株式会社KINTOが18〜55歳までの男女990名に対して行った調査で、「日常的にチェックする情報源」の上位は『テレビ』『X(旧Twitter)』『YouTube』『Instagram』であることがわかりました。(参考元:『Z・Y・X世代、普段チェックしている情報源は「テレビ」という回答が最多』令和6年7月取得)
今やSNSは『趣味』から『仕事』まで、あらゆる分野で頼れる身近なツールになりつつあります。
しかし、近年はSNSやマッチングアプリを通じて面識の無い人物から違法なビジネスに勧誘されるトラブルが相次いでおり、被害者の中には数十万の借金を負ったり、犯罪グループと一緒に逮捕をされてしまうといったケースが確認されています。
そこで今回の記事では、10代~20代といった若年層にも被害者が多い『スマートフォンの代理購入(別名:SIM案件)』『転売』にまつわるトラブルに焦点を当てて、その危険性について解説をしてまいります。
スマホの代理購入・転売のバイトとは?
スマホの代理購入(別名:SIM案件)や転売のバイトについてざっくりご説明すると
・スマホの購入代金は支払うので、契約だけ代わりにしてほしい。
・後日通話料の請求書が届いても放置してくれれば良い
などの条件でSNS上で応募者を募り、購入したスマホ端末と引き換えに報酬として数万円を渡すというものです。
簡単に多額の報酬が手に入るため副業やアルバイト感覚で関与をしてしまう被害者がほとんどですが、実際のところ後日届く請求は法律上被害者が支払う義務があるうえ、手渡した被害者名義のスマホ端末が国内外で犯罪に利用される等のトラブルが相次いでいます。
「スマホの契約は後々こちらで解約しておく」等と説明をされる場合もありますが、大抵の場合は被害者名義で契約された状態のままのスマホが国内外で犯罪に利用されます。
実際にSNS上に投稿された募集要項
実際にSNSへ投稿されていたアルバイト募集要項の例を見て見ましょう。
こちらの例では『お手伝い』としてスマホの代理購入で日給1~3万円が支払われる条件になっています。
ちなみにこちらの投稿には、その後『京都府警察署』の公式アカウントから警告のリプライがついていました。
実際にあった被害の例
SNSで知り合った女性に、バイトを手伝ってほしいと言われ手伝った。
最新機種のスマホをショップで2台、携帯電話会社で2台をどちらも自分名義の分割払いで購入。スマホはその場で女性に渡し、手間賃として15,000円を受け取った。スマホの代金や通話料は女性が支払ってくれる約束だった。
2か月たったら、スマホの通信契約を解約してもいいと言われていたので、手続きのためショップに行くと、スマホ代金等が全く支払われてないことが分かった。驚いて女性に連絡したが、連絡がつかない。代金は合計で90万円を超えている。
引用元:『注意!「スマホを買うだけ」のバイトが90万円の借金に!』高槻市ホームページ(令和6年7月取得)
マッチングアプリで知り合った男性に、「スマートフォン(以降「スマホ」という。)を購入して渡してくれたら、1台につき3000円払う」とアルバイトを持ちかけられた。
「スマホはすぐに解約するので一切負担は無い」と言われ、店舗でスマホを4台購入して男性に渡し、アルバイト代を貰った。
ところが後日、携帯電話会社から4台のスマホ代金として約100万円の請求書が届いた。
その後男性とは連絡が取れない。支払わないといけないか。(10 歳代:女性)
引用元:『スマートフォンを購入するアルバイトをしたら、携帯電話会社から請求が! そんなアルバイトはありません、きっぱり断りましょう』 東京くらしWEB(令和6年7月取得)
実は違法行為?罰則や逮捕の可能性も
『スマホの代理購入』は購入者自身が『携帯電話不正防止法』違反および『詐欺罪』に問われる可能性があります。
そもそも自分名義で契約したSIMカードが入った状態でスマホやタブレット等を第三者へ譲渡(転売)することは『携帯電話不正防止法』という法律によって禁じられており、知らずに行なってしまった場合でも、2年以下の懲役または300万円以下の罰金を処せられる場合があります。
また『携帯電話不正防止法』に準じて、各携帯事業者でのスマホの契約は基本的に契約者本人の『自己使用目的』であることが前提とされています。
したがって「自分が使用する意志が無い(譲渡・転売目的である)」にもかかわらず「自身を使用者本人と偽って契約をする」行為自体が、携帯ショップに対しての『詐欺罪※』として罪に問われ、罰せられる可能性があるのです(※詐欺罪:10年以下の懲役)。
実際に2023年6月には、SNSで知り合った女性から頼まれて『スマホの代理購入』を行った男性が詐欺罪で起訴され、懲役2年の求刑を受けています。
参考:『借金抱える男性が見つけた「副業」…スマホ購入前に念押し、喫茶店で会った女は「同行役」だった : 読売新聞』
『白ロム』の転売・譲渡は違法?
ここまでお読みいただいた方の中には、ご近所のリサイクルショップでも売っている中古のスマホ端末ーいわゆる『白ロム』の販売は違法なのか疑問に思う方もいるかと思います。
結論から言えば『白ロム』の転売・譲渡は違法ではありません。
『携帯電話不正防止法』はもともと『オレオレ詐欺』をはじめとする音声通話機能を悪用した特殊詐欺犯罪の防止を目的として2006年に制定された法律です。
この観点に基づき、法規制の対象はスマホ端末そのものではなく『音声通話機能のあるSIMカード』等に限られています。
このことから『SIMカードが抜かれたスマホ端末(白ロム)』や『データ通信機能はあっても音声通話機能がないSIMカード』に関しては規制対象にならず、第三者へ譲渡や転売をしても罪に問われることが無いのです。
携帯電話不正防止法違反となるのは「『音声通話機能のあるSIMカード』を取り除かずに携帯端末を譲渡・転売した」場合や「『音声通話機能のあるSIMカード』そのものを渡してしまった」場合です。
また、今回とは別件になりますが、たとえ白ロムだとしても大量の転売を行ったり継続的に繰り返した場合は『古物営業法』という別の法律に引っかかってしまう可能性があります。
いずれにしても今後使い古したスマホを売ったり譲渡をする予定がある場合は、手放す際にSIMカードが入っていないことを必ず確認をするようにしましょう。
スマホを第三者へ譲渡・転売してしまったら
もしもSNS上の『バイト募集』にひっかかって、購入したスマホを第三者へ渡してしまった場合は早急な対処が必要です。以下を参考としてください。
①通信契約の解約
スマホが犯罪等に利用される前に、すぐに携帯電話の解約をしてください。
解約にあたっては端末代金の残額等に加え、すでにスマホが何者かに使用されてしまっていた場合はその利用料金を支払う必要がありますが、そのままにしておくと請求額がみるみる大きくなってしまう可能性があります。
また、第三者へ手渡したスマホが犯罪等に使用された場合、後々になってあなた自身が『共犯者』として逮捕される可能性があります。
これ以上スマホを悪用されないよう、なるべく早い段階解約手続きを行ってください。
②携帯事業者からの請求は絶対に放置しない
第三者の誘導によってスマホを代理で購入した場合でも、その契約は法律上『有効』とされます。
そのため、スマホ端末を購入した時の代金や第三者へ渡った後の通信料等は契約者本人が支払う義務があります。
放置し続けた場合は、いずれ口座残高不足によってクレジットカード会社への支払いが滞り『信用情報機関(CIC)』のリストにあなたの滞納履歴が登録されることとなります。
(※信用情報機関:各クレジットカード会社等が参考にする『ブラックリスト』のようなもので、登録されると将来的にローンが組めなくなったり、クレジットカードを使う契約ができなくなります。)
銀行の口座振替が可能なプランで契約をした場合は信用情報機関に登録されることはありませんが、その場合も携帯事業者より委託を受けた『債権回収会社』等から支払い督促の連絡が届くようになります。
それでも放置した場合は『遅延損害金』により債務が膨らみ続け、最終的に民事裁判に発展して財産の差し押さえ等に至る可能性もあります。
「自分も被害者の立場なのに」と理不尽に感じてしまうかもしれませんが、支払わずにいても状況はどんどん悪くなる一方です。自分自身のためにもしっかりと対応をしましょう。
【補足】スマホが悪用された場合に支払わなければいけない請求額は?
第三者へ譲渡したスマホが犯罪などに利用された場合の利用料はいくらくらいになるのでしょうか?
イメージしやすいよう、例として大手キャリア『docomo』の最安プラン『ahamo』を契約して代理購入した場合で試算をしてみましょう。
譲渡後のスマホは特殊詐欺等に悪用され『1日当たり4時間の通話』に使用されたと仮定します。
まず『ahamo』の国内通話料金は30秒あたり約22円(1時間で2,640円)ですので、1日の利用料は「2,640円×4時間」で10,560円です。
請求が来るのは翌月ですので、ざっくりと1カ月(30日)連続で使用されたと仮定しましょう。請求額は316,800円となります。
これだけでもなかなかの金額ですが、たいていの場合は被害に気が付くタイミングはこれよりも後になりますので、ここにさらに数か月分の利用料金と「年間14.5%の延滞利息」が上乗せされます。
また、スマホの端末を分割払いで購入してそれも未払いになっている場合は「法廷利率3%ぶんの遅延損害金」も加算されます。
ざっと試算しただけでも、数十万から数百万の利用料が請求されることがイメージできますね。
③消費生活センターまたは警察へ相談する
解約と支払いを済ませてもまだやるべきことが残っています。
先ほどもお伝えしたように、第三者へ手渡したスマホがすでに犯罪等に使用されていた場合は、後々になってあなた自身が『共犯者』として逮捕される可能性があります。
実際に2023年3月~5月には『スマホ端末を犯罪組織へ流した転売グループ』として男女9名が逮捕されていますが、そのうちの5名は違法と知らずにSNSを通じて『スマホの代理購入バイト』をしていた人たちでした。参考:『借金抱える男性が見つけた「副業」…スマホ購入前に念押し、喫茶店で会った女は「同行役」だった : 読売新聞』
もちろん『携帯電話不正防止法』違反や『詐欺罪』で罰則を受ける可能性はありますが、後々犯罪グループと一緒に逮捕されてしまうよりは早い段階で自ら相談に赴く方が罰則が軽くなる可能性があります。
いきなり警察に相談することに抵抗がある場合は、全国の『消費生活センター』でもアドバイスをしていますので、少しでも不安がある場合はこうした無料の公的専門機関へ相談をしてください。
各都道府県の『消費生活センター』へ相談するなら
警察相談専用電話はこちら
電話番号:#9110
相談料:無料
ホームページ:警察に対する相談は警察相談専用電話 「#9110」番へ
※通話発信地を管轄する各都道府県警察本部等の総合窓口に直接つながります。
※土日祝日及び夜間は、「当直」又は「音声案内」等により対応
おまけ:『MNPバイト』『ケーコジ』も危険です
『MNP(Mobile Number Portability)』はいわゆる『スマホの乗り換え』を意味します。
別名『携帯乞食』『ケーコジ』とも呼ばれ、最近このMNPを利用した「副業」なり「バイト」にまつわるSNS投稿やブログをよく見かけるのですが、安易に手を出すのは非常に危険です。
やり方としては
格安SIM等を新規契約した後で他社のキャリアが実施している乗り換えキャンペーンを利用して最新端末を手に入れ、それをすぐに転売したり「乗り換えキャンペーンのキャッシュバックを受け取る」などしてお金を得るというものなのですが
先ほど解説した通り自分が端末を使用する意志が無い(転売目的である)にもかかわらず契約をする行為は『詐欺罪』として訴えられる可能性があります。
また、各携帯事業者はこうした『金銭目的で短期のMNPを繰り返すユーザー』をかねてから警戒しており、短期のMNPを繰り返した場合は後々「契約自体ができなくなる」「契約はできても、キャッシュバックが受け取れない」などの制約を受ける可能性もゼロではありません。
『MNPバイト』『MNP案件』等と言ってMNPを代行してくれる人を募集する投稿も見られますが、詐欺罪で訴えられるリスクを負うくらいなら別の副業をしましょう。
弁護士・司法書士なら専門的なアドバイスも
「携帯事業者から督促が届いた」「そもそも請求額の支払いができない」「刑事事件として取り調べを受けることになった」など、トラブルが起きた場合に頼りになるのが弁護士・司法書士です。
請求額の支払いができない場合の『債務整理』『自己破産』の手伝いはもちろんですが、法の専門家である弁護士・司法書士はそもそもの支払い義務を免除にする『消滅時効の援用』といった難易度の高い対処法についてもアドバイスが可能です。
また、仮に刑事事件として警察から取り調べを受ける場合でも本人の不利にならないよう、「証言するべきこと」と「証言すべきでないこと」等を具体的に教えてもらうことができます。
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「とりあえず話だけ聞いてみたい」「自分の場合は返金可能か知りたい」という方にお勧めなのが『イーライフ司法書士法人(旧 平柳司法書士事務所)』です。
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まとめ
リアルタイムの情報を大量に得られるSNSは、利便性が高い一方で『個人間のやり取りが人目につかない』ことから悪用もされやすいコミュニケーションツールです。
面識の無い人物の誘いに乗ったことで、知らず知らずのうちに「被害者から加害者になってしまう」可能性は決してゼロではありません。
最近は政府方針の後押しがあって副業や投資に対する前向きな風潮が目立っていますが、うまい話には裏があることには十分気を付けるようしてください。