い、『あともう少しで完了する』とメールの送信を要求され、延々とやりとりを迫られ続けることになります。
まさに地獄です。
途中でやめたら無駄になると脅してくる
こうした占い詐欺サイトの被害にあう消費者は、100%その占い師の言うことを信じてやりとりを継続しているわけでは無いようです。
『何か変だな』、『きっと騙されている』、そう心の中では感じていても、これまで使ってきたお金が無駄になってしまうことを考えると“後には引けなくなる”傾向があるようです。
また、悪質な自称占い師達からも「ここでやめればすべてが無駄になる」、「もっと不幸になる」といった脅しのようなことを言われ不安を煽られてしまいます。
このようにして、延々とやりとりを継続することを迫られてしまい、なかには全財産を失うどころか借金までしてやりとりを継続し多額の負債を抱えてしまうケースも報告されています。
ちょっとした興味から、このような状況にまで陥ってしまう危険性があるため、占い詐欺サイトは非常に危険で悪質と言えるでしょう。
その入り口がネット上のそこかしこに存在していることを認識しておかなければなりません。
詐欺占いサイトの見分け方~こんな特徴があったら要注意
詐欺占いサイトは無数に存在しており、法人格で表向きに堂々と運営をしている場合もあれば、闇の組織が国外サーバーなどを使用して法の手が届かない形で運営している場合もあります。
どのような形態で運営されているかは「返金」においては重要な焦点となり、前者の場合は返金される可能性が低くはありませんが、後者の場合だと返金されるのは極めて難しいと認識しておきましょう。
以下のような特徴に気付いたら、疑ってかかった方がよいでしょう。
登場する占い師を調べても情報がない
詐欺占いサイトに登場する占い師は十中八九は架空の占い師です。いかにもそれらしい名前で写真などもありますが、ネット上の広い画像か、合成して作成された画像か、AIで生成された画像でしょう。
また、それらの架空の占い師の正体は、サイトを運営している会社や組織にそれなりの高額の時給で雇われているアルバイトさん達です。占いの素養もないような完全な素人のアルバイトさん達が占い師に成りきってメールを送ってきているのです。
マニュアルのようなものが組まれており、送ってくる内容も基本的にはテンプレートを使用しているようです。
このように、実在しない架空の占い師を仕立て上げているので、占い師の名前などをネットで検索をかけてみるのが良いでしょう。
ただ、運営元が海外サーバーなどを利用している法の手が届かないような組織の場合、有名の占い師に成りすましているケースもあるようです。
運営会社が怪しい
占い詐欺サイトは、法人(会社)が堂々と運営していることが少なくないため、会社情報が記載されていることは珍しくありません。そもそも、法人が運営しているなら会社の情報を記載しなければならない義務があります。
こうした詐欺占いサイトを運営している会社は、サイト運営のために会社が設立されており他の事業を展開していることもないため、ネットで社名を調べても特に情報がありません。
また、サイトに記載されている住所をグーグルマップで調べると、大抵は所在地が古びたマンションの一室であるパターンが多いようです。
ただ、詐欺占いサイトには前述したように海外サーバーなどを利用した謎の組織が運営していることもあるため、その場合は会社情報や所在地の記載がないことは勿論、記載があっても海外の住所であったり、そもそもデタラメな情報を記載していることが大半でしょう。
よって、運営会社の情報から判断するというのは有効な手段となります。
ポイント購入の振込先口座と社名が違う
正規の国内法人が運営している詐欺的な占いサイトの場合は、決済代行会社を利用しているケースがよくあるため、振込先口座が決済代行会社か否かが1つのポイントなるでしょう。
ただ、悪質なサービスをしている企業でなくとも決済代行会社を利用しているケースはあるため、それだけで判断するのは確度が甘いかもしれません。
違法に運営されているサイトの場合は、裏ルートで購入した口座を利用していることがあるため、サイトに記載されている社名と振込先の会社名が異なる場合があります。こうした場合は返金が難しくなるのため注意が必要です。
よって、サイトの決済手段を確認してみることも、詐欺占いサイトを見分ける特徴の1つと言えるでしょう。
実際にあった占い詐欺サイトの事例
ここでは、実際にあった占いサイト詐欺の事例をいくつかご紹介します。一般の人が詐欺の被害に遭った事例が数多くありますので、一例として参考になさってください。
気が付いたら100万円以上も支払っていた事例
『無料』の文言に惹かれて軽い気持ちでサイト利用の登録をすると、「強い守護霊がいる」とメッセージが届き信じてしまった60代女性のケースです。
やりとりには有料のポイントが必要で「今やめたら幸せは来ない」と言われ、気が付いたら約120万円も支払っていた。
明るい未来を考えた結果お金を支払い続けてしまった事例
『宝くじに当選する』といった趣旨の広告を目にし、老後の生活が心配で家族のことも考え利用した結果、数百万のお金を失ってしまった70代女性のケース。
「もう少しで当たる」や「運気が上がる」という言葉を信じ、コンビニ決済やクレジットカードなどで、約400万円支払ってしまった。
こちらの被害者はネットゲームをしていた最中に表示された広告をきっかけに、足が悪く友人に会えない寂しさもありのめり込んでしまったようです。
こうした危険な罠がそこかしこにあるという事実を表す一例ではないでしょうか。
占いサイト詐欺に遭ってしまったときに自分で返金を求める方法
占いサイト詐欺に遭ったことに気付いたときは、大切なのは証拠の確保です。これまでにサイト内でやりとりしたメールの履歴や内容をスクリーンショットしておくことと、ポイントを購入した際の支払いの履歴も大切です。
また、こうした詐欺占いサイトはサイト自体で詐欺行為を行っているため、突如なくなってしまう場合もあります。運営元を記録しておくことも大切でしょう。
その上で、以下の方法によって返金してもらえる可能性があります。
国民生活センターに相談する
国民生活センターには出会い系詐欺の被害報告が全国から数多く寄せられているので、相談すればさまざまなアドバイスが受けられます。
高額な商品を購入させられた場合は、クーリング・オフをすることで返金を受けられることもあります。クーリング・オフのやり方は相談員が案内してくれます。
国民生活センターに相談するには、局番なしの「188」(消費者ホットライン)に電話をするのが便利です。最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。
警察に相談する
詐欺の加害者がどこの誰なのかがわからない場合は、警察に相談しましょう。
「♯9110」に電話すれば、さまざまな相談に乗ってもらえます。具体的な対処が必要な場合には、各都道府県警のサイバー犯罪相談窓口を案内してもらえます。
ただ、警察が動いてくれたとしても、お金を取り戻してもらえるわけではありません。返金を求めるためには、加害者が判明した後に専門家のサポートが必要となることが多いでしょう。
占いサイト詐欺に遭ったら弁護士・司法書士に相談を
出会い系詐欺に遭ったときは返金を求めることが可能ですが、相手は詐欺師なので、自分で交渉してお金を返してもらうことは困難です。お困りのときは、弁護士・司法書士という法律の専門家に相談することを強くおすすめします。
最適な解決方法を提案してもらえる
詐欺師に対して返金を求めるためには、まず証拠を確保した上で、相手の氏名や連絡先などの調査も行わなければなりません。これらの対処に時間がかかると詐欺師に逃げられてしまい、返金請求ができなくなる可能性があります。
専門家に相談すれば、どのような手順で返金請求の手続きを進めればよいのかをアドバイスしてもらえるので、返金を受けられる可能性が高まります。
また、必要に応じて銀行・カード会社・警察への相談なども案内してもらえます。詐欺の被害に遭ったら、いち早く弁護士・司法書士に相談し、アドバイスに従うことが最善の対処法であるといえます。
詐欺業者と直接交渉してもらえる
返金を求める場合は、詐欺業者と交渉をする必要があります。しかし、相手は詐欺師なので、一般の人が「詐欺だ」と訴え返金を求めたところで、誠意のある対応はほとんど期待できません。
弁護士・司法書士に依頼すれば、被害者に代わって詐欺集団と交渉してもらえます。詐欺業者も、法律の専門家が相手となれば、刑事告訴や民事裁判となる可能性を恐れて返金に応じることがあります。
裁判で返金を請求してもらえる
詐欺業者が返金交渉に応じない場合は、民事裁判などの法的手続きによって返金を請求する必要があります。しかし、裁判手続きは複雑であり、専門的な法律の知識がなければ適切に進めることは難しいものです。
専門家に依頼すれば、複雑な裁判手続きもすべて任せることができます。裁判所において詐欺の事実を証拠で立証してもらうことにより、強制的な返金が期待できます。
まとめ
朝のニュース番組で目にする星座占いのように、占いは非常に身近で馴染深いコンテンツであるため軽い気持ちで利用してしまいがちです。
しかし、この記事で紹介したような悪質で詐欺的な占いサイトが無数に存在しているのが実情です。いつどういうきっかけで、こうした占い詐欺に呑み込まれてしまうかわかりません。
詐欺占いサイトは利用者の願望や心の寂しさを巧み突いてきます。ネット上で見かけた広告を信じて無暗に利用してしまうと、取り返しのつかない状況に陥ることもあるため、しっかりと判断しサービスの利用を検討する必要があるでしょう。
万が一、詐欺の被害に遭った場合は、いち早く証拠を確保した上で、適切な方法で返金を求める必要があります。
お困りのときは、弁護士・司法書士にすぐ相談した方がよいでしょう。