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デート詐欺(デート商法)とは?手口や見分け方、被害に遭ったときの返金方法

この記事でわかること
  • デート詐欺とは恋愛感情を利用した悪徳商法である
  • 最近はネットでの出会いからデート詐欺に遭うケースが増えている
  • デート詐欺の特徴を知れば見分けることが可能となる
  • デート詐欺に遭ったら返金可能。弁護士・司法書士への依頼が有効である

魅力的な異性との交際を期待してデートについていったところ、高額な商品やサービスの契約をさせられてしまう「デート詐欺」は、古くからある悪質商法の一種です。

多くの方は「デート商法」や「恋人商法」といった言葉を聞いたことがあることでしょう。最近では、インターネット上のマッチングアプリやSNSが普及するにつれて、以前にも増してデート詐欺の被害に遭う方が多くなっています。

そこでこの記事では、デート詐欺(デート商法)の手口や詐欺の見分け方から、被害に遭ったときに返金を求める方法までをわかりやすく解説していきます。

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デート詐欺(デート商法)とは

最初に、デート詐欺とは何かについて確認しておきましょう。

恋愛感情を利用した悪徳商法

デート詐欺とは、被害者の異性に対する恋愛感情を悪用して高額の商品やサービスの契約を迫る手口の詐欺のことです。

魅力的な外見の異性がターゲットに対して個人的に興味があるふりをして誘いかけ、食事などの軽いデートで親密に振る舞い、相手が恋愛感情を抱いたところで商品やサービスを勧めるというのが典型的な手口です。

ターゲットにされた人は、「契約すればもっと親しくなれそう」「断ったら嫌われるかもしれない」という心理から、商品やサービスに特段の興味がなくても契約してしまいがちです。

恋愛経験が少ない若い男女が狙われやすいですが、高齢者が狙われることもありますし、それ以外の年代の人も油断はできません。

契約させられる商品・サービスの例

デート詐欺で契約させられる商品やサービスには様々なものがありますが、主に高額なものを勧められます。被害事例が多い商品・サービスとして以下のものが挙げられます。

  • 絵画などの芸術作品
  • 宝石や貴金属
  • 毛皮、バッグなどのブランド品
  • 健康食品
  • 英会話スクール
  • エステ
  • 投資用マンションなどの不動産

デート詐欺(デート商法)のよくある手口

次に、デート詐欺でよく使われる手口をみていきましょう。

出会う場所~ネットを利用するケースが増えている

以前からデート商法や恋人商法では、街頭でのキャッチセールスや電話によるアポイントメントセールスから始まるケースが主流でしたが、やがて婚活パーティーなどでの出会いから始まるケースも出てきました。

最近ではさらに、マッチングアプリやSNSでの出会いから始まるケースが増えています。

ネットで出会った場合、詐欺師は何らかの販売員を名乗ることなく、一般の個人としてターゲットにアプローチを仕掛けます。そのため、ターゲットとされた人は相手が詐欺師だとは気付きにくくなっています。

何度かデートを重ねる

かつてのデート商法では、喫茶店で1~2回話したのみで長時間の勧誘が行われることが多かったのですが、最近のデート詐欺ではすぐには商品やサービスの話はしないケースが多くなっています。

最初はあくまでも個人的に好意を持っているように装い、食事などのデートを何度か重ねて恋愛感情を十分に抱かせ、判断能力を狂わせるという手口が増えているのです。結婚詐欺に手口に近づいているともいえます。

肉体関係にまで至ることは少ないですが、中には肉体関係を持ってターゲットを釘付けにするようなケースもあります。

さりげなく商品・サービスを勧める

相手が十分に恋愛を意識し、「どうにかして付き合いたい」という感情を持ったところで、詐欺師はさりげなく商品やサービスを勧めてきます。

「君のような人にはぜひ、このジュエリーを身につけてほしいな」
「私もこの健康食品で体調が良くなったから、試してほしい」
「有名な投資の先生を知っているから、一緒に話を聞きませんか」

このように、あくまでも親しい間柄での会話というスタンスで「付き合いたいのなら契約してほしい」という流れに持っていくのが常套手段です。

喫茶店や事務所などに呼び出して契約を迫る

ターゲットが契約する意思を示したときも、渋っているときも、最終的には喫茶店や事務所など別の場所に呼び出して勧誘を行います。

多くの場合、呼び出された場所には「お世話になっている人」「先生」「先輩」などの別人がいて、その人が商品やサービスの詳しい説明をします。恋人役を果たした詐欺師は、あくまでも販売者ではなくその知り合いというスタンスを保つことが多いです。

ターゲットがすぐに契約しなければ、かつてのデート商法や恋人商法と同じように、長時間の勧誘が行われ、なかなか帰らせてもらえない状況に追い込まれることも少なくありません。

契約後もしばらくは関係を続ける

一般的な詐欺の事案では、被害者が契約した途端に相手と連絡が取れなくなるケースが多いのですが、デート詐欺の場合は契約後もしばらくは関係が続くことが多いのが特徴的です。

その目的は、被害者にクーリングオフをさせないという点にあります。デート詐欺のように契約を押しつける商法では、契約者は一定の期間内であればクーリングオフによって無条件で契約を解除できる可能性が高いです。

そこで詐欺師は、クーリングオフの期間が経過するまでは恋人のようなフリを続けて、被害者が契約を解除することを防ごうとするのです。

実際にあったデート詐欺の事例

ここでは、実際に会ったデート詐欺の事例をいくつかご紹介します。

以下の事例では、いずれもインターネットを通じて詐欺師と出会っています。被害に遭うのは若者だけではありませんし、男性だけでなく女性が被害に遭うこともあります。

ネットでの出会いでは詐欺師に遭遇する可能性が少なからずあることに警戒しておく必要があるでしょう。

女性詐欺師から宝石を購入させられたケース

こちらのケースでは、詐欺師が初めから宝石店の販売員を名乗っていますが、相手の恋愛感情を利用して宝石を売りつけています。

SNSで知り合った女性と親しくなり、実際に会うことになった。その女性は宝石店の販売員で、自分の職場を見せたいと言われて店に行ったところ、ダイヤのネックレスを勧められた。借金があるので買えないと断ったが、5、6時間も勧誘され判断も鈍ってきたときに、女性から「結婚する時にはこの宝石を身につけたい」と言われて、ダイヤのネックレスをクレジットで契約した。翌日、やはり高額なので婚約するまで待ちたいと思いクーリング・オフ通知を業者に出したら、その女性から再三電話があり、根負けして店に出向き再契約してしまった。やはり解約したい。

【引用元】:京都府

もしかすると、この販売員は厳しいノルマを達成するためにこのような手段を使ったのかもしれません。しかし、結婚をエサにして宝石を売りつけていますので、明らかに違法なデート詐欺に当たります。

マンション投資詐欺に遭ったケース

次は、婚活サイトで出会った男性とデートをして、結婚を強く意識した女性被害者が投資用マンションを売りつけられた事例です。

マンションの買主が、婚活サイトで知り合った者の言葉巧みな話術で好意を抱かされ、これにつけ込まれて購入するに至ったとして、同人、当該物件を紹介した会社及び同社の代表者に対して売買代金、諸費用及び弁護士費用等の支払を求めた事案において、これら3者の共同不法行為責任を認め、売買代金と諸費用の合計額から当該マンションの現存価値を差し引いた金額及びそれと相当因果関係のある弁護士費用に限り請求が認容された事例

【引用元】:一般社団法人 不動産適正取引推進機構

この女性被害者は40代で、「結婚したい」という心理につけ込まれて被害に遭ったものと考えられます。

デート詐欺で狙われるのは若者や男性だけではないということが、よくお分かりいただけるでしょう。

銀行員が投資詐欺に関与したケース

こちらの事例は、スルガ銀行の行員がデート詐欺に関与していたとして報道され、社会的注目を集めたものです。

14日(2019年5月)に、20代の女性がスルガ銀行などに220万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。スルガ銀行員が加担したとみられる「デート商法」の被害にあったといい、「銀行がこんなことをするはずがないと信じてしまった」と話している。

女性は婚活アプリで知り合った男性から投資話を持ち掛けられ、貯金がないことを伝えると、言葉巧みにスルガ銀行からの融資を勧めてきた。行員とは喫茶店で待ち合わせ、その場で200万円の融資を受け、全額を男性の指定口座に振り込んだ。

その後、男性から「俺と話しても仕方ないから、LINEはブロックするよ」と言われ、音信不通となった。融資契約書では、実際は約100万円の女性の年収が420万円に水増しされていたうえ、融資の使途も介護費用としてと虚偽記載だった。

【引用元】:JCASTテレビウォッチ

「銀行がこんなことをするはずがない」と考えるのも無理はありませんが、ネットによる交流が活発なった現在、どこに詐欺師が潜んでいるか分からないというのが実情です。

今後もますます、各種詐欺の手口や特徴を知り、自分の財産は自分で守ることの重要性が増していくことでしょう。

デート詐欺(デート商法)の被害を避ける方法

ここでは、デート詐欺の被害を未然に防ぐ方法をご紹介します。

ポイントは、デート詐欺の特徴を知り詐欺師を見分けることと併せて、そもそも詐欺に引っかからないような考え方や行動パターンを身につけておくことです。

デート詐欺(デート商法)の特徴

デート詐欺によくある特徴をまとめると、以下のようになります。

  • 容姿端麗な美男・美女がアプローチしてくる
  • 積極的にデートに誘ってくる
  • 販売員を名乗らず、個人的な親交を求めるフリをすることが多い
  • プライベートな会話で親近感を強めてくる
  • それでいて自分のプライバシーを聞かれると上手くかわす
  • デートで行く店は相手が指定する
  • 何度かデートをすると高額の商品やサービスの話をする
  • 商品やサービスに勧誘するときには「お世話になっている」第三者が登場する
  • 契約後もしばらくは連絡をとり続ける
  • 最後は自然に音信不通となる

詐欺師の見分け方

まず、美男・美女がアプローチした時点で警戒心を持つべきです。

もちろん、美男・美女の全てが詐欺師ではありません。しかし、それまで美男・美女と交際したことがない人がネットで出会っただけの美男・美女から好意を寄せられたような場合は、裏があるのではないかと考えてみるべきでしょう。

デート中も警戒心を持って接すれば、「何かおかしい」ということに気付ける可能性が高いです。

相手のことを観察するだけで見分けがつかないときは、デート当日に行き先の変更を提案してみることが有効です。

詐欺師は用意周到に計画して行き先の店を指定していることが多いので、急に変更を提案されると嫌がるものです。頑なに変更に応じない場合は、怪しいと思った方がよいでしょう。

商品やサービスを勧められたときには、いったん断ってみましょう。それも、高額だからという理由ではなく「自分にとっては不要」という理由で断ることです。

詐欺師は騙しやすい相手を騙すのが常套手段なので、相手に脈がないと思えばあっさりと手を引き、別のターゲットを探すことが多いものです。

恋愛感情に溺れていると断るのも難しいことですが、いらないものをいらないと言うだけで壊れるような関係なら、どうせ上手くいくはずがありません。

詐欺に引っかからないためのコツ

普段から以下の点に注意しておくことで、そもそも詐欺に引っかかる確率を下げることができます。

  • 不要なものは買わない
  • 迷ったときは即決せず、数日は検討期間を設ける
  • 高額の契約をする前に家族や友人に相談し、参考意見を聞く
  • ネットで出会った人の誘いには特に注意する
  • 説明のために店に呼ばれたときは断る
  • 恋愛関係が進んでもいないのに相手の「お世話になった人」に会わない

当然のことばかりですが、デート詐欺の加害者は恋愛感情を利用してこのようなブロックを取り払おうとしてきます。感情に流されないように、日頃から以上のような方針を固めておくことが重要となります。

デート詐欺(デート商法)の被害に遭ったときの返金方法

デート詐欺は違法行為なので、被害に遭ったときは返金を求めることが可能です。

具体的には、以下のような請求方法があります。

クーリングオフをする

最も有効な手段は、クーリングオフをすることです。

クーリングオフとは、訪問販売や電話勧誘販売などで言葉巧みに、あるいは強引に契約させられたような場合に、無条件で契約を解除できる制度のことです。特定商取引法で定められている権利です。

ただし、クーリングオフができるのは契約から8日までの期間に限られています。

デート商法では、詐欺師がこの契約解除権を封じるために契約後も8日間は関係を続けることがよくあります。期間が過ぎてしまうと、クーリングオフはできなくなります。

消費者契約法で契約を取り消す

特定商取引法によるクーリングオフができなくなった後でも、以下の要件を満たす場合には消費者契約法で契約を取り消すことができます。

  • 社会生活上の経験が乏しいために勧誘者に対して恋愛感情など好意の感情を抱いたこと
  • 勧誘者も相手が好意の感情を抱いていることを知っていたこと
  • それに乗じて勧誘者が、契約しなければ自分との関係が破綻する旨を告げたこと

デート詐欺では、多くの事案でこれらの要件を満たします。ただ、3つめの要件については詐欺師が「商品を勧めただけで関係の破綻などは告げていない」などと反論することも考えられます。

契約相手と交渉する

実際に返金を求めるためには、クーリングオフまたは消費者契約法による契約取消を主張した上で、詐欺師と返金交渉をすることになります。

詐欺師は自分たちの行為が違法であることを承知しているので、警察沙汰になることを恐れて和解に応じ、返金してくる可能性があります。

ただ、何らかの理由を付けて返金を拒否したり、頑なに返金に応じなかったり、そもそも請求を無視したりする悪質業者も少なくありません。

話し合いが進まなければ、和解による返金を受けることはできません。

裁判で返金を請求する

詐欺師と和解ができなかった場合には、裁判で返金を請求するしかありません。

被害者は、クーリングオフをしたことまたは消費者契約法による契約取消を民事裁判で主張した上で、返金を請求できます。

期間内にクーリングオフをした事実、または前述した消費者契約法による取消権の3要件を満たすことを立証できれば、判決で詐欺師に対して返金が命じられます。

もっとも、まともに交渉に応じなかった詐欺師でも、裁判に訴えられて逃げられないと判断すると、事態を穏便に収めるために裁判上の和解に応じてくることがよくあります。

デート詐欺(デート商法)のトラブルは弁護士・司法書士に相談を

デート詐欺の被害に遭ってしまったときは、弁護士または司法書士という法律の専門家に相談することを強くおすすめします。

専門家に詳しい事情を伝えれば、返金の見通しや具体的な返金請求方法についてアドバイスが受けられます。

返金請求が可能なケースでは、弁護士・司法書士に請求手続きを依頼することもできます。その場合、詐欺師との交渉から裁判手続きまで、全て弁護士・司法書士が被害者に代わって行ってくれます。

専門家が介入することで詐欺師が交渉による和解に応じる可能性も高まりますし、裁判が必要となった場合でも、専門家に任せておけば的確に手続きを進めてもらえます。

一人で悩まず、専門家の知恵と力を借りて対処した方がよいでしょう。

まとめ

デート詐欺は、恋愛感情を悪用してターゲットを騙すという悪質な詐欺行為です。

「自分が引っかかるはずはない」と思っている方も多いでしょうし、本記事でも詐欺師の見分け方や詐欺に引っかからないためのコツなどをお伝えしました。

それでも、詐欺師もある意味ではプロですから、巧みな策略で騙されてしまう可能性がないとは言い切れません。特に、ネットでの出会いでは要注意です。

もし、デート詐欺に引っかかってしまったときは、弁護士・司法書士のサポートを受けて返金を求めていきましょう。

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