MT5詐欺とは?その手口と詐欺の見分け方、被害に遭った場合の返金方法も解説

この記事でわかること
  • MT5は詐欺ツールではないが、詐欺師が悪用することがある
  • 国際ロマンス詐欺の手段としてMT5詐欺が行われることが多い
  • MT5詐欺の特徴を知れば詐欺を見分けることも可能となる
  • 被害に遭った場合に返金を請求するには弁護士・司法書士への依頼が有効

MT5(meta trader5)とは、主に海外FXで取引を行うときに利用するツールであり、怪しいものではありません。

しかし、詐欺師が「MT5を使えば儲かる」などとかたり、多額の金銭を騙し取るという詐欺の被害に遭う人が急増しています。この詐欺の手口のことをMT5詐欺といいます。

FX投資やMT5のことをよく知らないまま、「儲かる」という言葉を信じてお金を出すのは危険です。

今回は、MT5詐欺の手口や特徴、実際にあった事例などをわかりやすくご紹介しますので、詐欺を見分けるための参考になさってください。

MT5詐欺に遭ってしまった場合に返金を請求する方法も解説しますので、被害金を取り戻したいとお考えの方の参考にもなれば幸いです。

MT5詐欺とは?

まずは、そもそもMT5とは何か、そしてMT5詐欺とはどのような詐欺なのかについて確認しておきましょう。

そもそもMT5とは

MT5とは「MetaTrader 5」の略称で、スマートフォンやタブレットでもFXのチャートを見ながらトレードできるツールのことです。

ロシアのメタ・クォーツ社が開発し、人気を博したアプリ「MT4」がバージョンアップしてリリースされたものが「MT5」です。

MT4より動作スピードが早くなり、自動売買や指標の表示、他のトレーダーとのチャットによる交流など便利な機能を備えており、海外では既にMT5が大人気となっています。

ただし、日本国内ではこれを使えるFX会社が少ないため、日本の投資家にとっては馴染みが薄いのが実情です。

MT5自体は詐欺ではない

MT5はFX取引をするためのプラットフォームであり、無料で利用できるアプリですので、詐欺的要素は何もありません。

これを使ったからといって金銭的に負担がかかるわけではありませんし、逆に、これを使ってもそれだけで稼げるわけでもありません。

MT5そのものは、何ら危険性のないツールです。

MT5が詐欺に使われる理由

MT5は海外FXを行う際に役立つツールですが、詐欺師が悪用するケースが多発していることから「MT5詐欺」という言葉が生まれました。

詐欺に使われやすい理由として、MT5が日本人にはあまり馴染みがないことが挙げられます。「MT5を使って海外FXをすれば大きな儲けが得られる」といった誘い文句で騙される人が少なくないということです。

また、最近は外国人を名乗ってインターネットで異性と知り合い、相手の恋愛感情を利用してFX投資などに勧誘してお金を騙し取る「国際ロマンス詐欺」の被害事例が急増しています。

国際ロマンス詐欺の加害者が相手を騙す際にも、「MT5を使えば儲かる」という誘い文句は便利なのでしょう。

国民生活センターにおいても近年、出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺に関する相談件数が急増しています。

出会い系サイトの相談件数

【出典】:国民生活センター|ロマンス投資詐欺が増加しています!-その出会い、仕組まれていませんか?-

MT5詐欺をはじめとする投資詐欺には、十分に警戒する必要があるといえます。

MT5詐欺の手口

次に、MT5詐欺の具体的な手口をご紹介します。

ここでは典型的な手口をご紹介しますが、詐欺の手口は巧妙化していくものですので、他のパターンで忍び寄ってくることもあるかもしれません。

したがって、投資話で怪しいと感じたら詐欺を疑い、すぐに手を引くことが重要となります。

マッチングアプリやSNSで声をかけられる

典型的な手口としては、まずマッチングアプリやSNSで見知らぬ異性からメッセージが送られてきます。

当初は熱烈な愛情表現を用いて、短期間のうちに親しくなろうとしてくるのが特徴的です。

詐欺師は外国人のこともあれば、日本人であることもあります。国際ロマンス詐欺のケースでは加害者が外国人を名乗りますが、MT5詐欺は日本人が仕掛けてくることもあるので注意が必要です。

MT5を使ったFX投資を勧められる

ネット上のやりとりで親しくなり、被害者が恋愛感情を抱いて気を許したところで、詐欺師はFX投資を勧めてきます。

このときに、「MT5を使えば儲かる」といってMT5の使用を勧めてくるのがMT5詐欺です。

国際ロマンス詐欺の場合は、「2人の将来のためにお金を増やそう」などの勧誘文句が用いられることが多いです。

いきなり投資の勧誘をして怪しまれないよう、あくまでもさりげなく投資の話を持ちかけてくるのが詐欺師の手口です。

儲かっているように見せかけられる

被害者が投資話に乗ってくると、詐欺師はまず少額の資金を預かり、代わりに運用するといいます。

そして、当初は儲けが出ているように見せかけられます。しかし、実際にはFX投資などしておらず、MT5の画面を改ざんした画像などを見せられ、利益が出ているように見せかけられているだけです。

それでも、FX投資やMT5のことがよくわからない被害者は信用してしまい、さらに多額の資金を詐欺師に預けてしまいます。

出金しようとすると税金などの名目で金銭を要求される

利益が出たので出金したいと被害者が申し出ると、詐欺師は出金するために税金や手数料が必要であるなどと答え、多額の金銭を要求してきます。

あるいは、小刻みに出金すると税金や手数料がもったいないので、しばらく待った方がいい、などと言われることもあります。

いずれも、詐欺師が送金を拒むための口実に過ぎません。

やがて連絡が取れなくなる

被害者が言われるがままになっていると、やがて詐欺師と連絡が取れなくなります。

そのときには口座も閉鎖されて出金できなくなっていて、お金を騙し取られたと気付くことになります。

実際にあったMT5詐欺の事例

ここでは、実際にあったMT5詐欺の事例をいくつかご紹介します。

実例を見ていただくことで、MT5詐欺の手口に関する理解を深めていただくとともに、多額の金銭を騙し取られる危険性についても認識していただければと思います。

40代男性が500万円を騙し取られた事例

2022年5月、FX投資をかたった詐欺の容疑で詐欺グループのメンバー9人が逮捕されました。

容疑者らは、架空の投資会社を名乗り、被害者から投資金名目で約500万円を騙し取った疑いが持たれています。

調べによると、被害者の男性は、指示されたとおりに海外の証券会社に口座を開設し、運用状況がわかるアプリ(MT5であると思われます。)をインストールしたとのことです。

そのアプリ上では約1,500万円の資金が約2,500万円にまで上がったように見せかけられていたものの、警察からの連絡で被害に気付いた男性が返金を求めたところ、十数万円に暴落していたといいます。

警察の見解では、詐欺グループは実際には運用などせず、投資資金を騙し取ったものとみています。

【出典】:朝日新聞デジタル

この事例は国際ロマンス詐欺とは趣を異にしますが、FX投資をかたって資金を騙し取る流れはMT5詐欺の手口として典型的なものであるといえます。

60代男性が3,200万円を騙し取られた事例

愛知県の60代男性が、出会い系アプリで知り合った台湾人の女性を名乗る人物からFX投資を勧められ、3,200万円の被害に遭ったという事例がありました。

詐欺師からは好意を寄せるかのようなメッセージが次々に送られてきて、その後、男性は勧められるがままに、紹介された投資会社に口座を開設し、FX投資を始めたといいます。

当初は利益が出ているかのように見せかけられ、男性は何度も追加の現金を要求され、送金していたといいます。

やがて男性が怪しいと感じて送金を断ったところ、口座から出金できなくなっており、資金を騙し取られたことに気付いたとのことです。

【出典】:メ~テレ|出会い系アプリで投資詐欺、3200万円被害の男性「お茶でも飲めればと」 狙われた“寂しさ”

この事例で詐欺師が用いた手口は、国際ロマンス詐欺の典型的なものです。

実際に会ったこともない相手からお金を要求された時点で、詐欺を疑うべきです。

40代女性が3,700万円を騙し取られた事例

40代のシングルマザーが、マッチングアプリで知り合った男から3,700万円を騙し取られたという事例もあります。

この女性は外国人を名乗るモデルのような美男子からメッセージを受け、その後もマメな愛情表現を受けて相手のことを信じ込んでしまったといいます。

そして相手から「家を買う資金を作るために投資しよう」と持ちかけられ、海外のカーレースのギャンブルサイトを紹介されました。相手の指示に従ってお金を賭けると利益が出たとのことです。

女性はギャンブルに乗り気ではありませんでしたが、相手が別れ話をちらつかせながら投資を求めてくるため、最終的に3,700万円ものお金をギャンブルサイトに入金していました。

しかし、相手の男性は警察に捕まったことを装い、女性との連絡を絶ちました。サイトから返金を受けることもできず、3,700万円を失うことになってしまいました。

警察の見解では、女性を騙した外国人男性とギャンブルサイトは詐欺グループの仲間だと考えられるとのことです。

【出典】:Yahoo!ニュース|国際ロマンス詐欺の悪質手口 「家を買おう」とだまされ40代女性が3700万円被害

この事例はFX詐欺ではありませんが、国際ロマンス詐欺の典型的な手口が用いられています。

MT5詐欺でも、このような国際ロマンス詐欺の手口が用いられることが多いので、注意しましょう。

MT5詐欺の特徴と見分け方

MT5詐欺には、以下の特徴があります。これらの特徴をしっかりと把握しておくことで、詐欺を見分けることが高い確率で可能となるはずです。

外国人を名乗って好意を示してくる

MT5詐欺の加害者がアプローチしてくるルートは様々ですが、最も多いのは、マッチングアプリやSNSなどで美男・美女の外国人を名乗ってメッセージしてくるというものです。

ただ、最初から投資の話をしてくるわけではなく、まずは熱烈な愛情表現をしてきます。日本人が同じような愛情表現をすると不自然に感じるものですが、「外国人だからおかしくない」と受け止めると、詐欺師の術中にはまってしまいます。

詐欺師が熱烈な愛情表現をしてくるのは、短期間のうちにターゲットに恋愛感情を抱かせるためです。そのためには美男・美女の外国人を名乗る方が都合がよいのです。

知り合ってすぐLINEなどに誘導される

マッチングアプリや出会い系サイトで知り合った場合、詐欺師はすぐにLINEでのやりとりに誘導してくるのが特徴的です。

投資への勧誘をマッチングアプリや出会い系サイト上で行うと、強制退会となってしまう可能性が高いため、詐欺師は早めにLINEに移行しようとするのです。

知り合ってすぐLINEに誘導された場合は、詐欺の可能性が高いと考えた方がよいでしょう。

会ってもいないのに儲け話を持ちかけてくる

LINEでのやりとりに移行し、ターゲットが恋愛感情を持つようになったら、詐欺師は「2人の将来のために」などと言い出して儲け話を持ち出してきます。

先ほどもご説明したように、詐欺師はさりげなく儲け話を持ちかけてくるので、恋愛感情を持ってしまうと怪しいことに気付きにくいものです。

しかし、実際にあってもいない段階で「2人の将来のため」ということ自体が不自然ですし、お金の話をしてくることも怪しいといえます。

会ってもいない段階でお金の話をされたら、詐欺を疑うようにしましょう。

海外のFX業者を使っての取引を勧めてくる

MT5詐欺の場合は、儲け話としてFX投資に勧誘し、それも海外のFX業者を使った方が儲かるといって勧めてきます。

このとき、FX投資に詳しくないターゲットに対しては専門用語を多用した方が騙しやすいので、「MT5を使った方が儲かる」というフレーズが用いられるのです。

国内FX投資をかたるFX投資詐欺もあるので、国内だから安心というわけではありません。しかし、海外FXを勧められた場合には、詐欺の可能性がより高いといえます。

特に、「MT5を使った方が儲かる」ということは実際にはないので、このフレーズが出たときにはほぼ確実に詐欺であると判断して差し支えありません。

振込先の口座が個人名義

MT5詐欺に限りませんが、FX投資詐欺では、資金の振込先口座が個人名義となっていることが多いものです。

通常、振込先はFX会社の口座であるはずですが、詐欺師の多くは架空の投資話でお金を騙し取ろうとしているので、個人名義の口座を指定してくるのです。

ただし、それらしい法人名義の口座を詐欺師が用意していることもあるので、注意が必要です。

なお、海外のFX業者であっても、日本で取引を行う場合には金融庁で金融商品取引法の登録を受けなければならないことになっています。

詐欺師に紹介されたFX業者が金融庁での登録を受けていない場合も、詐欺の可能性が濃厚といえます。

金融庁に登録している業者の一覧は、金融庁のホームページで確認できます。

【参考】:金融庁|免許・許可・登録等を受けている業者一覧

MT5詐欺に遭った場合の対処法

MT5詐欺に遭ってしまった場合は、速やかに対処することが重要です。

具体的には、以下の対処法が必要となります。

警察に通報する

詐欺の被害に気付いたら、早急に警察に通報し、被害届を提出しましょう。

資金の振込先が日本国内の金融機関の口座である場合は、警察の捜査によって口座の不正利用が確認されると、警察からその銀行に対して情報提供が行われます。

それを受けた金融機関は、振り込め詐欺救済法に基づきその口座を凍結します。その口座に預金が残っている場合には、そこから返金を受けることができます。返金を受けるためには、詐欺師が預金を引き出す前に警察に通報することがポイントとなります。

また、警察が詐欺師を逮捕してくれた場合には、詐欺師との示談交渉によって返金を受けられる可能性があります。

ただし、警察は民事の問題には関わらないため、示談交渉のサポートはしてくれません。自分で詐欺師と交渉する必要があることにご注意ください。

なお、被害届を提出しても警察はすぐに動いてくれないことが多いので、できる限り告訴状を提出する方が望ましいです。

どこの警察に通報すればよいのかが分からないときは、「♯9110」に電話してください。お近くの警察本部などにつながりますので、適切な相談窓口を案内してもらえます。

国民生活センター等に相談する

国民生活センターや消費生活センターでも、MT5をはじめとする投資詐欺に関する相談を無料で受け付けています。

専門の相談員から有益なアドバイスや情報提供が得られますので、困ったときに活用するとよいでしょう。

ただし、国民生活センターや消費生活センターでは強制的な解決を図ることはできませんので、被害に遭ってしまった場合は警察の方に通報すべきです。

「詐欺かな?」と思った段階なら、国民生活センターや消費生活センターでアドバイスを受けることも有効です。

相談窓口がわからない場合は、「188」に電話をすると最寄りの相談先を案内してもらえます。

弁護士・司法書士に相談する

最もお勧めの対処法は、弁護士または司法書士といった法律の専門家に相談することです。

専門家に依頼すれば、被害者の味方としてすぐに動いてもらえます。警察や国民生活センター等に相談しても解決できなかったときも諦めず、専門家にご相談ください。

MT5詐欺の被害で返金を請求するには弁護士・司法書士に相談を

被害者の味方として詐欺師に対して返金を請求してくれるのは、弁護士・司法書士だけです。法律の専門家を頼ることによって、以下のメリットが得られます。

警察への被害届・刑事告訴が受理されやすくなる

警察に被害届を提出してもすぐに動いてもらえないことが多いですが、告訴状を提出しようとしても、なかなか受理してもらえないことが少なくありません。

警察は告訴状を受理すれば捜査を開始しなければならないので、受理を渋ることがあるのです。

そんなときでも、弁護士・司法書士に相談すれば告訴状を的確に作成してもらえます。警察署にも同行してもらうことも可能で、専門家から刑事告訴をすることで告訴状が受理されやすくなります。

詐欺師を探し出すためには、国家権力を有する警察に捜査してもらうことが一番ですが、専門家のサポートによって警察に動いてもらいやすくなるのです。

銀行口座凍結のための通報もしてくれる

警察との押し問答で時間が経過してしまうと、詐欺師が口座から預金を引き出してしまうおそれがあります。

しかし、銀行への通報(口座の不正利用に関する情報提供)は、警察だけでなく弁護士・司法書士からも可能です。

MT5詐欺で最もスムーズに返金を受ける方法は、振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結の制度を利用することです。

専門家に依頼することで、早急に口座を凍結することが可能となるので、返金を受けられる可能性も高まります。

法的手続きで返金を請求してもらえる

以上の対処法で返金を受けられなかった場合は、詐欺師に対して裁判や差押えなどの法的手続きで返金を請求しなければなりません。

これらの法的手続きは複雑で、高度な法律の知識や経験がなければ、的確に進めることは難しいものです。

しかし、弁護士・司法書士は複雑な法的手続きも全て代行してくれます。勝訴判決を得れば、差押えの手続きによって強制的に被害金を回収することも可能となります。

被害に遭っても泣き寝入りせず、専門家のサポートを受けて被害金の回収を図りましょう。

まとめ

MT5詐欺というと、MT5が怪しいもののように感じてしまいますが、そうではありません。MT5そのものは有益なツールですが、それを悪用して詐欺をはたらく者がいるということです。

FX投資に詳しい人であれば、「MT5を使えば儲かる」と言われた時点で怪しいと気付きます。詐欺師が狙うのはそんな人ではなく、FX投資に無知な人です。

投資にうまい話はありませんので、「儲かる」という言葉にはくれぐれもご注意ください。特に、実際に会ってもいない人から投資話を持ちかけられた場合は、基本的に詐欺を疑うべきです。

不安なときは、弁護士・司法書士に相談すれば、詳しくレクチャーしてもらえます。被害に遭ってしまった場合は、早急に警察に通報し、そして弁護士・司法書士のサポートを受けることをおすすめします。

タイトルとURLをコピーしました