- マッチングアプリでの投資勧誘はほぼ100%詐欺である
- 相手のプロフィールやメッセージで詐欺を見抜けることが多い
- マッチングアプリで投資勧誘を受けたらはっきりと断るべきである
- 投資詐欺の被害で返金を求めるには弁護士・司法書士へ相談した方がよい
数年前から、マッチングアプリで投資勧誘されて詐欺の被害に遭うケースが急増しています。
マッチングアプリでパートナーを探していて、知り合った相手から投資勧誘を受けたことがある人も多いのではないでしょうか。
結論からいいますと、出会いのためのツールであるマッチングアプリで投資勧誘をしてくる相手は、ほぼ100%詐欺師であると判断して間違いありません。
そして、詐欺師の特徴を知っていれば、詐欺の被害をほぼ100%の確率で回避することも可能です。
そこでこの記事では、マッチングアプリでの投資勧誘が詐欺であることと、被害に遭わないための方法、もし被害に遭った場合でも返金を受ける方法についてわかりやすく解説します。
マッチングアプリでの投資勧誘はほぼ100%詐欺
マッチングアプリで投資勧誘をしてくる人物は、ほぼ100%詐欺師です。その理由は以下のとおりです。
- 出会いを求めている人がすぐに投資の話をするはずがない
- マッチングアプリはターゲットを探す詐欺師にとって好都合
- 儲かる話があるのなら簡単に他人に教えるはずがない
既に深い関係となった相手が将来のために投資を勧めてくることはあり得ますが、出会いの場であるマッチングアプリでいきなり投資の話をしてくる人が出会いを求めているとは考えられません。
詐欺師がマッチングアプリで投資勧誘をしてくるのは、マッチングアプリでは簡単に知らない人と知り合えるからです。ユーザーは恋愛を求めているのですから、恋愛感情を抱かせることも比較的容易です。
恋愛感情を抱かせて判断能力を狂わせ、断りにくい状況を作った上で投資を勧めてくるのです。マッチングアプリは相手を騙しやすい場として、詐欺師の狩り場となっているといっても過言ではありません。
また、詐欺師が持ちかけてくる話はほぼ100%虚偽の投資話であることにも注意が必要です。知り合ったばかりの相手に対して執拗に投資を勧めてくるのは、投資資金を騙し取ることを目的としているからです。
マッチングアプリでの投資勧誘で被害に遭った人の実例
マッチングアプリで投資勧誘を受けて詐欺の被害に会う人は後を絶ちません。ここでは、実例をいくつかご紹介します。
FX投資を勧められ1億円を騙し取られたケース
マッチングアプリを通じて投資詐欺の被害に遭う事例は、たびたび報道もされています。最近もこのような報道がありました。
佐賀県警鳥栖署は27日、鳥栖市内の40代男性が、マッチングアプリで知り合った人物から投資の話をもちかけられ、計1億円をだましとられたと発表した。詐欺事件として捜査している。
署によると、男性は、マッチングアプリで知り合った日本人女性を名乗る人物と面識がないままSNSでやりとりをし、「外国為替取引すればもうかる」などと言われた。11~26日、指定された12の口座に17回にわたって入金し、計1億円を振り込んだ。口座はいずれも国内の金融機関のもので、日本人名義だった。
さらに振り込むため、金を借りようと知人に連絡したところ、詐欺ではないかと指摘があり気づいたという。引用元:朝日新聞デジタル
投資詐欺に遭うと、この事例のように被害金額が高額となりやすい傾向にあります。詐欺師と出会っても、早い段階で詐欺に気付くことが重要であるといえるでしょう。
株式投資詐欺を繰り返していた犯人が逮捕されたケース
次に、投資詐欺の犯人が逮捕された事例をご紹介します。
株の投資話を持ちかけ多額の現金を詐取したとして、千葉県警は28日、詐欺の疑いで住所不定、会社役員、石川新一郎容疑者(36)を逮捕した。県警は、少なくとも2019年4月からの3年間で、県内外の約60人から約3億3千万円をだまし取っていたとみて裏付けを進めている。
千葉県警生活経済課によると、容疑者はマッチングアプリなどで知り合った女性らに「医者や会社など大口の顧客相手の株式投資をやっている。私に預ければ必ずもうかる」などと投資を持ちかけていた。詐取した金はギャンブルにつぎ込んでいたという。
昨年4月、習志野署に「5千万円ぐらい投資したが、資金が増えない。解約後も返金されない」などと男性から相談があり、県警が捜査していた。
逮捕容疑は20年9月~21年1月、埼玉県川越市の無職男性(66)から計1700万円を詐取した疑い。「私がやったことに間違いない。弁解は一切ありません」などと容疑を認めているという。引用元:千葉日報
この事例の犯人は男性ですが、逮捕容疑は男性から1700万円を騙し取ったこととされています。おそらくですが、犯人はマッチングアプリで女性に扮して男性を騙したものと考えられます。
マッチングアプリには、このように悪質な詐欺師が紛れ込んでいるということは知っておいた方がよいでしょう。
マッチングアプリで詐欺師とばかり出会うケース
インターネット上の掲示板やSNSには、次のような声が数多く投稿されています。
マッチングアプリをやったことがある人か、やっている人に質問です。
マッチングアプリで投資話やビジネスに繋げてこようとする女の人が多くて困ってます。
お金もかかるし、ちゃんと会って関係を深めていってくれるような方と出会いたいと思っています。
手口がいろいろありすぎて、会うまで分からないし、会ってから、すごい時間が無駄になったと感じてしまいます。引用元:YAHOO!JAPAN知恵袋
男女問わず、「マッチングアプリにはすぐに投資の話を持ちかけてくる人が本当に多い」という報告が数多くあります。
それだけ、最近はマッチングアプリに詐欺師が大量に紛れ込んでいるといえるでしょう。
マッチングアプリでの投資勧誘の手口
マッチングアプリで持ちかけられる投資話にはさまざまなものがありますが、ここでは主なものをご紹介します。
詐欺師は、魅力的な異性に扮してマッチングアプリでアプローチし、相手の恋愛感情を悪用して以下のような投資に勧誘し、お金を騙し取ろうとします。
FX
FXとは「外国為替証拠金取引」のことで、日本円と外国の通貨を両替する際の為替レートの差(為替差益)で利益を得る投資方法です。預け入れた証拠金の最大25倍の取引ができ、そのレバレッジ効果によっておおきな利益を得ることが可能という特徴があります。
詐欺師は、FX投資を勧めるように見せかけておきながら、以下のような手口でお金を騙し取っていきます。
- 偽のFXサイトに入金させて、連絡を絶つ
- 代わりに投資してあげるといって資金を預かり、持ち逃げする
- 高額のツールや情報商材を売りつける
- セミナーに誘って高額の料金を騙し取る
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産とは、簡単にいうとビットコインなどの仮想通貨のことです。仮想通貨は円やドルなどの法定通貨とは別に流通しており、流通量に対する需要と供給に応じて価格が変動します。
価格が下がった仮想通貨を買い、価格が上がったときに売ることで、利益を得ることができます。
詐欺師の手口はFX投資詐欺の場合と似ていて、偽の投資サイトに入金させたり、投資資金を持ち逃げしたり、高額のツール、情報商材、セミナーを勧めるなどです。
株・デイトレード
株式投資も株価が下がったときに買い、上がったときに売ることで利益を得る投資方法です。
一般的に株式投資はある程度の長期間にわたって株を保有し、株主優待などの利益を得ることも目的としていますが、その日のうちに売買を完結させて日々利益を得る手法がデイトレードです。
詐欺師の手口としては、以下のようなものがあります。
- 代わりに投資してあげるといって資金を持ち逃げする
- 偽の未公開株を勧めて資金を騙し取る
- 名義貸しをした上で違約金を支払わせる
- 高額のツール、情報商材、セミナーなどを勧める
名義貸しで株を買うのは違法ですが、詐欺師があえて名義貸しをした上で、「違約金を払わなければ捕まってしまうので、お金を貸してほしい」などと懇願してお金を騙し取る手口もあります。
不動産投資
不動産投資にはいくつかの手法がありますが、詐欺師が持ちかけてくることが多いのは、投資用マンションを購入して賃料収入を得ようというものです。
「二人の将来のために」などの口実で頭金を預かり、その後に連絡が取れなくなるというケースが目立ちます。
中には、悪質な不動産業者と手を組み、物件の評価額よりも高額でマンションを売りつけられるケースもあります。
その他の投資
マッチングアプリで詐欺師が持ちかけてくる投資話は、以上のものに限られるわけではありません。
他にも投資信託や金(ゴールド)への投資をかたって資金を預かり持ち去るなど、さまざまな手口があり得ます。
いずれにせよ、出会いを求める場でお金の話をされたらそれだけで怪しいといえます。マッチングアプリで投資の話をされたら。詐欺を疑いましょう。
マッチングアプリにおける投資詐欺師の特徴と見分け方
マッチングアプリにいる詐欺師には多くの場合、わかりやすい特徴があります。以下のような特徴のうち、複数に該当するユーザーは相手にしない方が安全です。
プロフィール写真が美男・美女
マッチングアプリの詐欺師のほとんどは、美男・美女の顔写真をプロフィールに掲載しています。
投資勧誘を仕掛けてくる犯人は、短期間のうちに相手に恋愛感情を抱かせてお金を騙し取ろうと考えているので、美男・美女の顔写真で手っ取り早く異性の気を引こうとしているのです。
しかし、その顔写真は本人ものではなく、ネットで拾った他人のものであることがほとんどです。
一般ユーザーの中にも美男・美女はもちろんいますが、過度に魅力的なプロフィール写真を掲載している相手は警戒した方がよいでしょう。
年収が高すぎる
詐欺師のほとんどは、プロフィールで年収を「1000万円以上」などの高収入に設定していることがほとんどです。
これは、実際に投資で成功しているように見せかけて、投資勧誘に信憑性を持たせるための嘘に過ぎません。実際に年収1000万円以上の人がマッチングアプリを利用していることもありますが、ごく一握りです。
年齢の割に年収が高すぎると思える相手は、やはり警戒した方がよいでしょう。
投資家や自営業を名乗っている
また、投資詐欺を仕掛けてくる犯人は、職業について「投資家」や「自営業」と名乗っていることが多いものです。これも、「投資のプロ」であると見せかけるための虚偽です。
最近は若くても投資で利益を得ている人が増えてきたのも事実ですが、投資の利益だけで優雅な暮らしをしている「投資家」はごくわずかしかいません。つまり、ほとんどの人は他に本業を持ちながら投資をしているのが実情です。
マッチングアプリで「投資家」などと名乗っている人を見かけたら、その時点で詐欺を疑った方が安全です。
金持ちアピールをしている
詐欺師はさらに、高級車や豪邸、豪華なパーティーなどの写真をアプリ上に掲載するなどして、金持ちであることをアピールしていることが多いです。
これも、投資で成功していると見せかけるとともに、投資をすればこのように優雅な暮らしができるという欲望をかき立てるための虚偽です。
まともな人なら、出会いの場で露骨に金持ちアピールなどしないはずでしょう。アピールが強い相手は警戒した方がよいといえます。
アプローチが積極的
詐欺師は、ターゲットとマッチングが成立すると積極的に好意を示してアプローチしてきます。
好意を寄せられた方は舞い上がってしまうこともありますが、詐欺師はお金を騙し取る目的で好意を寄せてきているに過ぎません。
今までに対面の出会いの場で熱烈なアプローチを受けたことがない方は、マッチングアプリでも熱烈なアプローチを受ける可能性は低いはずです。不自然なほどに積極的なアプローチを受けたら、何か裏があると考える方が自然です。
すぐLINEに移行しようとする
マッチングするとすぐにLINEに移行しようとするのも、詐欺師の大きな特徴の一つです。
アプリ内では勧誘行為が禁止されており、そのまま投資勧誘をするとアカウントが停止されてしまいます。そのため、詐欺師は他の手段でやりとりしようと持ちかけてきます。
デートの誘いには応じない
詐欺師は積極的にアプローチしてくるにもかかわらず、デートに誘うと受け流して応じようとしません。
マッチングアプリでの投資詐欺では、ターゲットと一度も会わずにお金を騙し取る手口が主流となっています。プロフィール写真もほとんどが虚偽なので、実際に会ってしまっては詐欺師の目的を果たすことができません。
出会いを求めてマッチングアプリを利用したにもかかわらず、詐欺に遭うと出会えないばかりかお金だけを騙し取られてしまいますので、くれぐれも注意が必要です。
マッチングアプリで投資勧誘を受けたときの対処法
マッチングアプリには数多くの詐欺師が紛れ込んでいるため、投資勧誘を受けてしまうことは避けられないといっても過言ではありません。
しかし、投資勧誘を受けた時点で正しく対処すれば、金銭的な被害に遭うことはありません。正しい対処法は、以下のとおりです。
はっきりと断る
投資勧誘を受けたら、はっきりと断るのが基本です。「投資話など求めていません」と、明確に拒否しましょう。
投資話を聞いてしまうと詐欺師の術中にはまり断りにくくなることもありますが、お金を出すことだけは拒否してください。実際に会ってもいない相手から送金を指示されることに疑問を抱くべきです。
相手をブロックする
投資勧誘を拒否しても、詐欺師がすぐに引き下がるとは限りません。しつこく勧誘される場合は、相手をブロックすれば足ります。
どんなマッチングアプリにも相手をブロックする機能がありますし、LINEにもブロックの機能があります。いずれにしても、拒否した後は相手との連絡を絶ちましょう。
運営会社に通報する
相手との連絡を絶つ方法として、アプリの運営に通報するという方法もあります。
ほとんどのマッチングアプリでは勧誘行為が禁止されていますので、アプリ上のやりとりで違反行為が認められると相手のアカウント停止などの措置をとってもらえます。
悪質なユーザーをマッチングアプリから排除するためにも、通報はしておいた方がよいでしょう。
マッチングアプリで投資詐欺の被害に遭ったときの相談先
ここからは、マッチングアプリにおける投資勧誘で金銭的な被害に遭ってしまったときの対処法をご紹介していきます。
一人で詐欺師に対処することは難しいので、まずは以下の窓口に相談することをオススメします。
警察
お金を騙し取る行為は刑法上の詐欺罪に当たる犯罪ですので、警察に相談しましょう。被害届を提出すれば、警察の捜査により詐欺師を逮捕してくれる可能性もあります。
ただし、警察に被害届を提出しても動いてくれるとは限らないこと、詐欺師も足がつかないように工夫しているため、警察が動いてくれたとしても詐欺師が逮捕されるとは限らないことも知っておく必要があります。
とはいえ、相談しなければ警察が犯罪を認知することはできませんので、まずは相談することが重要です。「#9110」に電話をすれば最寄りの相談窓口を案内してもらえるので、そこに相談しましょう。
国民生活センター
国民生活センターでも、さまざまな消費者被害に関する相談を無料で受け付けています。
詐欺師の連絡先が判明している場合はセンターから連絡を取ってくれることもあります。ただ、警察とは異なり強制力をもって対応してくれるわけではないので、あまり実効的な解決は期待できないのが実情です。
とりあえず相談したいというときに利用するとよいでしょう。局番なしの「188」に電話をすれば、最寄りの相談窓口を案内してもらえます。
法テラス
法テラスでは、収入や資産に関する一定の条件を満たせば、無料で弁護士や司法書士に相談することができます。そのまま、事件の解決を弁護士・司法書士に依頼することも可能です。
ただし、原則として弁護士・司法書士を選べないため、ネット詐欺に詳しくない弁護士・司法書士が担当する可能性があることに注意が必要です。
弁護士・司法書士
最もオススメの相談先は、ネット詐欺に強い弁護士・司法書士の事務所です。状況に応じて、法的観点から最適な解決方法をアドバイスしてもらえます。
相談は原則として有料ですが、無料相談を受け付けている事務所も少なくありません。相談料について事前に確認した上で、相談を申し込むようにしましょう。
マッチングアプリの投資詐欺で返金を受ける方法
マッチングアプリの投資詐欺でお金を支払ってしまった場合、返金は容易ではありませんが可能性はあります。
具体的には、以下の方法をとることが必要です。
口座凍結制度で返金を申請する
詐欺師から指示された口座に送金した場合、その口座が日本国内のものであれば、振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結制度により返金を受けられる可能性があります。
この制度は、口座の不正利用が認められた場合に金融機関がその口座を凍結し、残っている預金の中から被害者に返金するというものです。
この制度を利用するためには、警察に被害届を提出していなければなりません。早急に被害届を提出した上で、送金先の金融機関に相談しましょう。
チャージバックで返金を受ける
詐欺師から勧められたツールや情報商材などの商品をクレジットカード決済で購入した場合は、「チャージバック」により返金を受けることが可能です。
チャージバックとは、クレジットカードの不正利用が認められた場合にカード会社がその取引を取り消し、加盟店が利用代金を返金することです。
クレジットカードを使用して被害に遭った場合には、カード会社に被害を申し出て相談しましょう。
弁護士・司法書士に依頼する
以上の方法で返金を受けることができなかった場合は、詐欺師本人に対して返金を請求しなければなりません。
しかし、詐欺師との返金交渉や民事裁判を被害者自身が行うことは難しいですし、そもそも詐欺師の氏名や住所、連絡先がわからない場合がほとんどでしょう。
そんなときは、弁護士・司法書士の力を借りて対処することが有効です。
マッチングアプリの投資勧誘で困ったときは弁護士・司法書士に相談を
マッチングアプリの投資勧誘で困ったときは、一人で悩まず弁護士・司法書士に相談することを強くオススメします。専門的なアドバイスを受けることで、正しい対処法がわかるはずです。
金銭的な被害に遭った場合には、弁護士・司法書士が詐欺師との返金交渉や民事裁判の手続きを的確に進めることで返金を受けられる可能性が高まります。
詐欺師の氏名や住所がわからない場合も、弁護士・司法書士が法的手続きで調査してくれます。
返金を受けるためには早期の対処が重要ですので、被害に気付いたら早めに弁護士・司法書士に相談しましょう。
まとめ
マッチングアプリにおける投資勧誘のほとんどが詐欺であることは、最近では多くのユーザーが知るようになってきました。
それでも、詐欺師は巧妙な手口を使ってきますので、お金を騙し取られる人が後を絶ちません。
マッチングアプリで投資勧誘を受けたら、ただちに拒否することが最も重要です。もし、被害に遭ってしまった場合は、早急に弁護士・司法書士の力を借りて、返金を請求していきましょう。