- アフィリエイト詐欺の被害者には法律上の返金請求権がある
- どのようなケースで返金請求が可能となるかがわかる
- アフィリエイト詐欺の業者と交渉せず返金を受ける方法もある
- 最終的には民事訴訟で返金を受けることが可能である
アフィリエイトは、パソコン1台で収入を得ることが可能で、人気の高い副業のひとつです。Web上に掲載した広告がクリックされたり、そこから商品が売れたりすると報酬が得られる仕組みで、実際に高収入を獲得している人もいます。
ただ、他の副業と比べて難易度が高いのが実情です。成果を上げるためには、実績がある人から指導を受けることも重要なポイントとなります。
そんな初心者の弱みにつけ込み、多額の金銭を騙し取るアフィリエイト詐欺が多発しています。
この記事では、アフィリエイト詐欺の様々な手口をご紹介した上で、返金方法を詳しく解説します。
アフィリエイト詐欺の手口
アフィリエイト詐欺には、以下の手口があります。「詐欺にあったのではないか」とお悩みの方は、該当する手口がないかをしっかりとご確認ください。
高額の情報商材を売りつける
最も典型的な手口は、アフィリエイトのやり方を解説した情報商材を高額で売りつけるというものです。
誰しも、最初はアフィリエイトのやり方など何もわかりません。ほとんどの方は、インターネットでやり方を調べます。
ネット上には、アフィリエイトのやり方や稼ぐコツを配信するブログやSNSが数多くあります。その解説を読み進めていくと、「この通りにやれば、あなたも高収入」などと謳った情報商材の購入を勧められることがあります。
本当に有益な情報商材も少なくありませんが、以下のようなものは詐欺である可能性が高いです。
- ネットで少し調べればわかるような情報しか書かれていない
- 宣伝文句とは異なる内容となっている
- 一般の人では実践できないような手法ばかりが書かれている
- 内容に見合わない高額の代金が設定されている
ツールを高額で売りつける
アフィリエイトをするためには、いくつかのツールが必要です。
どのようなツールを選べばよいのかがわからない初心者をターゲットにして、不必要なツールや、効果が薄いツール、粗悪なツールなどを高額で売りつけるという手口もあります。
セミナーに誘い、高額の参加費を請求する
情報商材を読むだけでは実践できないという人を対象として、アフィリエイトのセミナーも開催されています。
セミナーの内容や参加費の金額は様々ですが、高額の参加費を徴収しておきながら、アフィリエイトのノウハウの肝心な部分を教えない手口は、詐欺の可能性が高いといえます。
セミナーで高額の商品を売りつける
セミナーの主催者の中には、参加費で儲けるというよりも、集まった人に対して高額の商品を売りつけて稼ぐことを目的としている人もいます。
セミナーでは「自分も頑張れば稼げる」というモチベーションが高まるような話をして煽り、「本気で稼ぎたい方には、こちらの商品をおすすめします」といって高額商品の購入を迫る手口です。
情報商材やツールの他にも、コンサルタントやサポートの高額な契約を迫られることもあります。
コンサルタントやサポートで高額の料金を請求する
情報商材やセミナーを利用しても稼げないという人を対象として、コンサルタントやサポートといったサービスを個別に提供する業者も数多くいます。
本当に親身なサービスを提供する業者もいますが、以下のようなケースは詐欺の可能性が高いといえます。
- 情報商材やセミナーで説明した内容を繰り返すだけ
- 連絡しても返信がなかなか来ない
- 利用できる回数や時間が極端に少ない
- サービス内容に見合わない高額の料金が設定されている
返金保障を謳って勧誘する
情報商材やコンサルタント契約の広告では、返金保障があると強調されていることが多いものです。しかし、実際には返金に応じない業者が少なくありません。
返金する意思がないにもかかわらず、返金保障を謳うことで、情報商材の購入を促すという手口なのです。
返金申請を受けたときの業者の対応は様々ですが、以下のような例が多く見受けられます。
- 返金申請を受けると連絡がとれないようにする
- 返金の条件として困難な作業を要求し、返金を諦めさせる
- 何かと理由をつけて交渉を引き延ばし、返金を諦めさせる
- 代金の一部を返金するだけでユーザーをごまかそうとする
バックエンド商法で次々に費用を請求する
アフィリエイトを教える業者がよく使う手法に、バックエンド商法というものがあります。契約した人に対して「さらに成果を上げるためには、こちらの商品が効果的です」と謳い、他の商品購入やサービスの契約を勧める商法です。
バックエンド商法そのものは詐欺ではありませんが、情報商材では具体的なノウハウを伏せておきながら、別の情報商材やツール、コンサルタント契約などを迫ってくる手口は詐欺の可能性が高いといえます。
アフィリエイトへの勧誘は詐欺?
アフィリエイト業者の勧誘行為が、刑法上の「詐欺罪」や民法上の「詐欺」に該当するケースは、当然ながら違法です。しかしながら、すべてのケースが違法となるわけではないことに注意する必要があります。
勧誘自体は詐欺ではない
アフィリエイトというビジネスは違法行為ではありませんし、そのやり方を有料で他人に教えることも違法ではありません。したがって、以下のことを勧誘すること自体は詐欺ではなく、違法でもないのです。
- 情報商材の購入
- アフィリエイトに役立つツールの購入
- セミナーへの参加
- コンサルタントやサポートの契約
情報商材などの内容が事前の説明とまったく異なるものであったり、到底実行できない手法ばかりが書かれているような場合は問題がありますが、最近ではそのような商品・サービスは少なくなってきています。
アフィリエイトが一般に浸透してきた近年では、情報のクオリティに高低はありますが、内容自体には特に違法性がないものがほとんどです。
アフィリエイトは難易度が高いことにも要注意
情報商材やセミナー、コンサルタントなどで勉強したとおりに実践したのに成果が出なかったとしても、詐欺だとは限りません。アフィリエイトは、それだけ難易度が高いビジネスなのです。
一般社団法人日本アフィリエイト協議会(JAO)による調査では、例年、アフィリエイトをしても月に1,000円も稼げていない人が約70%もいるとのことです。
2021年のデータでは、以下のとおり、80%以上の人は月に5,000円も稼げていません。
- 収入なし…37.9%
- 1,000円未満…30.7%
- 1,000円~5,000円未満…12.4%
中には高収入を得ている人もいますが、月に10万円以上を稼いでいるのは、わずか4.9%しかいません。
参考:一般社団法人日本アフィリエイト協議会|アフィリエイト市場調査2021を発表 ~月1万円以上の収入割合は13.1%~
稼げていない人の中にはアフィリエイト詐欺にあった人もいるかもしれませんが、情報商材等で学んだとおりに実践しても、なかなか思うようには稼げないといわれています。つまり、正当な情報商材やセミナーなどを利用しても、高収入を得られる人は一握りだということです。
アフィリエイトに取り組むなら、この実情は知っておかれた方がよいでしょう。
勧誘方法が詐欺に当たることはある
とはいえ、アフィリエイトを教える側は、正当な業者も詐欺業者も、情報商材等を販売することで大きな収益を上げようとしています。そのため、様々な工夫を凝らして勧誘しているのです。
アフィリエイト詐欺が発生するのは、その勧誘方法が違法な場合がほとんどです。そこで、アフィリエイトの勧誘が違法な詐欺に当たるかどうかの判断基準を次項でみていきましょう。
アフィリエイトの勧誘が詐欺かどうかの判断基準
以下のような勧誘方法を行っているアフィリエイト業者は、詐欺である可能性が高いといえます。該当する業者との関わりを持ってしまった方は、後にご紹介する返金方法まで、しっかりお読みください。
誇大な広告
アフィリエイト商材に限らず、商品・サービスの広告やセールスレターには、魅力的な宣伝文句が並べられているものです。しかし、誇大な表現を用いて広告することは、特定商取引法に反する違法行為です。
「誰でも確実に月○十万円稼げます」
「この教材を読めば月100万円は簡単です」
「1日15分、コピペするだけで○万円」
「一度作業をすれば一生涯、不労所得が手に入ります」
実際には、誰でも確実・簡単に高収入が得られる手法など存在しません。アフィリエイトのやり方次第では一時的に半不労所得を得ることも可能ですが、生涯にわたって不労所得を得ることなど不可能です。
そのため、これらの勧誘方法は詐欺に該当します。
虚偽の説明
誇大な広告の表現が同時に「虚偽の説明」に該当することも多いですが、その他にも業者が意図的に虚偽の説明を行うケースがあります。
例えば、「アフィリエイトで稼ぐコツを教えます」と説明しているにもかかわらず、情報商材の内容はブログやホームページの作成方法に終始していたり、せどりや転売など他の副業のやり方を解説していたりするケースです。
虚偽を述べてユーザーを騙し、商品・サービスの代金を支払わせる行為は、詐欺に該当します。
二重の価格表示
アフィリエイト商材のセールスレターやLP(ランディングページ)では、価格が二重に表示されていることがよくあります。
「通常は10万円の商品を、期間限定で3万円」
「先着○○名様に限り、5万円割引」
などの表示です。
本当に業者が記載したとおりの取り扱いを行っているのであれば、問題はありません。しかし、実際には期間や先着人数にかかわらず、いつまでも優待価格で販売し続けているケースが少なくありません。このような取り扱いは、景品表示法に反する違法行為です。
ユーザーに「今のうちに購入しなければ損をする」と誤信させて代金を支払わせているのですから、詐欺に該当する可能性が高いといえます。
特商法に基づく表記がない
インターネットで商品を販売する事業者には、ホームページやメルマガなどで以下の事項を表示することが特定商取引法で義務付けられています。
- 事業者の名称(法人の場合は代表者の氏名も)
- 事業者の住所、電話番号
- 商品の販売価格
- 代金の支払い方法
- 商品の引き渡し時期
- 返品や交換に関する規定
詐欺業者のホームページやメルマガなどには特商法に基づく表記がないか、表記があっても内容がでたらめであることが大半です。
アフィリエイト詐欺にあったらまずやるべきこと
アフィリエイト詐欺にあったと思ったら、返金を求める準備として、早急に以下のことを行いましょう。
業者の連絡先を確認する
まずは、業者の連絡先を確認することです。契約した業者のホームページやブログ、SNS、メルマガなどを改めて確認しましょう。連絡先が記載されていたらメモするか、スクリーンショットなどをして保存しておくことです。
ただ、連絡先がわからなくても返金請求が一切できないわけではありません。連絡先が見つからなくても立ち止まらず、次に進んでください。
詐欺の証拠を確保する
次に、詐欺の証拠を確保することです。業者の名称や連絡先の他にも、以下のようなものは削除せずに保存しておきましょう。
- 業者の広告やセールスレター、ダイレクトメールなど
- 業者が開設しているホームページやブログ、SNSなどのURLのメモ
- ホームページやブログ、SNSなどを表示した画面のスクリーンショット
- 購入した情報商材やツールなど
- 業者とやりとりしたメールやSNSのログ、スクリーンショットなど
- 代金を振り込んだ際の明細書や取引履歴
- クレジットカードで代金を決済した際の利用明細書
これらの証拠は、業者に対して民事訴訟や刑事告訴を行う際に必須の重要資料となりますので、できる限り数多く集めておくことが大切です。
アフィリエイト詐欺で返金を受ける方法
準備ができたら、いよいよ返金を請求していきます。アフィリエイト詐欺で返金を受けるためには、以下のような方法が考えられます。素早い対応が重要となりますので、できるものから試していきましょう。
返金保障を申請する
業者が契約の際に返金保障を付けていた場合、まずは返金を申請してみましょう。
たとえ詐欺業者でも、トラブルを嫌って返金に応じる可能性はあります。実際に返金申請をするユーザーはめったにいないようなので、試してみる価値はあります。
クーリングオフをする
クーリングオフは、訪問販売や電話勧誘販売で商品の購入やサービスの契約をした場合に、一定の期間内に限り、無条件で契約を解除して返金を受けることが可能な制度です。
ネット販売では基本的にクーリングオフは使えませんが、販売ページなどに契約の申し込みの撤回や契約解除に関する事項の記載がない場合には、申込みの撤回(クーリングオフ)をすることが特定商取引法で認められています。
この場合には、商品等を受け取った日から8日以内に、業者に対して申込撤回の意思表示を行う必要があります。
まだ8日が経過していない場合は、早急に内容証明郵便、またはメールやFAXなどの方法で意思表示を行いましょう。
販売業者と交渉する
以上の手段で返金を受けられなかった場合は、販売業者と交渉することが考えられます。交渉する際のポイントは、毅然とした態度で、粘り強く返金を求めることです。
詐欺業者も、ユーザーとのトラブルを恐れる傾向があります。ネット上に悪評が流れると収益が低下しますし、場合によっては警察に検挙され、営業できなくなることもあるからです。
業者に「うるさいユーザーには返金してしまおう」と思わせるほどに、粘り強く交渉したいところです。
決済代行業者と交渉する
販売業者が返金に応じない場合や、販売業者と連絡がとれない場合には、決済代行業者に相談すれば返金してもらえることがあります。
決済代行業者とは、情報商材専用のECサイトを運営し、そこで商品の受け渡しや代金の収受を代行する業者のことです。インフォトップ、インフォスタイル、ブレインなどが有名です。
そのサイト上の取引でユーザーが詐欺の被害にあったとなると、決済代行業者にも法的責任が生じかねないため、返金してもらえる可能性があるのです。
ただし、返金してもらうためには、詐欺の被害を受けた事実や、返金を求める法的根拠を具体的に説明し、必要に応じて証拠も示しつつ、交渉する必要があります。
送金先の口座の凍結を要請する
詐欺商材の代金を銀行振込で支払った場合には、銀行口座の凍結制度を試してみましょう。
この制度は振り込め詐欺救済法に定められているもので、詐欺などの犯罪に不正利用された口座を凍結し、その口座に残っている預金の中から被害者への返金が行われます。
預金が残っていなければ返金が受けられませんので、早急に警察に被害届を提出した上で、送金先の金融機関に連絡することが必要です。
クレジットカード会社に支払い停止を要請する
詐欺商材の代金をクレジットカードの分割払いやリボ払い、割賦払いで決済した場合には、そのクレジットカード会社に支払い停止を要請しましょう。
詐欺の被害にあったことが認められると、今後の支払いが停止され、既に支払った部分も返金してもらえます。このことを「支払い停止の抗弁」といいます。
支払い停止の抗弁を認めてもらうためにも、詐欺の被害を受けた事実や、返金を求める法的根拠を具体的に説明し、必要に応じて証拠も示すことが必要です。
チャージバックを申請する
クレジットカードの1回払いで決済した場合には、支払い停止の抗弁は使えませんので、クレジットカード会社にチャージバックの申請をすることになります。
チャージバックとは、カードの名義人が不正な取引などを理由として代金の支払いに同意しない場合に、カード会社がその取引を取消し返金を行う処理のことです。
チャージバックを受けるためにも、やはり、カード会社に対して、詐欺の被害を受けた事実や、返金を求める法的根拠を具体的に説明し、必要に応じて証拠も示す必要があります。
警察で被害届または刑事告訴をする
以上の手段で返金が受けられなかった場合には、法的措置が必要となってきます。第一に、警察で被害届または刑事告訴をしましょう。被害届だけでは警察はすぐに動いてくれないことが多いですが、刑事告訴をすれば警察は捜査を開始しなければなりません。
ただし、犯人が検挙されても警察がお金を取り戻してくれるわけではありません。しかし、犯人の氏名と連絡先がわかれば示談交渉で返金を受けられる可能性があります。示談がまとまらない場合でも、民事訴訟の提起が可能となります。
民事訴訟で返金を請求する
詐欺の加害者から返金を受けるための最終手段は、民事訴訟です。業者との取引が詐欺に該当する場合は、訴訟で契約を取り消して返金を請求できます。詐欺に該当しない場合でも、業者に不正・不当な行為があった場合には、不法行為に基づく損害賠償として返金を請求できる可能性があります。
訴訟では、業者の違法行為や返金を求める法的根拠などを記載した書面や、それらの事実を裏付ける証拠を裁判所に提出します。
裁判所でこちらの言い分が認められると勝訴判決が下り、被害金額を業者から強制的に回収することも可能となります。
集団訴訟を検討する
訴訟は厳格な手続きですので、事案の内容によっては、勝訴するのが容易でないこともあります。そんなときは、可能であればですが集団訴訟も検討してみましょう。消費者の詐欺被害の事案では、多数の被害者が集結して集団訴訟を提起することもよくあります。
集団訴訟には、以下のメリットがあります。
- 証拠の一部は被害者間で共有できる
- 他の被害者の話を聞くことで業者の不正行為が浮き彫りとなりやすい
- 集団で訴えることにより、民事だけでなく警察が動く可能性も高まる
- 弁護士費用は被害者間で分担するので割安となる
- 同じ立場の仲間がいるので心強い
集団訴訟を希望する方は、ご自身のSNSなどで多くの方々に呼びかけるのもよいですが、消費者被害の問題に強い弁護士に相談すれば、活動を主導してもらえることもあります。
アフィリエイト詐欺の被害で弁護士・司法書士に相談するメリット
アフィリエイト詐欺の被害で返金を受ける可能性を高めるためには、まず、弁護士または司法書士に相談することを強くおすすめします。返金方法にはいくつもの種類がありますが、法的な観点から最適な方法を勧めてもらえます。
実際に返金を請求する際には、弁護士・司法書士に依頼すれば、複雑な手続きはすべて一任できます。特に、民事訴訟は専門性の高い手続きですので、勝訴するためには法律の専門家によるサポートが必須といっても過言ではありません。
弁護士・司法書士に依頼することで得られるメリットをまとめると、以下のとおりです。
- 最善の返金方法がわかる
- 複雑な手続きは弁護士・司法書士が代行してくれる
- スムーズな返金が期待できる
- 高い確率で返金が受けられる
- 全額返金される可能性が高まる
まとめ
アフィリエイト詐欺にあったと思ったら、法律上の詐欺に該当するのかを冷静に判断することも重要です。その上で、返金可能な場合には証拠を確保し、実際に返金を求めていくことになります。
すべてのステップで専門的な知識やノウハウが要求されますので、「詐欺かな?」と思った段階で弁護士・司法書士に相談してみることをおすすめします。
法律の専門家の力を借りて、騙し取られたお金を取り戻しましょう。