- 在宅ワークの普及にともない詐欺に遭う会社員や主婦が増えている
- 仕事を始める前にお金を請求する業者はほとんどが詐欺師
- クラウド型の在宅ワーク求人にも詐欺師はいるので要注意
- 在宅ワーク詐欺の被害に遭っても返金できる可能性はある
在宅ワークは空いた時間に自宅で仕事をして副収入が得られるという働き手にとっては便利なシステムです。ネット上には様々な在宅ワークが募集されており、また副業に関する情報商材もたくさん販売されています。
これらの中には在宅ワーク詐欺とも呼べる、詐欺商法や騙してタダ働きをさせようとする悪質な手口も横行しています。そのため、お金を稼ぐために在宅ワークにトライしようとしたにも関わらず、金銭的な被害に遭う人が急増しています。
そこでこの記事では、在宅ワーク詐欺のよくある手口と見分け方、被害に遭った場合の返金
をさせるための方法についてご紹介します。泣き寝入りしないためにも参考になさってください。
在宅ワーク詐欺とは
在宅ワーク詐欺とは、「誰でも簡単に在宅業務で高収入が得られる」といった虚偽の求人情報をインターネットなどに掲載し、応募者から入会金・登録料などの名目でお金を騙し取る手口の詐欺です。
また、「仕事を開始するためにはスキルが必要」「研修のために教材が必要」などと言って、高額な情報商材を買わせるような手口もあります。
在宅ワークには「ライティング作業」「データ入力」「アンケート回答」などの募集をネット上でよく見かけますが、申込後に金銭を請求するような業者であれば、詐欺の可能性が高いため決してお金を支払ってはいけません。
すでにお金を支払ってしまった場合、記事後半で説明しますが、然るべき対処を検討しましょう。
在宅ワーク詐欺のよくある手口
在宅ワーク詐欺でどのようにしてお金を騙し取られるのか、よくある手口をみていきましょう。
登録料などの初期費用や会費を請求される
在宅ワークに応募すると魅力的な条件を説明され、いざ契約する段階になると「システム料」などの名目で登録料や契約料、月会費などを請求されることがあります。
また、現在の在宅ワークはパソコンを使って行うものが主流なので、ホームページの作成費用やサーバー、ドメインの費用といった初期費用を請求されるパターンもあります。
応募者が支払いを渋ると、「すぐに元はとれます」「これだけの初期投資で毎月高収入が得られるのですから、損はしません」などと甘い言葉を投げかけてきます。
このように言われると、他に条件の良い在宅業務はなかなか見つからないこともあり、つい支払いに応じてしまう人が後を絶ちません。
研修や教材の費用を請求される
悪質な業者は初期費用を騙し取っただけで終わりにせず、さらにお金を要求してきます。その手口としてよくあるのが、高額な研修の受講や教材の購入を勧めてくるケースです。
単に勧めるだけではなく、「教材を購入しなければ仕事を紹介できない」「研修を受ければ条件の良い仕事を優先的に紹介する」などといって強要してくるのが悪質業者のやり方です。
応募者は契約までした以上は後に引けなくなり、不審に思いつつも研修や教材の費用を支払ってしまいがちになります。
仕事をしても報酬が支払われない
在宅ワーク詐欺では、仕事をしたにもかかわらず報酬が支払われないという手口も多用されています。この手口にも、以下のようにいくつかのパターンがあります。
- 無理な条件で仕事を依頼され、納品しても条件違反を理由に報酬が支払われない
- 納品した成果物に様々な難癖をつけられ、低品質を理由に報酬が支払われない
- 納品した後に相手と連絡が取れなくなる
そもそも架空の業務を依頼して費用を騙し取ることを目的とした業者もいれば、無償で仕事をさせて成果物を着服しようとする業者もいるなど、バリエーションは様々です。
架空の追加費用を請求される
成果物を納品した後にも、さらに架空の追加費用を請求されることがあります。
例えば、ライター業務で納品した記事が高品質で大量のアクセスが集まったといって、「サーバーの容量を増設した方がいい」「あなた専用のサイトを作った方がいい」などという口実で数十万円を要求してくるような手口です。
そもそもサーバーの容量増設やサイトの作成は運営者の費用負担において行うべきものであり、記事作成を請け負っただけのライターが支払いを求められることはありません。
さらにいえば、サーバー代やドメイン代は高くても年間で数万円程度です。サイト運営に関する知識が少しあれば詐欺に気付くものですが、無知なまま甘い言葉を安易に信用すると多額の被害に遭いかねません。
実際にあった在宅ワーク詐欺の事例
次に、実際にあった在宅ワーク詐欺の事例をいくつかご紹介します。詐欺の手口について、より具体的なイメージを持っていただくために参考になさってください。
高額の初期費用を要求されたケース
まずは、在宅ワークを希望する人に対して甘い言葉で勧誘し、高額の初期費用を要求するケースの典型例をご紹介します。
この事例では、まず研修を受講させて稼げる気にさせ、その後に以下のような詐欺を仕掛けていきます。
2社は、研修の後、消費者に対し、本採用になったことを告げ、この時に初めて、在宅ワークを始めるためには、2社が消費者に提供する専用のウェブサイト(以下「ホームページ」といいます。)の制作、管理などの初期費用として、約 50 万円を支払う必要があると説明します。
消費者が支払をちゅうちょしたり、拒んだりすると、2社の担当者は、
「メルマガ収入は一人増えるごとに 324 円入ります。」
「月々300万円以上稼げる人もいるので、あなたもそれだけ稼いでもらいたい。」
「あなたなら1か月で 60 万円ぐらいは稼げるから、14 日間もやれば元が取れます。」
「ホームページで商材が売れたら、1個当たり2万 4300 円の収入になります。」
「会社で何割か負担できますが、どのくらい出せますか。」
「30 日間で売上が出なかった場合は、支払った代金を返納します。」
などと事業の実体がないにもかかわらず、消費者に都合の良いことを告げて、初期費用を支払うよう説き伏せます。【引用元】:消費者庁|在宅ワークを希望する消費者にホームページ作成料等の名目で多額の金銭を支払わせる在宅ワーク事業者2社に関する注意喚起
業務を始めた応募者に対しては報酬として1日当たり数千円を数回支払われたものの、その後支払いがなくなったとのことです。
さらには後日、ホームページの改良という名目で、さらに高額な追加費用を請求されたといいます。
業者の指示に従ってもお金を稼げないばかりか、50万円~500万円を騙し取られるという、非常に悪質なケースといえます。
稼げない情報商材を売りつけられたケース
こちらは、実際には稼げない教材(情報商材)を売りつけられたというケースです。
情報商材です。
エクセルを使って月に29万円
というのを買って、きめられたデータを作って送ったのですが、
何度送ってもデータ不備でNGが出ます。怪しいと思って「データはどこに売っているのですか」
ときいても教えてくれないし、買い取るつもりはないようです。要するに在宅ワーク詐欺です。うまく考えたものだと思います。
詐欺である証明は難しいのですが、
この手の情報商材は多いようです(というか在宅ワークの情報商材はほとんどこのパターン)。返金要求しても「データに不備があるのだから」と応じません。
何か打つ手があるでしょうか。
【引用元】:OKWAVE
情報商材の全てが詐欺だというわけではありません。
しかし、在宅ワークをはじめとしてお金を稼ぐ系の情報商材の中には、実際には稼げない内容であるにもかかわらず「この手法を使えば誰でも簡単に高収入」とうたって高額で販売されているものも多いので注意が必要です。
報酬が支払われないまま相手と連絡が取れなくなったケース
次は、仕事をしても報酬が支払われないケースの典型例です。
クライアントから納品してください、と言われ、納品しましたが、1ヶ月半くらい検修していただけず、報酬が振り込まれないままです。
何度も連絡を取っていますが、ダンマリを決め込んでいるのか、全く返信なしです。
このクライアントの評価をつけたいのですが、検修のまま、ストップ状態ですと、評価はできないのでしょうか。
【引用元】:クラウドワークス|みんなのお仕事相談所
この事例ではお金を騙し取られたわけではありませんが、タダ働きをさせられ、お金を稼ぐことができていません。
在宅ワーカーに仕事を依頼する人はできる限り報酬額を抑えたいと考えるものですが、この事例のように、報酬を支払わずに成果物を騙し取ろうとする人もいるので注意しなければなりません。
在宅ワーク詐欺の見分け方
ここでは、在宅ワーク詐欺を事前に見抜く方法をご紹介します。これから在宅ワークへの応募をお考えの方は、しっかりとご確認ください。
「誰でも」「簡単に」「高収入」とうたっている
まず、以下のような誘い文句で、誰でも簡単に高収入が得られるとうたっている求人情報には要注意です。
- 未経験者でもすぐに高収入
- 1日○時間の簡単な作業で月10万円以上稼げます
そもそも在宅ワークのほとんどは、低単価で地道な作業を繰り返すものです。未経験者が高収入を得ようと思えば、毎日休みなく、一日中働く必要があるでしょう。短時間で高収入が得られる仕事をするためには、専門的な資格や高度なスキル、キャリアなどが必要となります。
したがって、「誰でも」「簡単に」「高収入」が得られるかのように強調している求人情報を見たら、詐欺を疑うべきです。
働くためにお金がかかる
求人に応募してみて、仕事をする前から特別な費用の支払いを要求された場合は、その時点で詐欺であると判断して間違いありません。
パソコンやインターネット環境などは自前でそろえておく必要がありますが、正当な在宅ワークであれば報酬を得る前から費用を負担させられることはありません。手数料などがかかるとしても、獲得した報酬の中から差し引かれるのが通常です。
求人に具体的な仕事内容が書かれていない
架空の業務を依頼して費用を騙し取ろうとする業者の求人情報には、具体的な仕事内容が書かれていないことが多いものです。
そのような求人を出している業者に問い合わせると、研修の受講を勧められ、稼げる気にさせられたところで高額の費用を要求されるおそれがあります。
何をするのかがよくわからない仕事に応募するのは避けた方がよいでしょう。
会社情報が詳しく紹介されていない
求人情報を見る際には「会社概要」などをクリックして、その業者に関する情報を確認するようにしましょう。
詐欺業者の場合は会社概要が掲載されていないか、掲載されているとしても会社情報が詳しく紹介されていないことが非常に多いものです。
会社の所在地が番地まで記載されていなかったり、連絡先が携帯電話の番号やメールアドレスのみで、固定電話の番号が記載されていないことがほとんどとなっています。
その理由は、詐欺業者が実在しない架空の法人名を名乗っているからに他なりません。
悪い口コミが多い
求人情報を見て興味を持ったとしても、少しでも怪しいと感じた場合は、インターネットでその会社名やサービス名を検索して調べてみましょう。
そうすると、悪い口コミが多数投稿されていることがあります。ネット上の口コミが全て真実であるとは限りませんが、悪評が多い業者の求人に応募するのは避けた方が無難です。
在宅ワーク詐欺に遭ってしまったときの相談相手
在宅ワークに登録したけれどお金だけ取られて、「仕事は一切紹介されない」「業者と連絡が取れなくなった」といったように詐欺被害に遭って、悔しい思いをされている方もいらっしゃるでしょう。
ここからは泣き寝入りしないための詐欺被害に遭った時の相談相手についてご紹介します。
絶対にお金を支払わない
詐欺業者は、どこかのタイミングで必ず何らかの費用や料金を請求してきます。しかし、絶対に支払いに応じてはいけません。
働くためにお金を支払うことはないということを、必ず覚えておきましょう。
消費生活センター
消費者トラブルを相談できる国が設立した専門機関に国民生活センターという組織があります。そこでの苦情や問合せ窓口が消費生活センターで、電話でカウンセラーが相談を受付けつけています。
詐欺の状況や被害を伝えることで、被害を最小限にするための方法、適切な対処法などをアドバイスしてくれます。ただし問題を解決する機関ではありませんので、助言のみにとどまります。
警察
警察の職務は治安維持のための警備や事件の犯人逮捕です。詐欺事件の場合、組織的な詐欺や被害者の拡大といった事件性が高い事案であれば、被害届を出すことで捜査に動いてくれることを期待できます。
ただし、在宅ワーク詐欺のような少額詐欺案件の場合、民事事件として見なされるケースも多く、同一事件の被害者が増えない限り警察に多くは期待できません。
弁護士・司法書士
弁護士・司法書士は法律の専門家であり、民事トラブルの交渉役、裁判のサポートなどの対応ができます。在宅ワーク詐欺のような事案の場合、相手の所在が特定できれば、返金交渉、少額訴訟などのサポート対応をおこなってくれます。
ただし、相手の所在や組織(個人)などが分からなければ交渉することはできませんが、弁護士はそのような身元調査は業務対象外です。相手を特定するためには、事前に探偵に依頼するなどして所在を特定する必要があります。
在宅ワーク詐欺で被害に遭ったときの返金方法
次に、在宅ワーク詐欺でお金を騙し取られてしまった場合に、返金を受ける方法をご紹介します。
まずは、上記のように消費生活センターや警察に相談するのも良い方法です。それだけで、被害金額の何割かであれば返金されるケースもなくはありません。
しかし、全額の返金を求めるためには、以下の対処法が必要となってきます。
カード会社や銀行に相談する
詐欺に気付いたら、なるべく早めにカード会社や銀行に相談しましょう。
クレジットカード決済でお金を支払った場合には、早期にカード会社に連絡をして事情を伝えれば、詐欺業者との決済を取り消した上で返金してもらえる可能性があります。
銀行振込で送金した場合には、送金先の銀行に相談することで、振り込め詐欺救済法に基づき詐欺業者の口座が凍結され、その口座の預金の中から返金を受けられる可能性があります。
このように、詐欺業者と接触しない方法でお金を回収できれば、それに越したことはありません。
内容証明郵便を送付する
上記の方法で返金を受けられなかった場合は、詐欺業者に対して直接、返金を請求するしかありません。
詐欺業者の連絡先が判明している場合には、内容証明郵便で返金請求書を送付し、交渉することが有効です。
民事裁判や刑事告訴も辞さないという姿勢で交渉すれば、示談により返金を受けられる可能性もあります。
裁判を起こす
詐欺業者が交渉に応じない場合や、交渉がまとまらなかった場合は、損害賠償請求訴訟(民事裁判)で返金を請求することが必要です。
裁判で相手の詐欺行為と損害額を立証できれば、判決で詐欺業者に対して返金が命じられます。
それでも返金されない場合には、強制執行手続きにより詐欺業者の財産を差し押さえることも可能です。業者の銀行口座を差し押さえて被害金を回収することはよくあります。
弁護士・司法書士に相談する
前項では在宅ワーク詐欺の被害に遭ったときの返金方法を解説しましたが、被害者が自分で詐欺業者から全額を回収するのは非常に難しいのが実情です。
そのため、困ったときには弁護士または司法書士という法律の専門家に相談することを強くおすすめします。できれば、被害を受ける前に、少しでも怪しいと感じた時点で相談することが理想的です。
弁護士・司法書士に相談することで得られるメリットは以下のとおりです。
- 詐欺に当たるかどうかを的確に判断してもらえる
- 詐欺に当たる場合は、業者への具体的な対応方法についてアドバイスが得られる
- 被害に遭った場合は返金方法について具体的なアドバイスが得られる
- 依頼すれば、返金請求の手続きを代行してもらえる
まとめ
昨今の副業ブームに加えて、物価の高騰や社会保障費の負担の増大などの社会背景から、在宅でできる副業を希望する人は今後も増え続けることでしょう。それに伴い、在宅ワーク詐欺も増加・巧妙化していくはずです。
これから在宅ワークで働こうとお考えの方は、詐欺の危険性を十分に認識しておく必要があります。
万が一、怪しい業者からお金を騙し取られたなら、弁護士・司法書士の力を借りて返金を求めていきましょう。