令和6年7月3日から新紙幣の発行が始まりました。国内では20年ぶりとなる紙幣の切り替えですが、警察や国民生活センターからはこれに伴う新手の詐欺の流行について最大限の注意を呼び掛けています。
そこで今回の記事では新紙幣発行に伴う疑問とともに、今後流行が予測される詐欺について解説をしてまいります。
旧紙幣は銀行法によって『永久に使える』
新紙幣発行のニュースが出始めたころから多くの人から挙がった疑問が「これまでの旧紙幣は使えなくなるの?」というものです。
ネット上では「政府がタンス預金のあぶり出しをするために、旧紙幣は今後使えなくなる」といった都市伝説のような噂もたっていますが、結論から言えば旧紙幣は新紙幣に切り替わった後も今まで通り使用可能です。
これは『日本銀行法』という法律によって「日本銀行が発行する銀行券(お札)は、法貨として無制限に通用する」ことが定められているためで、新旧の切り替えがあったとしてもこれまでに発行された紙幣が使えなくなるということはありませんのでご安心ください。
紙幣の『交換』も不要|必要な場合は最寄りの金融機関へ
先ほどご説明をした通り旧紙幣は今後も引き続き使えますので、わざわざ自主的に新紙幣へ交換をするといった必要はありません。
もしも事情があって新紙幣が欲しい場合は、必ず『金融機関』に足を運んで両替してもらうようにしましょう。金融機関によりますが、いわゆるメガバンクでは一部の支店で7月3日当日から、それ以外は7月4日から順次新紙幣への両替に対応していく予定です。
ただし、紙幣の切り替え後しばらくは新紙幣が不足しており十分な量を用意できない場合もあります。
金融機関でも希望枚数の新紙幣が手に入らないという可能性は大ですので、長い目で待つようしてくださいね。
流行が予測される詐欺について
新紙幣発行に伴う詐欺としては次の2種が予測されており、特に前者についてはすでに被害者が出ています。
「旧紙幣は使えなくなる」
発生する可能性が最も高いと予測されているのが「旧紙幣が使えなくなる」という誤解を悪用した詐欺手口です。
東京都内ではこれまでに80代~90代の男女4名が約1500万円をだまし取られる被害に遭っていることが確認されています。
手口はどれも共通していて、金融機関の職員をかたる人物が被害者に対し「紙幣以降に伴い旧紙幣は使用できなくなる」「預けてもらえればすぐに新紙幣と交換します」「旧紙幣の流通量を調査するため、一度預けてほしい」などと嘘の電話をかけたうえで自宅を訪れ、現金を受け取ったあと姿をくらますというものです。
警視庁は「金融職員が自ら自宅を訪問し、紙幣の交換に応じることは絶対にありえない」と強調しています。
先ほど解説したように法的にも「新紙幣の発行に伴い旧紙幣が使えなくなる」ということはあり得ません。「旧紙幣が使えなくなる」といった電話を受けた場合は詐欺ですので、十分に警戒してください。
「新紙幣へ両替できます」
また「新紙幣への両替ができる」と謳う怪しい人物・企業等にも警戒をしてください。
基本的に新紙幣への切り替えは時間をかけて順次行われていくものであって、各金融機関での両替についても「運よく当日に新紙幣の在庫があればできる」程度のものです。
これに関してはお札の発行元である日本銀行でも『旧紙幣から新紙幣への単純な交換は行っていない』ことをホームページで明言しています。参考『新券発行開始後の引換えに関する留意事項について』(令和6年7月)
ビジネスや冠婚葬祭の場などのために新紙幣が欲しい場合でも、たとえばSNS上などで「新紙幣への両替可能」等と公言しているアカウントは詐欺の可能性が高いため、絶対に接触しないようしましょう。
不審に感じた場合は
国民生活センターでは「金融機関や行政機関が新紙幣について交換を求めることはありません」と前置きをしたうえで「新紙幣に関する不審な電話やメール、訪問があった場合は、警察に相談しましょう。」「不審に思ったら、すぐに消費生活センター等に相談しましょう。」と注意を呼び掛けています。参考:『新紙幣発行に伴うトラブルにご注意ください』(令和6年7月取得)
こうした詐欺犯罪では特に高齢者が狙われてしまう可能性が高いため、万が一にもご家族が被害に遭わないために予備知識として共有するようしてください。
なお消費生活センターや警察の相談窓口は次の通りです。
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
最寄りの警察の相談窓口につながる全国共通の電話番号です。
まとめ
詐欺被害に遭わないためにはまず新紙幣発行に伴う私たちの『誤解』を解いておくことが重要です。
今後予測される詐欺を回避するために「旧紙幣は今後使えなくなることは現在の法律上あり得ない」「新紙幣への両替は金融機関ですら順次対応をしていくものである」という2点についてご家族へ今一度確認するようしてください。
また例え金融機関の職員を語られたとしても、自宅に訪れた人物に旧紙幣を預ける事は絶対にやめましょう。