台湾人の国際ロマンス詐欺師の手口や特徴と事例を紹介

台湾は親日な人が多いことで知られていますが、日本人も同様に台湾に対して好意的な人が多いです。それを悪用するのが台湾人を演じる国際ロマンス詐欺師です。

台湾人ロマンス詐欺師は、インスタやマッチングアプリから、「自分は日台のハーフだ」「日本企業で働いている」といったように親近感を持たせるようなメールを送ってきます。

そして、恋愛モードで積極的に口説いて「結婚しよう」「二人の未来のために投資でお金を稼ごう」と持ちかけてくるのが常套手段です。このような手口に引っかからないためには、実際の詐欺の事例を知るとよいでしょう。

この記事では、国際ロマンス詐欺の専門家で当サイトにて記事を執筆・監修をお願いしている「姐さん」が相談を受けた台湾人詐欺師の手口や特徴・事例について紹介します。

国際ロマンス詐欺の台湾人詐欺師の割合は？

国際ロマンス詐欺の注意喚起の活動をする専門家「姐さん」の情報によると、台湾人を騙る詐欺師案件は増えており、国籍別の割合で全体の9.2%と4番目に多いということです。

国際ロマンス詐欺は、投資詐欺と手数料詐欺に大別できますが、台湾人詐欺師は女性を狙った投資詐欺がほとんどだということです。

【台湾人詐欺師、詐欺手口、男女比の割合】

• 相談件数346件中32件が台湾人案件。
• 全体の9.2%で国籍別にみると日本人詐欺師案件と同率4位
• 32件中31件が投資系詐欺案件
• 詐欺師の男女比 男32人（100%）: 女0人（0%）

■姐さんのTwitterアカウント
https://twitter.com/Frank_romance

■姐さんのインタビュー記事
【専門家インタビュー】国際ロマンス詐欺の手口・特徴・事例について

台湾人ロマンス詐欺師の手口と特徴

日本人を狙った台湾人ロマンス詐欺師のよくある手口や特徴について姐さんに聞いてみました。

──台湾人ロマンス詐欺師でよく使われる盗用画像──

ロマンス詐欺師は、必ずイケメンやお金持ち風の写真を勝手に盗用しますが、台湾人詐欺師でよく使われるのは、実際の台湾人も中にはありますが、中国の他にタイ、ベトナムや韓国人が多いです。

女性が一目惚れするようなずば抜けてイケメンという感じではなく、何となく見慣れた普通の感じの顔の人で、童顔よりも年齢相応の落ち着いた雰囲気の男性の画像を盗用しています。

台湾が日本に比べて暑い国のイメージからなのか、半裸の写真を送ってくることがやたら目立ちます(苦笑)

──台湾人ロマンス詐欺師のキャラで多いのが日本人とのハーフ──

台湾人詐欺師のキャラ設定でよく使われるのが、「台湾人の父親と日本人の母親がいるハーフ」です。日本人にとって親しみやすい台湾人ですが、さらに親近感を持たせるために日本人とのハーフキャラを使うものと考えられます。

また、ロマンス詐欺師が名乗る職業として多いのが「貿易会社経営」ですが、台湾人ではあまり見かけません。日本企業に勤めている、自身の経営する会社の日本支社に勤務するといった設定が目立ちます。このように詐欺師も国籍別にキャラを上手く使い分けていることがわかります。

──台湾人ロマンス詐欺技の手口は「副業と投資」──

台湾人詐欺師のお金を騙し取る手口は中華系詐欺師に多い「投資・副業」が鉄板です。本人や親類（叔父）が金融アナリストをしている、副業で投資をしている、そして投資グラフを見せて儲かっているアピールをするのが常です。

──「日本に住んでいるからいつでも会える」と恋愛感情を抱かせる──

「日本に住んでいるからいつでも会えるよ」といったように、日本に住んでいる設定を使って短期間に恋愛モードにもっていくという手口を使います。

しかし、実際に会うために待ち合わせの約束をして日にちや場所を決めますが、「前日に突然用事が発生して会えなくなった」というのもよくあるパターンです。

当日、最寄り駅で待ち合わせたけれど連絡が来ずに会えなかったという女性の相談者もいました。また中には彼の住む家から800km以上離れた所から同棲をする約束をして荷造りをして航空券を買って準備をしたが、直前で彼の都合が悪くなって会えなくなったという方もいました。

他にも、実在する日本の企業の工場で働いた経験のある人物なのか、工場の責任者の名前を出して「自分を知ってるはずだから聞いてみてくれ」と言って信用させる詐欺師もいました。

──台湾人詐欺師のキャラでよく使われる騙すためのエピソード──

国際ロマンス詐欺師は様々な国籍を名乗って女性を騙しますが、以下のような万国共通とも言える口説きや泣き落としの文句があります。台湾人詐欺師も同じくこのようなセリフを使いますので気をつけてください。

• 元妻や彼女が浮気をして別れた(自分は裏切られたから浮気はしないアピール)
• 幼い娘がいて元妻が育てているのにシングルファーザーだと言う
• 投資で儲けた利益の数%を毎月孤児院に寄付
• 保護犬の収容施設や老人ホームに寄付(善人アピール)
• 週末は両親と食事(親孝行アピール)
• ビデオ通話を求めると静止画や盗用された男性のSNSにある動画を流す
• ビデオ通話を求めると「元妻がビデオ通話中に事故死したトラウマで出来ない」という

──台湾人を装うロマンス詐欺師の実際の国籍──

台湾人ロマンス詐欺師は実は別の国籍であることが多いです。私の経験や体感では、詐欺師の実際の国籍は中国、ミャンマー、マレーシア等の中華人や華僑が多いと思われます。日系人も少なからずいるかもしれません。

台湾人詐欺師は翻訳アプリを介して日本語の文章を送ってくることが多いですが、ときどき中国簡体字の漢字が表示されることがよくあります。

また、ちょっとした事でキレて中国語で暴言を言ってくるケースも多く、これは中国人詐欺師によくあるパターンです。

──詐欺師グループは巧妙に作成した仮想通貨取引所に登録させる──

詐欺師は女性を巧妙に投資に持ち込むと、仮想通貨取引所の「URL」を送ってきてそこに入金させようとしますが、それは「無認可」でグループが精巧に作成した偽取引所です。

登録する時には「免許証やパスポート、最近はマイナンバーカード」の画面を撮影して送るように指示します。そして住所や名前、銀行口座も入力させられます。そうするとどうなるか。被害者の個人情報が詐欺グループに登録され、身分証は偽造されて盗用した写真に貼り替えられて悪用されます。

──騙されて入金するのは投資初心者の女性ばかり──

銀行口座も悪用されて実際に自身の口座が凍結されてしまったという方もいます。騙されるのは投資の振込先が毎回違う個人名義の銀行口座だという事に何の疑問に感じない人ばかりです。その理由は、女性が投資初心者だったり無知の状態で詐欺師に言われるがままに入金してしまうからです。

私のもとに相談される方は「お金が戻って来ないのは自分にも非があると思う。でも身分証や銀行口座が悪用されたり自分の写真が悪用されたりしませんか？」という内容の問い合わせがほとんどです。

──詐欺師にはお金は払わない！しつこい勧誘はすぐにブロックしてください──

昔から「お金の話が出たら信用するな」「保証人になるな」「詐欺だと思え」と世間一般でよく見聞きします。しかし、うぶな女性は熱烈なアプローチに弱い面があります。

しかし、「未来の妻」「ハニー」「2人の将来のために」などと言われてもお金だけは出さないで欲しいです。半世紀生きてきてやっと王子様が迎えに来たとか絶対にないです。

詐欺師は絶対にあなたでは無くあなたのお金だけを愛しています。やり取りをしても詐欺師の押しには勝てないのでしたら即ブロックして連絡を断つようにしましょう。

台湾人ロマンス詐欺の事例

ここからは台湾人ロマンス詐欺師がどのような手口で日本人女性に近づいて、どのような職業やキャラクターを演じてお金を騙し取ろうとするのか、事例を紹介します。

姐さんが相談を受けた10件の事例の中から、詐欺師との実際のやり取りをLINEスクショと併せて紹介します。

六本木にタワマンを持っていると騙る詐欺師「チャールズ」

チャールズとはTinderからLINEへ移行してやり取りが始まりました。チャールズは名古屋と港区に自分の会社の支社を持っており、しかも六本木のタワマンに別宅もあるということです。

3年前、ビデオ通話中に妻が事故死してビデオ通話がトラウマになっていると同情を誘うような話をします。毎日マメに連絡してきて「3月に台湾で結婚しよう。その為に投資で稼ごう」とAzone仮想通貨取引所を案内されました。そのような案内に乗せられてしまい合計2千万円も送金してしまいました。

六本木で同棲する為に12月10日に東京で会う約束をして、私も東京行きの航空券を購入しました。会う前日にチャールズから「母が病気で入院した」と連絡が来て、その後LINEはブロックされました。

投資コンサルタント会社の経営者を騙る詐欺師「佐藤俊」

佐藤俊とは、TikTokのメッセージでやり取りを始めました。佐藤は香港の大学で金融取引の勉強をしていたということでした。そして叔父が上級国際アナリストをしているので、毎晩投資で利益が出ており、たくさんの資産があるということです。

妻と娘がいたけれど、自分が多忙だったせいで、妻が親友と浮気をしたので離婚したというエピソードを語ってきます。そして「僕は日本人と結婚したい！」と言って、さらに「FXに興味があるか？」と唐突に質問してきます。

怪しいと思い「詐欺ですよね？」と言ったら、「なんて失礼な奴だ！女は信用できない！」とキレてブロックされました。

50歳で退職すると語る詐欺師「陳洋(チンヨウ)」

陳洋とはmixiで知り合いました。彼は日本に来る3年前に同棲していた彼女に浮気されて別れたということです。「私は日本人女性が好きだ」「母も日本人との結婚を望んでいる」「日本人と結婚して50歳で仕事を辞める」と熱く語ります。

そして「妻と2人で世界旅行がしたいから投資をしよう」と誘ってきます。怪しいなと思って画像検索をしてみたら、写真の本人様（実物）を発見し、ロマンス詐欺であることがわかりました。

2人の将来のためと投資を促す詐欺師「陳梓豪(Jack)」

Jack とはmatchというアプリで知り合いました。日亞化学工業という日本の会社で働いているということで信用してしまいました。親しくなってやり取りが続く中で、「2人の将来のために妻も投資の勉強をしよう」と誘われます。つい言われるがままに仮想通貨投資を始めてしまいました。

口座からお金を引き出す時には「更に資金が必要」と言われたので、不審に思ってTwitterで検索しました。似たような事例が見つかったので詐欺と確信しました。しかし、Jackのことを好きになり過ぎて、ロマンス詐欺だという事実を受け入れるのに時間がかかりました。

Bioneという取引所に送金させる詐欺師「Lee Wang」

Leeから はInstagramにダイレクトメールが来て、それからLINEでやり取りを始めました。世間話が続いた後、彼に会社名を聞いてみたところ、「友人名義のため会社名は明かせない」と言う答えが返ってきます。

変だなと思いつつも、やり取りは続き半月後に会う約束をしましたが、前日に｢会社から外部接触禁止命令が出て会えない」と言われます。そして同日に投資の話を持ちかけられて、儲かるということなのでBioneという取引所に送金しました。

友人に相談したら詐欺だから止めたほうがよいと言われましたが、何かあれば引き出せばいいと思って自己資金の200万円と借入金800万円をつぎ込みました。利益が出たので喜んで引き出そうとしたら口座は凍結されおり、そこで目が覚めましたが後の祭りでした。

結婚を匂わせ投資を勧める詐欺師「李 泰東」

李からinstagramにダイレクトメールが来て、その後LINEに移ってやり取りが始まりました。彼は最初に「日本語が話せないのでサポートをして欲しい」と相談してきます。

その後、会話の流れの中で「私には旦那がいません」と言った途端、急激な恋愛モード全壊になり「あなたを私の妻にします」と言い始めます。

近く来日予定で「春節までにチャイナドレスを作って欲しい」と言いながら「明日投資の勉強を教えます」と言ってきます。そして銀行の残高を聞いて来ます。「私にはお金が無い」と答えると連絡が来なくなりました。

筋トレと投資が趣味という詐欺師「HO Wei Ting」

HO Wei Ting とはTinderで知り合いました。彼の趣味は筋トレということで鍛えた肉体の写真を見せられます。そして、LINEのやり取りの中でいつも投資で利益が出ているグラフを送ってきます。

彼から投資を勧められ、バイナンスに登録後Bitcoinを購入します。彼が指定するURLからADSSという偽取引所に送金する方法で計1500万円送金した後に口座は凍結されました。

さらにカスタマーセンターから保証金約250万円の支払いを求められます。そこでようやく詐欺だと気づきましたが、お金は戻ってきません。

仮想通貨で毎日儲かったアピールをする詐欺師「Wang yu」

Wang yu からはInstagramにダイレクトメールが来て、そこで何度かやり取りがあってLINEで連絡を取り合うことになりました。Wang yuは台北市在住で5年前に離婚して7歳の娘がいるということです。

副業で仮想通貨をやっているということで、「君にお金の稼ぎ方をアドバイスする」と言ってしきりに勧めてきます。1度は断りましたが、毎晩利益が出たグラフを送ってきて儲かってるアピールをします。

断り切れなくなって、少額ならと3万円から始めて最終的に50万円を投資しました。その後、引き出そうとしたらできなくなっており、詐欺だと気づきましたが遅かったです。

ヤマハ発動機ディーラーのボスを騙る詐欺師「陳 天助(Thomas)」

Thomas からはinstagramにメールが来て、「自分はヤマハ発動機で仕事をしていた」という自己紹介をされました。何となく話がはずみLINEへ。

Thomasは現在台湾中南地区嘉義雲林台南のヤマハディーラーでボスをしているということです。「日本のヤマハ工場の○田さんに聞いて貰えばThomasの事を知っている」と言って安心させようとします。そして、これは「静岡で撮影した皆既月食だ」と言って写真を送ってきます。

彼は実際に日本に住んでいたのかと完全に信用してしまいました。「投資すれば確実に儲かるよ」という誘い文句に乗せられて、OKDAX取引所に計200万円振込みましたが、それは偽取引所でした。口座は凍結されて、Thomasとの連絡も途絶えました。

横浜在住で大東建設で働いていると騙る詐欺師「ロベルト･チェン」

ロベルト･チェンからはInstagramに突然メールが来ました。聞いてもいないのに「自分は元台湾空軍パイロットで、シンガポール国立に留学し金融経済専攻。」していたと言います。

話を聞くと、3年前に妻が麻薬中毒になり離婚したということです。台北に住む両親から「日本人と結婚しろと促されている」「家族一緒に日本に住みたい」と言います。

「あなたを妻にしたい」「妻になる人は専業主婦で家を守って欲しいがそれまで一緒に投資で財産を作ろう」「1分で2千ドル儲かったよ」と言ってBITMEXを勧めてきます。

「今お金がありません」と断った途端LINEをブロックされました。

まとめ

台湾人ロマンス詐欺師は、マッチングアプリやインスタなどSNSからメールを送ってきてアプローチしてきます。そして、親日をアピールして親近感を持たせた後に恋愛感情を抱かせ、さらに投資に誘い込むのがお決まりの手口です。

日本企業で働いている、日本に住んでいるといったように身近な存在に思わせるのも台湾人ロマンス詐欺師の特徴です。そうやって大金を騙し取られた日本人女性被害者は大勢います。

怪しいメールが来たり、投資の話を持ちかけられたらブロックするようにしましょう。