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投資詐欺とは?手口と被害に遭わないための注意点、返金方法を解説

投資詐欺とは?手口と被害に遭わないための注意点、返金方法を解説 投資詐欺
この記事でわかること
  • 投資詐欺とは、偽の投資話を持ちかけて金銭を騙し取る犯罪である
  • 投資詐欺の手口には様々なバリエーションがある
  • 被害に遭わないためには「うまい話」はないと心得る必要がある
  • 弁護士・司法書士へ依頼することで返金される可能性が高まる

株や社債、その他の投資の勧誘を受け、投資詐欺の被害に遭う人があとを絶ちません。

以前から高齢者を中心に投資詐欺の被害事例は数多くありましたが、若い人が投資詐欺の被害に遭うケースも少なくありません。特に、最近は投資に興味を持つ人が増えてきたこともあり、被害件数も増えています。

詐欺師の手口も多様化・巧妙化しているので、被害に遭わないようにするためには、投資詐欺の手口を知っておくことが大切です。

そこで今回は、投資詐欺の具体的な手口や、被害に遭わないための注意点をご紹介した上で、騙し取られたお金を返金してもらう方法も解説していきます。

投資詐欺とは?

投資詐欺とは、偽の投資話を作り上げ、魅力的な商品であるかのようにかたって勧誘し、金銭を騙し取るという手口の詐欺です。

「必ず儲かる」「元本は保証されているので安心」などが詐欺師の決まり文句ですが、投資に興味がない人に対しても「今投資しないと損をする」などと言葉巧みにたたみかけ、多額の金銭を引き出そうとしてきます。

金融庁や国民生活センター、警察なども詐欺的な投資勧誘に注意するように呼びかけていますが、被害に遭う人はあとを絶ちません。

金融庁では専門の相談員が投資詐欺に関する相談を受け付けていますが、最近5年間の投資商品等に関する相談件数は以下のように推移しています。

年度 相談件数
2017年 9,092件
2018年 8,722件
2019年 8,348件
2020年 8,977件
2021年 10,138件

※金融庁が公表している「相談等の受付状況等」に基づき作成。
【出典】: 金融庁|金融サービス利用者相談室 皆様の「声」をお寄せください!

近年はコロナ禍で失業または減収した人が増えていることや、政府が投資を推奨していることなどから、今後も被害件数は増大していくと考えられます。

投資詐欺の主な種類

投資詐欺にも、さまざまなパターンがあります。その種類の数は、投資の種類の数だけあるといっても過言ではありません。ここでは、代表的な投資詐欺の種類をご紹介します。

株や社債への投資をかたる詐欺

株や社債の購入を勧めて資金を騙し取る手口の詐欺です。

特に、証券取引所に上場していない会社への投資に勧誘する「未公開株詐欺」によって、多額の金銭を騙し取られるケースが目立ちます。

未公開株は公開されていないので、証券取引所で購入することはできません。しかし、詐欺師は「近いうちに上場する予定の株があるので、特別にお知らせします」などと、特別な儲け話であるかのように装って勧誘してきます。

「上場すれば必ず高値がつく」「今のうちに安く買えば大きな儲けになる」などと言葉巧みな勧誘で購入させるという手口です。実際には上場する予定などない株式や架空の株式をつかまされ、購入資金を持ち逃げされてしまいます。

外国通貨への投資をかたる詐欺

近年では、外国通貨への投資をかたる詐欺も増えています。

主に開発途上国の通貨について、「さまざまな開発プロジェクトが進んでいるので、ちかいうちに大きく経済成長する」「経済成長に伴い、通貨の価値が跳ね上がるはず」「今のうちにこの通貨を買っておけば、大きな利益が出る」などと誘いかけ、高額の両替手数料などを要求してきます。

しかし、実際にはその国の通貨の価値が上がる見込みはほとんどなく、手数料だけを騙し取られるということになってしまいます。

暗号資産への投資をかたる詐欺

暗号資産への投資をかたる詐欺は、近年、急増しています。

暗号資産とは、電子データの形でのみ流通する通貨のことで、仮想通貨とも呼ばれるものです。

法定通貨とは異なり、短期間のうちに価値が大きく変動することがあります。そのため、価値が高騰して大きな利益が出ることもある反面で、暴落して大きな損失が出る可能性もあります。

「必ず価値が上がる」などの言葉で騙されると、多額の金銭を失うことになりかねません。

事業への投資をかたる詐欺

ベンチャー企業などの事業に出資し、その企業が成長すれば大きな見返りが得られるという儲け話をかたるパターンの詐欺は、昔からあります。

実際には事業活動を行わず、詐欺のためだけに立ち上げた企業や、架空の企業を紹介されて出資金を持ち逃げされるケースも多いです。

ロマンス詐欺

ロマンス詐欺とは、出会い系サイトやマッチングアプリ、SNSなどで知り合った異性から熱烈な愛情表現を受け、恋愛感情を抱いたところで詐欺を仕掛けられ、金銭を騙し取られるという手口の詐欺です。

詐欺の手口として投資話を持ちかけてくることが多いので、ロマンス詐欺も投資詐欺の一種と考えて警戒する必要があります。

外国人を装い、日本人では考えられないような愛情表現で短期間のうちに恋愛感情を抱かせ、FX投資を勧めて資金を騙し取るという手口が近年では急増しています。

ツールや情報商材を売りつける詐欺

投資に関するツールや情報商材などを売りつけるというパターンの詐欺もあります。

実際に投資で利益を出すためには、労力と時間がかかりますし、専門的な知識も必要となります。

そこで、早く投資で利益を出したいと考えている人に対して、「これを使えばすぐに儲かる」という騙し文句でFXの自動売買ツールや、投資の必勝法などを解説した情報商材を売りつけてくるのです。

詐欺師が売りつけるこれらの商品は高額であるにもかかわらず、価格に見合わない品質のものであることが多く、信用して購入した人はお金を騙し取られることになります。

投資詐欺の代表的な手口

次に、角度を変えて詐欺師がターゲットを騙すときに使う具体的な手口をご紹介します。

通常の勧誘型

電話や訪問営業などで投資への勧誘を行う手口は、昔も今も数多く行われています。

「必ず儲かる」「今投資しないと損をする」などの文句でストレートに勧誘してきますが、ターゲットからの信用を得るために、詐欺師が以下のような名称を名乗っていることがよくあります。

  • 有名な証券会社の社員
  • 金融庁の職員
  • 証券取引等監視委員会の職員
  • 日本証券業協会の職員

名義貸し型

通常の勧誘型では騙されない人も多いので、詐欺師はさまざまな手口を考え出します。その一つの手口として「名義貸し型」というものがあります。この手口の典型的な流れは、以下のとおりです。

  1. 未公開株など、必ず儲かる投資話があることを説明する
  2. 自分で購入したいが、何らかの事情で自己名義では購入できないという
  3. そこであなたの名義を貸してほしいと依頼する
  4. 金銭的な負担は一切なく、名義を貸しもらったお礼として報酬や商品券などを送ると説明する
  5. 名義貸しに応じると、弁護士を名乗る者から連絡が入り「名義貸しは違法行為です。解決するためには○○万円が必要です」などと金銭を要求する

送金した後は詐欺師と連絡が取れなくなり、金銭を騙し取られたことに気付くことになります。

劇場型

さらに別の手口として「劇場型」というものもあります。同一の詐欺グループの複数名が、それぞれ別の業者を演じ、ターゲットを巧妙に騙して金銭を騙し取る手口です。

この手口の典型的な流れは、以下のとおりです。

  1. A社を名乗る者から連絡が入り、必ず儲かる未公開株などへの投資に勧誘する
  2. ターゲットが拒否すると素直に引き下がり、「もし気が変わったらご連絡ください」と申し出る
  3. B社を名乗る者から連絡が入り、先ほどの未公開株を持っていれば高値で買い取る旨を申し出る
  4. ターゲットはA社から未公開株を買ってB社に売れば儲かると考え、A社に連絡してお金を送金する

やはり、送金後はA社ともB社とも連絡が取れなくなり、被害に遭ったことに気付くことになります。

被害回復型

もう一つの手口として「被害回復型」というものもあります。これは、既に投資詐欺の被害に遭った人に対して、「被害金を取り戻してあげます」と持ちかけ、手数料を騙し取るという手口です。

詐欺業者の間では、「カモリスト」と呼ばれる被害者の個人情報が出回っています。その情報を取得した詐欺師が弁護士などを名乗って被害者に連絡します。

そして「あなたからお金を騙し取った犯人が逮捕されました。これから被害金の分配を行います。あなたにも返金しますが、手数料として○○万円が必要です」などといって金銭を要求します。

同一の詐欺グループが通常の勧誘型・名義貸し型・劇場型のいずれかで金銭を騙し取った後、さらに被害回復型の詐欺を仕掛けてくることもあります。

実際にあった投資詐欺の事例

ここでは、実際にあった投資詐欺の事例をいくつかご紹介します。具体的な事例を見ることで、投資詐欺の手口に関する理解を深めていただけることでしょう。

ネット広告を信じて540万円を騙し取られた事例

2021年4月から8月にかけて、滋賀県大津市の65歳の女性が投資名目で540万円を騙し取られた事例が発覚しました。

同署によると、女性は昨年4月ごろ、インターネットで「元本保証」「数日後に配当」とする投資会社の広告を見つけ、「お試しプラン」として1万円を投資したところ、6日後に2万5千円を受け取った。その後、同社社員を名乗る男から電話やLINE(ライン)でさらなる投資を持ちかけられ、同月から8月にかけて複数回にわたり、指定された口座に計約540万円を振り込んだが、連絡が取れなくなったという。

【引用元】: 京都新聞|「お試しプラン」投資詐欺、65歳女性が540万円被害

この事例では、被害者が最初に「お試しプラン」で1万5,000円の利益を得ている点が特徴的です。これにより詐欺師を信用し、多額のお金をつぎ込むことになってしまったのでしょう。

このような手口も投資詐欺ではよくあります。

暗号資産の販売で20億円近くを騙し取ったとみられる事例

詐欺グループの男らが、暗号資産を販売して合計20億円近くを騙し取ったとみられる事例もあります。

6人はおととし8月から去年9月にかけ、「海外で流通し、将来値上がりする」などとうたい、独自に開発した暗号資産を30代から40代の男性5人に販売し、ビットコインなど約4000万円相当をだまし取った疑いが持たれています。

警察は、山田容疑者らがマッチングアプリで出会った男性に対し、ボイスチェンジャーで声を変え、女性を装って勧誘していたとみています。

(容疑者らのグループとみられる勧誘電話)「今は専業でトレーダ-してるよ。学生のころからお兄ちゃんの口座を使ってトレードしていたから、もう10年くらいかな」。

関係先の捜索で容疑者らが約1500人から20億円近くを集めた一方、海外への送金は確認されなかったということで、警察が実態解明を進めています。

【引用元】: ABCニュース|うその説明で暗号資産販売か 詐欺容疑で会社社長ら再逮捕 アプリで声変え“女性のフリ"して投資勧誘

暗号資産は値動きの判断が特に難しいので、「必ず儲かる」などといって勧誘を持ちかけられたときは、警戒することが必要です。

投資会社を名乗り約80億円を騙し取ったとみられる事例

次は、個別の商品を勧めるのではなく、資金を運用する投資会社を名乗って出資を募り、金銭を騙し取ったという事例です。

元本保証や高配当を約束し、無登録で出資を募ったとして、警視庁は投資会社リプラス(東京都港区)の幹部ら7人を金融商品取引法違反(無登録営業)容疑で逮捕し、5日発表した。2017~20年に全国の約1500人から計約80億円を集めたという。運用実態がなかった可能性が高いとみて、同庁は詐欺容疑でも調べている。

【引用元】: 朝日新聞デジタル|「先生」信じ、消えた蓄え 全国1500人が投資

投資のプロにお金を預ければ代わりに運用してもらえるというサービスは、投資の初心者には特に魅力的に感じるものです。しかし、投資話の裏には詐欺師が潜んでいる可能性があることにも注意する必要があります。

投資詐欺に遭わないための注意点

詐欺師は誰もが有している金銭欲を巧みについて、金銭を引き出そうとしてきます。そのため、詐欺の手口は知っていても騙されてしまうおそれがあります。

投資詐欺に遭わないためには、以下のポイントに注意することも必要です。

「うまい話」はないと心得る

投資には「必ず大きな利益が出る」といった「うまい話」はないと心得ておきましょう。

大きな利益が出る可能性がある投資話には、その反面で大きなリスクを伴うのが当然です。「元本保証」のようにリスクが少ない投資話なら、リターンも少ないものです。ローリスクでハイリターンの投資はあり得ません。

「うまい話」を持ちかけられたら、必ず裏があると考え、詐欺を疑いましょう。

業者の名称を検索し登録の有無や評判を確認する

投資で魅力的な商品も中にはありますし、大きな利益を上げている人がいるのも事実です。実際に投資をしたいと考えたときは、話を持ちかけてきた業者の登録の有無や評判を検索して調べましょう。

投資の勧誘をする業者には、金融商品取引業の登録が義務づけられています。無登録業者から話を持ち駆られた場合は、詐欺であると判断すべきです。登録業者かどうかは、金融庁のホームページで調べることができます。

【参考】: 金融庁|免許・許可・登録等を受けている業者一覧

登録業者の中にも悪質業者がいる可能性はありますので、利用する前にインターネットでその業者名を検索し、口コミや評判を調べてみましょう。ネット記事や被害者の投稿などから、詐欺業者であることが判明することもあります。

お金を動かす前に家族に相談する

いったん詐欺師の術中にはまってしまうと、自分で正常な判断をすることが難しくなってしまいます。そのため、大きなお金を動かすときには事前に家族等に相談することをおすすめします。

他人からの冷静なアドバイスを聞くことで詐欺に気付き、未然に被害を防止することにつながります。

投資詐欺に遭ってしまったときに自分で返金を求める方法

投資詐欺でお金を騙し取られてしまった場合、詐欺師に対して自分で返金を求めることは、あまりおすすめできません。

相手は詐欺師なので、まともな対応は期待できないからです。「詐欺だ」と迫ったことで、詐欺師に逃げられてしまう可能性も高いです。

自分で返金を求めたい場合は、以下の手段をとることが実効的です。

警察に相談する

投資詐欺は立派な犯罪なので、まずは警察に相談しましょう。警察も特殊詐欺やサイバー犯罪の検挙には力を入れているので、犯人を逮捕してもらえる可能性があります。

刑事事件として立件された場合は、示談交渉で犯人から返金が受けられることもあります。ただし、警察が示談交渉を進めてくれるわけではありませんので、自分で交渉する必要があります。

警察に相談する際は、最寄りの警察署を訪ねるとよいですが、ネット上で投資詐欺に遭った場合は、各都道府県の警察本部に設置されているサイバー犯罪相談窓口に相談することをおすすめします。

振り込め詐欺救済法の手続きを使う

警察に被害届を出した後、詐欺師への振り込み手続きを利用した銀行に連絡すれば、振り込め詐欺救済法に基づき詐欺師の口座を凍結してもらうことができます。

その口座に預金が残っていれば、所定の手続きに則り返金を受けることが可能です。

口座に預金がなければ返金を受けられないので、詐欺被害に気付いたら早急に銀行に連絡することがポイントとなります。

国民生活センターに相談する

投資詐欺の被害に遭ったら、国民生活センターに相談することも有効です。専門の相談員から具体的な対処法に関するアドバイスが受けられます。

ただし、国民生活センターの相談員も、直接に詐欺師からお金を取り戻してくれるわけではありません。

なお、投資に関するツールや情報商材などの高額な商品を売りつけられた場合は、クーリング・オフの手続きをとってもらうことで返金される可能性があります。

相談の際は、局番なしの「188」(消費者ホットライン)に電話すれば、最寄りの消費生活相談窓口を案内してもらえます。

投資詐欺に遭ったら弁護士・司法書士に相談を

詐欺師から返金を求めるためには、弁護士または司法書士という法律の専門家に相談・依頼することを強くおすすめします。

最適な解決方法を提案してもらえる

専門家に被害の実態を説明すれば、相手の行為が詐欺に当たるか、当たるとして返金を受けられる可能性があるかについて、ある程度の見通しをアドバイスしてもらえます。

どのようなケースでも、状況に応じて最適な解決方法を提案してもらえるので、具体的に対処することが可能となります。

詐欺師と直接交渉してもらえる

詐欺師との返金交渉が必要な場合は、弁護士・司法書士に依頼しましょう。被害者に代わって、直接交渉してもらえます。専門家としての立場で論理的に交渉してくれるので、実のある交渉が期待できます。

詐欺師も法律の専門家が相手となれば、刑事告訴や民事裁判を恐れます。穏便に解決するために返金してくることもあります。

裁判で返金を請求してもらえる

詐欺師との交渉が進まない場合には、裁判を起こす必要があります。

しかし、裁判手続きは複雑で、一般の方が的確に進行させることは難しいものです。また、十分な証拠がなければ勝訴できないという問題もあります。

弁護士・司法書士は証拠集めからサポートしてくれますし、複雑な裁判手続きもすべて代行して進めてくれます。

勝訴すれば、強制的に被害金を取り戻すことが可能となります。

まとめ

この記事では投資詐欺のパターンや手口をご紹介しましたが、今後は詐欺師の手口がさらに多様化・巧妙化していくことが考えられます。

被害に遭ってもすぐには気付かないことが多いので、うまい話には十分に警戒し、お金を動かす前には他人に相談するなどして被害を防止する重要性が増してくるでしょう。

万が一、投資詐欺の被害に遭ってしまったとき、返金を受けるためには早急に対処する必要があります。

詐欺の被害に気付いたら、すぐに弁護士・司法書士に相談し、正しく対処することをおすすめします。

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