中国人の国際ロマンス詐欺師の手口や特徴と事例を紹介

中国の経済発展はめざましく、今ではたくさんの富裕層が存在する国になりました。そんなお金持ちの中国人セレブを装って日本人を騙す国際ロマンス詐欺が増えています。

中国人ロマンス詐欺師はインスタやマッチングアプリから巧妙にアプローチしてきて、情熱的に口説き、そして投資に誘導しようとします。その手口にひっかからないためには、正しい知識と事例を知ることが大切です。

この記事では、国際ロマンス詐欺の専門家で当サイトにて記事を執筆・監修をお願いしている「姐さん」の独自の情報から中国人詐欺師の手口や特徴・事例について紹介します。

国際ロマンス詐欺の中国人詐欺師の割合は？

国際ロマンス詐欺で日本人を狙った詐欺師を国籍別に見ると中国人は韓国人に次いで2番目に多くなっています。

国際ロマンス詐欺の注意喚起の活動をする専門家「姐さん」の情報によると、最近相談を受けられた被害事案の13.4％が中国人案件ということです。中国人案件は圧倒的に投資詐欺が多いのが特徴です。

【中国人詐欺師、詐欺手口、男女比の割合】

• 相談件数327件中44件が中国人案件
• 全体の13.4%で国籍別にみると2位
• 44件中43件が投資系詐欺案件
• 詐欺師の男女比は男90.9%(39人)：女9.1%(4人)

■姐さんのTwitterアカウント
https://twitter.com/Frank_romance

■姐さんのインタビュー記事
【専門家インタビュー】国際ロマンス詐欺の手口・特徴・事例について
国際ロマンス詐欺でニセ韓国人詐欺師の手口や特徴と事例を紹介

中国人ロマンス詐欺師の手口と特徴

日本人を狙った中国人ロマンス詐欺師によくある手口や特徴について姐さんに聞いてみました。

──中国人ロマンス詐欺師はどのような方法でアプローチしてくるのか──
中国人ロマンス詐欺師との出会いの場所は、マッチングアプリ(出会い系・言語交換)、Instagramです。偽アカウントを作ってターゲットをフォローしてから、以下のようなDM（ダイレクトメッセージ）を送ってきます。

「来月日本に行く予定ですが外国人の入国はまだ禁止されてますか」
「あなたの投稿したフィットネスが素晴らしい」
「北海道にスキーに行く予約をした。オススメの場所を教えて」

最初は特に怪しさも感じないため、つい返信してしまうと相手の思うツボです。詐欺師のこまめで情熱的な口説きによって、いつの間にか「相手からの連絡が無いと不安になる…」「嫌われたくないから投資話に応じてしまう…」といったような流れになり、気づいた時にはお金を騙し取られてしまいます。

──中国人ロマンス詐欺師のほとんどはセレブな経営者を騙る──
中国人ロマンス詐欺師は、何かしらの会社を経営してセレブを装うのが特徴です。仕事は貿易業、服飾関係、設計事務所など成功している経営者を演じます。他にも、母親や叔父さんが「金融アナリスト」をしているといった設定が多いです。

また、会社経営の他に副業で投資をしていて、本業の収益が少ない時に投資で得た利益で赤字を補填しているとアピールしてくるケースもあります。何かと会話の話題に投資を絡めてくるのがお決まりです。

──すぐに投資話を持ちかけてくる──
数年前までの国際ロマンス詐欺は、じっくりと愛を育んだ後、数ヶ月ほど経過してからお金の話しを持ち出してくるという傾向がありました。しかし、現在では知り合って数日のうちに「今夜空いてますか？投資の勉強をしよう」と誘って来るように変わってきました。

出会って間もないのに「投資で儲かったよ！」と言って、頼んでもいないのに収支表のグラフを送り付けてきたりします。

──日本在住者や日本好きを装う──
「日本支社設立を計画していて近々東京に行く予定」又は「麻布や六本木などの港区のタワマンに住んでいる」「日本に来て1年から3年経つ」といった身近な存在に思わせる設定もよく使います。

また、「西洋人のアシスタントがいて、その人の妻がお弁当を作ってくれる」「北海道にスキーに行く予定」といった日本好きをアピールして、好感度を上げる手口も常套手段です。

──イケメンの中国人詐欺師の写真は実は別な国籍？──
ロマンス詐欺師が使用する写真はすべて盗用です。例えば、韓国人としてよく使われる写真は、ベビーフェイスなのに筋肉ムキムキなマッチョな肉体の男性が多いです。そのギャップに心を奪われる日本人女性の被害者は多いようです。

一方で中国人の写真の特徴は、極端なマッチョ体型は少なく、細マッチョで少しワイルドなセクシーな雰囲気を漂わせる男性画像が多いです。

ブランドのスーツを着て高級外車に乗っていて、ヘアスタイルもきっちり整えている人や、少し髭を生やしてエキゾチックな大人の男性が多いのも特徴です。イケメン売りというよりも成功して落ち着いた感じのお金持ちを演じるケースがよく見られます。

──結婚を約束して財産を投資させようとする──
詐欺師はターゲットの女性に対して「未来の妻」「妻は今日何をしてましたか」等と毎日こまめに話しかけてきます。既婚女性にも構わず「妻」と呼ぶので、僅か2週間ほどの短い間のやり取りでも「妻」と言われた女性はだんだんその気になってしまうようです。私の相談者の中にも現在のパートナーと本気で別居や離婚を考えてしまったという人も実際に複数人います。

すぐ先にセレブな暮らしとイケメン男性との結婚生活が見えていて、そんな未来の夫に嫌われたくないという気持ちが先立ち、言われるがままにお金を投資先に振り込んでしまいます。その後、中国人の彼とは連絡が取れなくなって全財産を失ってしまったケースが実際にあります。

──女性詐欺師はアイドル並みのルックスで親しげに語りかけてくる──
中国人女性詐欺師の場合、日本のアイドルグループに居そうなとても可愛くて細身、目が大きくて髪が長い女性のキャラクターが多いです。当然、それらはオシャレな若いインスタグラマーの盗用写真です。

中高年男性をターゲットにして毎日「○○おはよう」「○○は今日もステキだね」「○○のことが好きだよ」などと必要以上に名前で呼びかけて、その気にさせるのも手口です。

──男性被害者は見栄を張ってお金を振り込み続けてしまう──
家庭に奥様がいる男性も若くて可愛い女性から名前で呼びかけられる経験などあまり現実にはないでしょう。すっかりいい気分になって、投資の話しを持ち出されたら、見栄を張ってしまい、言われるまま投資先に複数回振り込んでしまいます。中には奥様に「1千万円稼げるから…」とお金を借りてつぎ込んでしまい、詐欺被害に遭ったことを言えずに悩んでいる人もいます。

どうにかして取り返すために複数の弁護士事務所や探偵・興信所に相談する人もいますが、ロマンス詐欺に騙し取られたお金は回収出来ないケースがほとんどで、泣き寝入りになっています。

──中国人詐欺師の実態とは？──
詐欺師(中の人)は、やり取りの中で不意に中国語の文字が出てくる場合が多いので詐欺師たちは中国本土や東南アジアの中華圏の国籍と思われます。

以前、私がやり取りをした詐欺師は、中国人詐欺グループが韓国ソウルにアジトを作ってシフト制で1人のターゲットに対して複数人が3交代でLINE会話をしていると言ってました。

また、詐欺師が投稿しているインスタの内容がやたら日本に詳しくて会話していても店名や料理名がすぐに出てくる場合もあります。日本で暮らした経験のある中国人や東南アジア国籍の人、日系人も詐欺グループの中に居るのではないかと思われます。

中国人ロマンス詐欺の事例

ここからは中国人ロマンス詐欺師はどのような手口で日本人の男女に近づいて、どのような職業やキャラクターを演じてお金を騙し取ろうとするのか、事例を紹介します。

姐さんが相談を受けた事例の中から、詐欺師との実際のやり取りをLINEスクショと併せて紹介します。

日本好きの起業家を騙る詐欺師「hm」

インスタに「日本が好きで1月に日本に行く予定だけど日本は今、外国人の入国を禁止しているか？」とダイレクトメッセージ（DM）が来ました。怪しいと思い友人に相談したものの「大丈夫だろう」と判断して返信してしまいました。

「ネットにはロマンス詐欺、仮想通貨詐欺、FX詐欺が多発している｣とその中国人の彼に言われました。注意喚起をするくらいだから詐欺師では無いだろうとうすっかり信用してしまいました。その後、投資を勧められてトータルで500万円近く騙し取られてしまいました。

実業家を騙る詐欺師「Vince」

VinceはInstagramにDMを送ってきました。印象が良かったせいかLINEへ移行しました。毎日マメに連絡をしてきて、たくさんやり取りが続きました。会話の中でやたら投資の話が出てきますが、元々FXに興味があった為「将来のためにお金を増やしたい」と思いVinceに勧められたYmigouという偽仮想通貨サイトに最初は10万円入金しました。

するとすぐに払い戻し出来たので、次に50万円入金して払い戻さず追加で30万円入金。その頃、旧正月と重なりVinceからLINEの返事が来なくなります。心配になって取引所に払い戻しの申請をしましたが引き出せなくなっていました。

半導体企業経営を騙る詐欺師「ハンス」

ハンスは突然「フィットネス」についてInstagramにメッセージを送ってきました。3年前に来日し千代田区住まいということで、興味を持ったのですぐにLINEでやり取りを始めることになりました。

しばらくやり取りした後、「儲かる投資がある」と話しを持ちかけられました。言われるまま、Bitbankを使ってデジタル通貨を購入してBKEXの偽取引所に預けました。最初は20万円入金後に引き出せました。

次に「300秒の取引で1千万円超える利益が出る」と誘われます。「税金が心配」と返すと「利益が出たら元金の引き出し方法を教えるから心配しないで」と言われます。心配になって300秒の投資をする前にあなたとビデオ通話をしたいと求めると、急に激しく罵り始めてLINEをブロックされました。

ヨガと投資が趣味だと言う詐欺師「爱子」

爱子とは出会い系チャットアプリ「オルカ」で知り合いました。両親が離婚して母親と叔父と日本に来て東京の麻布に住んでいるということです。送られてきた写真を見ると若くてカワイイので、「仲良くなりたい」「好かれたい」という気持ちが強くなりました。

投資が趣味という爱子は「金融アナリスト」の叔父の指示する時間に取引をすると必ずプラス10%になるからと投資を勧めてきました。先ずはバイナンスを開設して次にビットコアに口座開設するようにということでURLが送られてきました。

日本円をUSDTに交換後ビットコアに送金します。合計310万円を投入し、2週間後ビットコアの資金を日本円にしようとバイナンスへ送金を試みると凍結されて引き出せなくなっていました。さらに爱子からGEMINIの偽URLが送られてきて、あやうく再度騙されそうになりました。

人材派遣会社副社長を騙る詐欺師「洋子」

洋子はInstagramにDMを送ってきました。趣味は投資で中国語と英語が得意ということです。父親はガンで亡くなって、母親は自動車事故で死亡したため世界的な金融アナリストの叔母に引き取られたそうです。

東京に支社があるので日本人と結婚して日本に永住するのが夢ということで、結婚しようと毎日熱いメッセージを送ってきます。そして、「将来の2人の生活を豊かにするために」と投資を勧めてきます。あまりにも毎日しつこいので、怪しいと思い画像を検索してみると中国ハーフモデルがヒットしてロマンス詐欺と気づきました。

投資家を騙る詐欺師「Lawrence」

Lawrence（ローレンス）はInstagramにDMを送ってきたのが始まりです。以前は両親とオーストラリアに住んでいたそうですが、自動車事故に遭って、その精神的トラウマの治療でNYへ移住したということです。

彼からは熱心に投資を勧められました。元々興味があったので彼の説明を受けてbitFlyerの取引所に登録しました。投資に関しては「僕が計画を立ててあげる。最初は5万円でいい」と言います。

しかし、その翌日には「20～50万円がベストだ」と金額を吊り上げてくるため不審に思いネット検索してみたら、似たような被害例がたくさん書かれていて、ロマンス詐欺だと気づきました。

貿易会社経営者を騙る詐欺師「李明俊(Jack)」

Jackは突然Instagramに「お会いできて嬉しいです！」というDMを送ってきました。彼は上海中文大学でファイナンス専攻、母親は元高校教師、弟は華為上海本部勤務のエンジニア。幼い頃に両親が離婚したそうで、自身も離婚歴ありということです。信用できる人だと思いLINEを交換しました。

Jackが経営する貿易会社は友人と共同経営で、コロナで業績悪化したけれど、副業の暗号通貨投資の収益で赤字補填していたということです。

会話の中で｢現在住宅ローンの返済が大変だ」と言うと「あなたを助けたい」「将来は母親と未来の妻と子供と多くの時間を過ごしたい」と熱く訴えかけてきます。優しさに心を奪われそうになりました。

しかし、よくよく考えると怪しい点も多いため、いろいろ検索して調べたら同じようなロマンス詐欺の事例があったので、投資には応じませんでした。

海外輸出入貿易会社経営者を騙る詐欺師「Nick」

NickはInstagramにダイレクトメッセージを送ってきました。現在は貿易会社を経営しているということで、起業前は「多国籍金融投資会社勤務」だったそうです。父親は貿易会社、母親は香港金融界上級アナリストとということで、趣味は美食・旅行・短期投資です。

日本の市場を調査していて日本で投資会社を設立したいということです。LINE通話では広東語と日本語のやり取りでした。誠実で紳士的な対応で心の隙間を埋めてくれて、自分に好意を持ってくれていると感じました。

しかし、話しが出来すぎかも？と思って検索したら姐さんのTwitterに似たような体験ややり取りがたくさんあって、ようやく自分が騙されていることに気づきました。

服飾貿易会社経営者を騙る詐欺師「Denny」

Dennyは香港在住ということで、InstagramにDMを送ってきました。大学のルームメイトだった日本人から日本語を学んだそうです。趣味は乗馬とサイクリングです。

身の上話、世間話などのやり取り後に、Dennyは投資の話しをしてくるようになり、預貯金の残高や個人情報を聞いて来ます。「夫や子供がいるので教えられない」と断ると「独身だと言ったのに突然夫や子供が居ると嘘をつくな！」と怒りだし「FUCK」「愚か者！」と罵ってきました。

建築グラフィック会社経営者を騙る詐欺師「林渚 (リンハオ)」

林渚(リンハオ)はinstagramにDMを送ってきました。建築グラフィック会社を経営していて現在名古屋に在住しているそうです。離婚歴あり9歳の娘がいて、離婚の原因は「キャリアが失敗してどん底になった時に見捨てられた」と身の上を話してきます。

しかし、"金融アナリスト"をして会社の損失を補填したと投資実績を説明します。その後「必ず儲かる」と突然OKXの偽取引所のURLを送ってきました。そこまで言うならと、PayPay銀行個人口座に最初5万円入金しました。続けて10万円に入金したところ、引き出せなくなリます。

林渚(リンハオ)にロマンス詐欺師なのか？問いただしたところ、「私の尊厳を踏みにじっている」と開き直られました。

まとめ

中国人国際ロマンス詐欺師のほとんどはインスタグラムからアプローチしてきて、日本人が多く利用しているメッセンジャーアプリのLINEで親密な関係に持ち込んだ後、投資を促してお金を騙し取るというのがお決まりの手口です。

詐欺グループはいくつかのキャラクターとパターンを使って投資させようとします。今回事例として取り上げた中国人詐欺のパターンに見覚えがある方は、騙されている可能性が高いです。

「必ず儲かるよ」「僕の言うことを聞いてくれ」などと、甘い言葉や泣き落としされても決して応じてはいけません。そもそも、知らない外国人からインスタにメッセージが来ても返信しないようにしましょう。