マルチ商法の被害で返金を受ける方法とは?勧誘のルールや解約方法も解説

この記事でわかること
  • マルチ商法は必ずしも違法ではないが厳しい法規制がある
  • マルチ商法で違法な勧誘を受けるケースは多い
  • マルチ商法の被害で返金を受ける方法は3つある
  • 弁護士・司法書士への依頼でスムーズな返金が期待できる

マルチ商法は必ずしも違法な商法ではありませんが、大きな利益が得られるのはごく一握りの人にしか過ぎません。末端の会員が利益を得ることは非常に難しいのが実情です。

それだけに、先に入会した人は自分が利益を得るために詐欺まがいの勧誘方法で会員を増やそうとするケースが珍しくありません。甘い言葉に騙され、マルチ商法の被害にあっている人も数多くいます。

そこでこの記事では、マルチ商法の被害にあったときの解約方法や返金を受ける方法をわかりやすく解説します。マルチ商法における勧誘のルールについても解説しますので、違法な勧誘に騙されないように参考になさって下さい。

マルチ商法とは?

まずは、マルチ商法とはどのような手口の商法のことをいうのか、そして違法性についても確認しておきましょう。

必ずしも違法な商法ではない

マルチ商法とは、特定の商品の購入やサービスの利用を勧め、契約した人が会員となってさらに別の人にその商品やサービスを勧めるという形で、連鎖的に会員数を増やし組織を拡大させていく商法のことです。

法律的には特定商取引法に規定されている「連鎖販売取引」に該当します。勧誘方法などについてさまざまな規制が設けられていますが、規制を守って行う限りにおいては違法な商法ではありません。

会員を獲得すれば直接成果を上げた会員だけでなく、上にいる会員にもマージンが入る仕組みとなっています。

ただ、大きな利益が得られるのはピラミッドの上部にいる一部の会員だけで、末端の会員は努力をして成果を上げても得られるマージンが少なく、思ったようには稼げないことがほとんどです。

勧誘をするために仕入れも必要なので、そのために多額の借金を抱えてしまう人も少なくありません。

さらに、「マルチ商法などやりたくなかったのに、騙されて入会させられた」というトラブルも頻発しています。

モノなしマルチとは

かつて、マルチ商法の取扱商品・サービスといえば健康食品や化粧品、英会話教材、エステなどが定番でした。

しかし近年ではインターネットが発達したこともあり、投資商品やオンラインゲームの会員サービスなどをはじめとして、取り扱うサービスの種類が多様化しています。このように、役務(サービス)を取り扱うマルチ商法のことは俗に「モノなしマルチ」と呼ばれています。

法規制があるとは、いえマルチ商法による被害件数はなかなか減らないのが実情です。国民生活センターには、マルチ商法に関する相談が例年1万件前後、寄せられています。そのうち半数程度は、モノなしマルチに関する相談が占めているとのことです。

ねずみ講との違い

マルチ商法とねずみ講は似ていますが、別の商法です。

ねずみ講も会員となった人が次の会員を獲得して連鎖的に組織を拡大していくという点ではマルチ商法と同じです。

しかし、ねずみ講の場合は特定の商品やサービスを取り扱うのではなく、入会金などの名目で新入会員にお金を振り込ませ、そのお金が先順位会員のマージンになるという仕組みとなっています。

このような仕組みは終局的に破綻することが明らかであるため、ねずみ講は「無限連鎖講の防止に関する法律」で全面的に禁止されています。

もっとも、悪質な商法による被害を防止するという意味ではマルチ商法とねずみ講の違いにこだわる必要もなく、「連鎖的な取引には手を出さない」と考えておく方が無難です。

マルチ商法の悪質な勧誘手口

マルチ商法で稼ぐためには、数多くの会員を獲得しなければなりません。そのため、勧誘方法においても以下のように、必ずしも違法ではないものの悪質な手口が用いられることが多くなっています。

友人や知人から勧誘される

営業のプロでもない人が、見ず知らずの人を勧誘して入会させることは容易ではありません。そのため、マルチ商法では友人や知人に対して勧誘が行われることが多くなっています。

人は、身近な人の言うことは信じやすい上に、頼み事をされると断りにくいものです。その結果、騙されて商品やサービスの契約をしてしまったり、騙されなくても納得できないまま入会してしまったりするケースが多いです。

こうなると、元々は良好だった人間関係にもヒビが入ってしまいます。

無料セミナーでしつこく勧誘される

近年では、商品やサービスを直接勧められるのではなく、無料セミナーに誘われるという手口が増加しています。特に多いのは、投資や副業などの無料セミナーがあるから話だけでも聞いてみるといい、といって誘い出される手口です。

無料セミナーに参加すると、終了後にしつこく契約を勧められます。複数の先順位会員に取り囲まれ、契約するまで帰してもらえないというケースも多発しています。

借金をしてもすぐに元がとれると勧誘される

マルチ商法で契約をすると高額の商品やサービスの契約をしなければならない上に、新たな会員を獲得するためには仕入れもしなければなりません。

そこで「お金がない」という理由で断っても、勧誘員から借金やクレジットカードを利用すればよいと勧められることが多いです。

「借金してもすぐに元がとれる」「簡単に稼げるから借金してでもやらないと損だ」などと説得され、契約を迫られるのです。

しかし、実際には末端の会員が稼ぐことは難しいので借金だけが残り、返済に窮してしまう人が後を絶ちません。

マルチ商法における違法行為と罰則

マルチ商法の勧誘行為は特定商取引法で厳しく規制されているため、実際には多くのケースで違法な勧誘が行われているのが実情です。

以下で、主な違法行為を罰則とともにご紹介していきます。

マルチ商法であることを告げない勧誘

マルチ商法として商品やサービスの契約を勧める際には、相手方に対して、マルチ商法の勧誘をする目的であることを告げる必要があります。

無料セミナーや無料体験に誘い出されるケースでは、勧誘の目的を告げられないことが多くなっています。

マルチ商法であることを告げずに勧誘すると、事業者や勧誘者が取引停止命令や違反行為の是正指示といった行政処分の対象となります。

嘘の説明による勧誘

マルチ商法では誰もが稼げるわけではありませんし、また取り扱い商品・サービスを使用して得られる効果にも個人差があります。

それにもかかわらず、「絶対稼げる」「簡単に稼げる」などの勧誘文句で入会を勧めたり、「確実に効果がある」といって商品・サービスの契約を勧めることは、嘘の説明をしていることになります。

このようにマルチ商法の勧誘において不実のことを告げたり、事業者にとって不都合な事実を故意に告げないことは禁止されており、違反した事業者や勧誘者には3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑罰が科せられることがあります。

強引な勧誘

マルチ商法の勧誘では、人を威迫して困惑させることにより契約させたり、契約解除を妨げることが禁止されています。

友人や知人から執拗に契約を迫られたり、無料セミナーの会場などで契約するまで帰れないような状況に置かれた場合は、この規制に違反している可能性があります。

違反した事業者や勧誘者には、嘘の説明による勧誘のケースと同様、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑罰が科せられることがあります。

公共の場以外での勧誘

マルチ商法の勧誘は、公衆の出入りする場所で行わなければならないとされています。ファミリーレストランや喫茶店のように、一般の人の目につく場所が典型的です。

それに対して、事業者の事務所や先順位会員の自宅などのように、人目につかない場所に呼び出して勧誘することは禁止されています。

この点に違反があった場合も、やはり事業者や勧誘者に3年以下の懲役または300万円以下の罰金という刑罰が科せられることがあります。

誇大広告やメールによる勧誘

当然のことですが、マルチ商法でも誇大広告を打つことは禁止されています。ここにいう誇大広告には、取り扱い商品・サービスの性能や品質、サービスの内容だけでなく、マルチ商法のシステムについても、実際よりも著しく優良または有利であるかのような表示をした広告のことを指します。

また、相手方の承諾がないのに事業者や勧誘者が電子メール広告を送信することも禁止されています。

これらの規制に違反した事業者や勧誘者には、100万円以下の罰金という刑罰が科せられることがあります。

必要な書面を交付しない

マルチ商法で契約をする際には、勧誘した側が契約前後に以下の書面を相手方に交付しなければならないこととされています。

  • 契約前…そのマルチ商法の概要を記載した書面(概要書面)
  • 契約後…契約内容を明確に記載した書面(契約書面)

的確な書面が交付されなければ、相手方は契約の適否を判断することができません。

概要書面と契約書面のどちらか一方でも交付されなかった場合は、事業者や勧誘者に6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金という刑罰が科せられることがあります。

実際にあった悪質なマルチ商法の事例

マルチ商法で違法な勧誘を行ったとして、事業者や勧誘者が逮捕される事例がたびたび報道されています。ここでは、実際にあった事例をいくつかご紹介します。

副業セミナーで参加者に高額費用を支払わせた事例

2022年9月20日、全国で不正にマルチ商法の勧誘を行っていたとして、グループのリーダーら複数名が特定商取引法違反の容疑で逮捕されました。

報道によると、容疑者らは全国各地で副業セミナーを開催し、特定のカジノゲームを宣伝して新規会員を獲得すれば高額の報酬が得られるなどと勧誘し、参加者に高額の初期費用を支払わせていたとのことです。

契約の際に必要な書面を交付していなかったことが逮捕容疑となったようです。

また、勧誘の際の説明ではオンラインカジノに関する商材を紹介することで報酬が得られる「アフィリエイト」であるとのことでしたが、実態はマルチ商法そのものでした。

したがって、マルチ商法であることを告げずに勧誘したことや、嘘の説明で勧誘したという点でも違法となっていた可能性があります。

参考:YAHOO!JAPANニュース

エステの名目で誘い出して会員登録を勧誘した事例

2021年11月11日、日用品等の連鎖販売を営む「日本アムウェイ」の会員2名が、マルチ商法であることを告げずに勧誘したとして、特定商取引法違反の容疑で逮捕されました。

報道によると、容疑者の1人がマッチングアプリで知り合った女性に対して、アムウェイのことを伝えないまま「知人にエステティシャンがいるので施術を受けてみないか」という名目で誘い出しました。

もう1人の容疑者者はそのエステティシャンで、施術後に一般人が出入りしない建物内で、化粧品の購入とアムウェイへの入会を勧めたとのことです。

日本アムウェイそのものは違法な企業ではありませんが、このように連鎖販売取引では勧誘員が違法な勧誘を行うケースが少なくないので、注意が必要です。

参考:毎日新聞

嘘の説明で仮想空間ビジネスに勧誘した事例

2011年6月の事件ですが、インターネット上の仮想空間におけるビジネスで会員を集めていた「ビズインターナショナル」(ネット関連会社)の事件に関して、都内の投資会社の社長や幹部ら3名が逮捕されました。

社長は、嘘の説明でビズインターナショナルの会員に勧誘したという特定商取引法違反の容疑でも逮捕され、略式命令ですが罰金100万円の有罪判決を受けています。

同社長はその後、金融商品取引業の登録がないにもかかわらず、ビズインターナショナルの仮想空間ビジネスへの出資金という名目で会員らから金銭を騙し取ったとして、詐欺罪および金融商品取引法違反(無登録営業)の疑いで起訴され、有罪判決を言い渡されました。

近年では、この事例のようにインターネット上のビジネスにまつわるマルチ商法が急増しており、その手口も複雑化・巧妙化しています。

参考:日本経済新聞

マルチ商法の被害にあったときに返金を受ける方法

マルチ商法の被害にあっても、適切に対処すれば返金を受けられる可能性が十分にあります。

被害に気付いたら、落ち着いて以下の対処法を検討しましょう。

20日以内ならクーリングオフ

マルチ商法での契約には、特定商取引法上の「クーリングオフ」制度が適用されます。契約書面を受け取った日、または商品を受け取った日のどちらか遅い方の日から数えて20日以内は、無条件で契約を解除し、返金を受けることができます。

概要書面や契約書面が交付されていない場合や、交付されていても内容に不備がある場合、クーリングオフすることを業者に妨害された場合には、20日を過ぎていても、クーリングオフが可能です。

クーリングオフの方法は、以下の事項を記載した書面を作成し、契約の相手方である業者へ送付します。

  • 契約の相手方である業者名
  • 契約の年月日
  • 商品またはサービス名
  • 契約金額
  • その契約を解除し、返金を求める旨
  • 自分の住所、氏名

同じ書面を3部作成し、郵便局の窓口で内容証明郵便で送付する手続きをとれば1部を控えとして交付されますので、保管しておきましょう。

ハガキで送付することも可能で、その場合にはハガキの両面をコピーした上で郵便局の窓口に持参し、簡易書留または特定記録郵便として送付する手続きをとり、「書留・特定記録郵便受領証」を受け取ってコピーと一緒に保管しておきましょう。

中途解約で一部返金も可能

クーリングオフが可能な期間が経過した後でも、次の条件をすべて満たす場合には将来に向かって契約を解除(中途解約)できます。

  • 連鎖販売取引の契約から1年が経過していない
  • 商品の引き渡しを受けた日から90日が経過していない
  • 商品をまだ再販売していない
  • 商品をまだ使用、消費していない

中途解約の場合は違約金がかかることがあるので全額の返金を受けることは難しいですが、契約金額の一部については返金を受けられます。

中途解約する方法は、クーリングオフの方法と同様です。

嘘の説明をされた場合などは契約取消し

マルチ商法における勧誘の際に不実のことを告げられたり、業者にとって不都合な事実を故意に告げられずに誤認して契約した場合は、クーリングオフの期間が経過した後でも契約を取り消すことができます。

契約を取り消せば、はじめから契約がなかったことになるので全額の返金を受けることが可能です。

契約取消しの方法もクーリングオフの方法と概ね同じですが、業者へ送付する書面の中に「不実のことを告げられた」または「業者にとって不都合な事実を故意に告げられなかった」ために誤認し、契約した事実を記載する必要があります。

マルチ商法の被害で弁護士・司法書士に相談するメリット

マルチ商法の被害にあったことに気付いたら、弁護士または司法書士という法律の専門家に相談することを強くおすすめします。専門家に相談・依頼することで以下のメリットが得られます。

  • 解約、返金が可能かを判断してもらえる
  • クーリングオフや中途解約、契約取消しの書面を正確に作成し、送付してもらえる
  • 必要に応じて事業者との交渉、返金請求を代行してもらえる
  • 刑事告訴や民事裁判も視野に入れて、的確に交渉してもらえる
  • 裁判が必要となった場合にも全面的にサポートしてもらえる

理論上、マルチ商法の被害者は契約の解除や取消しによって返金を求めることが可能です。しかし、被害者が一人で返金を請求しても事業者が素直に応じる可能性は低く、対等に交渉することも難しいので、泣き寝入りすることにもなりかねません。

弁護士・司法書士を介して適切に対処することで、満足できる結果が期待できます。

まとめ

マルチ商法そのものは違法な仕組みではありませんが、実際には違法な勧誘が行われているケースが多いのが実情です。

違法な勧誘を受けた場合には事業者にその責任を問うことが可能であり、事業者側に違法行為がなかったとしても20日以内ならクーリングオフが可能です。

被害に気付いたら早めに弁護士・司法書士に相談し、専門家の力を借りて返金を求めていきましょう。

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