「インターネットの閲覧中に画面いっぱいに【警告】のウィンドウが出てきて消せない!」「ウイルス感染を通知するメッセージが何度も表示される…」なんて経験をしたことはありますか?
これは一般的に『サポート詐欺』と呼ばれる詐欺犯罪の手口で、2023年以降に被害件数が増加してきたため警視庁や国民生活センターから注意喚起がされています。
そこで今回の記事では、誰もが被害者になり得るサポート詐欺(偽セキュリティ警告詐欺)の手口や、被害に遭った場合の対処法、返金方法を解説してまいります。
サポート詐欺とは?
サポート詐欺を簡単にご説明すると「インターネットを閲覧中に偽物のセキュリティ警告画面などを表示させ、パソコンを直す名目で金銭を奪い取ったり、遠隔操作ソフトを不正にインストールさせる」特殊詐欺の一種です。
解説にうつる前に、まずは実際の被害状況を見て行きましょう。
よくある相談内容
警察庁ホームページではサポート詐欺に多い相談の例として、次の2件を紹介しています。
ウェブサイトを閲覧中に、パソコンから突然警告音が鳴り「ウイルスに感染しています。カスタマーサポートまで電話して下さい。」という警告画面が表示されて消せなかったので電話した。遠隔操作でパソコンを確認すると言われたので、相手の指示通り遠隔操作ソフトをインストールした後、表示された番号を伝えたところ、相手から「ウイルスに感染しています。有償で除去します。2年間のサポート付です。」と言われたのでクレジットカードで支払った。(引用元:『サポート詐欺対策|警察庁Webサイト』令和6年7月取得)
パソコンでウェブサイトを閲覧していたら、ディスプレイに突然、「警告!コンピュータがウイルスに感染しています。サポートセンター(050-XXXX-XXXX)に電話してください」と表示さた。表示された電話番号に電話したら、3年間のサポート代金5万円を電子マネーで支払うように言われ、コンビニで指定された電子マネーを購入し、シリアルナンバーを伝えてしまった。(引用元:『サポート詐欺対策|警察庁Webサイト』令和6年7月取得)
サポート詐欺の手口について
サポート詐欺の手口は非常に多様ですが、大まかな流れは次の通りになります。
①被害者が『広告』や『通知』に紛れた詐欺師の罠を踏む
「インターネット閲覧中に詐欺に遭った」と聞くといかがわしいサイトなり違法サイトなどが連想されがちですが、実際はごく普通のサイトにも『Web広告』などに擬態した詐欺師の罠が潜り込んでいます。次の画像をご覧ください。
こちらの動画は旅行・乗り物に関するWeb上の記事を閲覧中に表示された広告をクリックしたことで、サポート詐欺の『警告画面』が表示されたものです(閲覧していたWeb記事自体はまったく違法性のないものでした)。
こうした詐欺師の罠は広告のほかにもAppStoreやGooglePlayといったプラットフォーム内に『アプリ』として潜んでいたり、ブラウザの『プッシュ通知(下記画像参照)』に擬態したりと、あらゆる場所に隠れています。
こうした広告や通知をクリックしたりアプリをインストールすることがトリガーとなって、被害者のPCやスマートフォンの画面上に偽の『警告画面』が発動される仕組みとなっています。
②偽の『警告画面』が表示される
偽の『警告画面』はパソコンの場合は次の画像のように『McAfee』を始めとするコンピュータセキュリティ関連企業や『Windows』のロゴなどが入っていることが多く、あまり詳しくない方が見ると本物か偽物か判別が難しいデザインとなっています。
※スマートフォンの場合は次の画像のように、ステータスバーの通知欄に偽の『警告』が表示されることがあります。
この後の手口は大きく分けると「不審サイトに誘導される」か「詐欺師と直接通話する」かの2パターンに分かれます。
ひとつずつ見て行きましょう。
③不審サイトへ誘導されるケース
先ほどの警告画面にURLが表示されていて、不審サイトへ誘導されるケースです。
誘導されたサイトでは「ウイルス除去のために最新のソフトウェアを購入(または有償アップロード)する必要がある」「問題解決のためサポート契約をしてください」「無料のツール(アプリ)をインストールしてください」などと言ってクレジットカードで被害金を振り込ませたり、ウイルスを含むデータをインストールさせようとします。
④詐欺師と通話するケース
こちらは警告画面に『サポート窓口』を語る電話番号が表記されており、そこから詐欺師と直接通話をすることでお金をだまし取られてしまうケースです。
従来のサポート詐欺は詐欺師が通話で『修理費用』として被害者に電子マネーの購入させる手口が主流でしたが、最近目立つのは修理を装った遠隔操作を通じて、詐欺師が勝手に被害者のネットバンキングから不正送金をする手口です。
遠隔操作に使用されるのはリモートワーク等でも使用されるごく一般的なツールですが、詐欺師は「修理まで時間がかかる」「直しておくので、電源を落とさずにこのまま放置しておいて」などと説明をしたうえで被害者の目が離れた瞬間を狙って不正送金をします。
あるいは『パソコンの修理費用』等を名目として100円や1000円などの少額をネットバンキングから送金するよう指示した後、送金の直前に遠隔操作で0を付け加えて送金額の桁を増やす手口で被害者の口座から被害金を不正送金をします。
サポート詐欺を疑似体験してみよう
独立行政法人『情報処理推進機構(以下IPA)』では、疑似的にサポート詐欺被害に遭う状況を体験できる特別サイトを常設しています。
本物さながらの精巧な作りになっており、まるで実際に被害に遭ったかのような体験ができますので、ぜひ一度お試しください。
『偽セキュリティ警告(サポート詐欺)対策特集ページ 』
※上記のURL内『偽セキュリティ警告画面の閉じ方体験サイト』からご利用いただけます。
※PCからのみ利用可能です。
※体験中は音が出ます。
こんな場合はどうすれば?対処法を解説
それではこうしたサポート詐欺被害に遭ってしまった際にどう対処すれば良いのでしょうか?
被害の段階ごとに対処法を解説してまいります。
偽のセキュリティ警告画面が出た場合
この場合の対処は簡単で、「ウィンドウ(ブラウザ)を閉じる」だけで大丈夫です。
警告画面が全画面表示になっていてマウスの操作もできない場合は、キーボードの『Esc』(あるいは『F11』)を長押しすれば全画面表示の設定を解除することができます。
警告画面は急かすような演出でこちらの不安を煽ってきますが、落ち着いて対処をしましょう。また、警告画面を閉じた後は念のためにウイルスチェックをしておくと安心です。
Windowsのスタートメニューから『設定』➡『プライバシーとセキュリティ』➡『Windowsセキュリティ』➡『ウイルスと脅威の防止』から『クイックスキャン』を実行してみてください。
遠隔操作をされている最中に不審な動きを確認した場合
この場合は条件によりますが、遠隔操作されているPCやスマートフォンをすぐに『スクリーンロック』の状態にしてください。
IPAの調査(下図)によれば、遠隔操作ではマウス操作やスクリーンタッチは出来ても『スクリーンロック』を解除することはできないことが分かっています。
ただし、当たり前ですがスクリーンロックにパスワードなどをかけていなければ詐欺師側からもパソコンやスマートフォンを開けてしまいますので、あらかじめパスワードの設定をしておきましょう。
不審な『セキュリティソフト』『アプリ』等をインストールしてしまった場合
パソコンに不審なセキュリティソフト等をインストールしてしまった場合は、すぐに該当のソフト等をアンインストールしたうえで『システムの復元』を行ってパソコンをソフトウェアのインストール前の状態に戻すようしてください。詳しい手順は以下をご参考ください。
引用元:『IPA 独立行政法人 情報処理推進機構』
スマートフォンへ不審なアプリをインストールしてしまった場合は該当のアプリをアンインストールした後ウイルスチェックをするだけで大丈夫ですが、もしもここまでの段階でなんらかの『会員登録』『アプリ利用登録』などの手続きをしてしまっている場合は、勝手に『定期購入(サブスクリプション)』『自動継続課金』の登録がされている可能性があります。
心当たりが無い場合でも、念のために定期購入の確認をしておきましょう。やり方は以下をご参考ください。
Android端末で定期購入を解約する方法
「Google Play での定期購入の解約、一時停止、変更」
-
iPhone端末で定期購入を解約する方法
「Apple のサブスクリプションを解約する必要がある場合」すでにお金を奪われてしまっている場合
この場合は自力でなんとかしようとせず、消費者センターや警察へ相談してください。
特に遠隔操作をされている間に目を離してしまっていた場合などは、不正送金だけでは終わらず重要なサイトへのログインパスワード・住所などの個人情報も盗まれ、上記で解説した対策だけでは不十分な場合があります。
消費者センターや警察であれば被害状況を詳しくヒアリングしたうえで、やるべき対策等のアドバイスをもらえますし、犯人を逮捕できれば法的に損害賠償を請求できる可能性もまだ残されています。
被害に遭ってしまったらすぐに次に紹介する消費者センターや警察の窓口に相談をしたうえで、今後のアドバイスを仰ぎましょう。
①各都道府県の『消費生活相談窓口』
②警察相談専用電話
電話番号:#9110
相談料:無料
ホームページ:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ
※通話発信地を管轄する各都道府県警察本部等の総合窓口に直接つながります。
※土日祝日及び夜間は、「当直」又は「音声案内」等により対応
被害金を取り戻す方法
上記でご紹介した公的機関では『被害拡大防止の助言』『(可能な場合は)犯人逮捕』等はしてはもらえますが「被害金を取り返したい」といった個々の要望には対応ができません。
また、仮に犯人逮捕ができた場合でも法的な損害賠償請求については自力でどうにかする必要があります。自力で被害金を取り戻す方法として、次の3点をご参考ください。
クレジットカードでお金を支払った場合
詐欺被害に遭ったことが分かり次第、早急にクレジットカード会社または銀行へ「詐欺被害に遭った可能性がある」ことを連絡してください。これには『被害拡大防止』のほかにもうひとつの意味があります。
というのも、各クレジットカード会社や銀行には本人・家族以外の第三者によるカードの不正利用または出金があった際に返金を保証する『チャージバック』という制度があります(全額返金あるいは本人の過失度合によって返金額は変動します)。
チャージバックは第三者の不正利用のほかに明らかに詐欺と認められる売買などにも適用となるケースがありますので、いずれにしても適用できる救済措置について契約先のカード会社とご相談ください。
なお、返金の適用条件や細かな規約は会社ごとに異なりますが、一般的には「被害者の申し出があった日から起算して60日以内」に生じた不当契約に対して有効となり、本人に過失の無い場合は100%の返金も可能です。
『チャージバック』の申し出後はクレジット会社と業者側で話合いのうえ返金可否を決定しますが、現状では多くの場合お金が戻ってくることが多いようです。
主要銀行のお問い合わせ先
- 三菱東京UFJ:0120-543-555、042-311-7000
- 三井住友銀行:0120-28-6079
- みずほ銀行:0120-324-878
- りそな銀行:0120-073-989
- ゆうちょ銀行:0120-108-420
指定口座へお金を振り込んだ場合
この場合は特殊詐欺被害者救済を目的とした『振り込め詐欺救済法』の適用となります。
ざっくり概要をご説明すると「特殊詐欺被害に遭ったことを被害者が金融機関へ連絡することで、金融機関側が『振込先の口座(詐欺師の口座)』を凍結させ、凍結させた口座の残高から被害者に対して被害金の全額または一部を返済する」というものです。
ただし、もしも金融機関が凍結させた時点で口座の預金残高が1,000円未満であった場合は、残念ながら被害金が戻ってくることはありません。
特殊詐欺の犯人はたいてい、お金が振り込まれた時点で全額を引き出して救済措置を使えないようしてしまうため、救済法では対応できない場合が多いのです。
実際に令和5年には同法によって44,326口の預金口座が犯罪に利用されたとみなされ凍結をされていますが、うち21,489口は「残高が1,000円に満たない」として被害金の返済が認められませんでした。(参考:『振り込め詐欺救済法に基づいて令和5年度中に実施した公告について』|預金保険機構.令和6年6月取得)
かなり厳しい条件ではありますが『犯人がお金を引き出す前に口座凍結が出来た』場合で『1000円以上の残高がある』場合には被害金を全額もしくは一部取り戻せる可能性はありますので、被害に遭ったことが分かったら一刻も早く警察や消費者センターと併せて振込先の金融機関へ連絡するようしてください。
【法律のプロ】弁護士・司法書士に相談する
多少の費用はかかってしまいますが、被害金が戻ってくる可能性をあげるには弁護士や司法書士といった法律の専門家の力を借りたほうが良いでしょう。
弁護士・司法書士は法律のプロであると同時に、多様な詐欺犯罪手口をいくつも取り扱っていることから被害者に対して適格なアドバイスをしてくれます。
詐欺師の身元を特定できた場合や逮捕に至った場合には、相手方との返金交渉や損害賠償請求を委任すればお金が戻ってくる可能性もありますので、まずは「自分の場合、返金の可能性はあるか」「どのように動くのが最適か」など話を聞いてみるところから始めてみてください。
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「とりあえず話だけ聞いてみたい」「自分の場合は返金可能か聞いてから依頼を検討したい」という方にお勧めなのが『イーライフ司法書士法人(旧 平柳司法書士事務所)』です。
弁護士・司法書士事務所の中には『相談だけでも費用が発生する』『初回のみ相談無料』のところも存在しますが、イーライフ司法書士法人であれば何度でも無料で相談することが可能。
解決の速さという点でも『1~3カ月』と非常に短期間で返金までこぎつけた実績が多いため「できるだけ早く、費用を抑えて詐欺被害を解決したい」という方にピッタリといえます。
泣き寝入りをする前に一度相談してみてください。
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まとめ
IPAの統計によると、サポート詐欺被害による令和5年の年間被害総額は約4億7000万円に上りました。
これは決して「一握りの被害者が多額を払っている」わけではなく、サポート詐欺に遭った被害者のうち、およそ2割が実際に被害金をだまし取られてしまっているという結果が出ています。
万が一あなたやあなたのご家族が被害に遭ってしまっても落ち着いて対処ができるよう、読み流す程度でも良いので日頃から詐欺への対抗手段について知識を取り入れるようしてみてください。
①『偽のセキュリティ警告に表示された番号に電話をかけないで | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構』
②『遠隔操作ソフト(アプリ)を悪用される手口に気をつけて! | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構』