- 仮想通貨(暗号資産)を使った詐欺が増えている
- 仮想通貨詐欺の具体的な手口・事例がわかる
- 仮想通貨詐欺に遭った場合の相談先がわかる
- 想通貨詐欺を弁護士に相談すべき理由がわかる
仮想通貨は暗号資産とも呼ばれ新しい通貨として注目されていますが、将来的に資産価値として期待できることもあってか、様々な詐欺の手口に悪用されています。
特に最近では、マッチングアプリやSNSを通じて仮想通貨の投資話を持ちかけられて、お金を騙し取られるネット詐欺が横行しています。
そんな仮想通貨詐欺に遭って、泣き寝入りしたくない被害者が知りたいのは「どのようにすれば返金できるのか?」という事ではないでしょうか。
そこで、この記事では仮想通貨詐欺の手口、被害に遭った際の相談先、返金方法などについて詳しく解説していきます。
仮想通貨(暗号資産)とは?
仮想通貨とは、実物の無い電子データによる資産ですが、「商品やサービスの取引や電子決済に使用できる」「法定通貨(円、ドルなど)と交換できる」「取引が電子的に記録できる」という特徴の財産的価値を持った新しい通貨のことです。
ビットコインをはじめ様々な種類のコインが存在し、仮想通貨は交換業者を介して一般の人も売買をおこなうことができます。
価格が上昇すれば大きなリターンが得られるため、近年、投資や資産形成などに注目されており、取引量も増加傾向です。それに目を付けた、悪質な仮想通貨詐欺の手口が増えており、金融庁・消費者庁・警察庁は利用にあたって注意を呼びかけています。
※正式名称は暗号資産ですが、一般的に仮想通貨という名称のほうが多くの人に知られていますので、この記事では「仮想通貨」に統一して説明します。
仮想通貨詐欺のよくある手口とは?
仮想通貨は、新たな投資対象として注目されており、話題性が多い反面、その中身について理解している人が少ないためか、詐欺行為や悪質商法に利用されやすいという側面があります。
仮想通貨を利用した主な詐欺手口や事例についてご説明します。
マッチングアプリから仮想通貨投資を勧誘する手口
マッチングアプリ上で知り合った異性に「必ず儲かる…」「僕(私)を信じて…」などと、説得をおこない、仮想通貨投資を始めた途端に、アカウントがロックされて出金できないというトラブルが増えています。
マッチングアプリでは、「国際ロマンス詐欺」という手口も増えており、外国人を名乗る男(女)が恋愛感情を抱かせて、仮想通貨に投資させてお金を持ち逃げする手口が横行しています。中には数百万円以上も騙し取られたというケースがあります。
マッチングアプリ、出会い系サイト、SNSなどのWebサービスで知り合った相手が投資を提案してきたら、その相手は詐欺師の可能性が高いため要注意です。
LINEから勧誘する手口
突如、得体の知れないLINEグループへ招待され、『投資情報を交換するグループ』ということで話が進んでいき、最終的に投資詐欺に勧誘してくる手口があります。LINEグループ内の会話で『●●先生』といった投資の先生らしき人物の話題が出て、「先生のアドバイスで儲けた」などのやりとりが展開されていき、無許可で招集された人たちの関心を引くことになります。
このやりとりで話を展開させているのは仕込みの詐欺師たちであり、先生の指導でどれだけ儲けることが出来たといった、偽造したであろう実績表などの画像を提示してきます。そのLINEグループのやりとりを目にして、興味を持っ人たちを今度は、その話題に上がっている架空の『先生』のアカウントへ誘導していきます。
先生とされる人物のLINEアカウントを追加すると、先生から個別でのヒアリングが展開されていき、最終的には美味しい投資の儲け話を通して商材やツールを売りつけられるという流れになります。
得体の知れないLINEグループへ招待されたら、すぐさまに退会するようにしましょう。
投資セミナー・講演会から勧誘する手口
詐欺グループが投資セミナーや講演会を開いて「必ず儲かる投資方法がある」と勧誘して仮想通貨に投資させる手口があります。講演・セミナーで「これから伸びるコインがある…」「海外取引所にお金を預ければ高い利息がついて儲かる…」といったように、おいしい話を持ちかけて投資させる詐欺です。
このようなセミナーや紹介による集客はマルチ商法を得意とする詐欺師がよく使う手口です。投資した当初は配当金を支払ってくれるため信用して投資額を増やしたら、その後、相手とは一切連絡が取れなくなりお金は戻ってこなくなります。
実体がよく分からない投資案件にお金を預けるのはリスク大です。また、知人からセミナーに誘われた場合も、その人がマルチの一員かもしれないので、安易に信用してはいけません。
無登録の仮想通貨販売・取引業者が騙す手口
独自の仮想通貨を開発したと偽って架空のコインを販売する詐欺があります。本来、仮想通貨を販売する場合、金融庁・財務局に登録が必用ですが、無登録業者が架空の話しをでっち上げて投資させたり、利用者が持つビットコインと交換して持ち逃げするような手口があります。
また、海外の仮想通貨取引所が詐欺を働くようなケースもあります。(実際は日本の詐欺師が運営する取引所)入金したもののお金が反映されず、その後事業者と一切連絡が取れなくなったり、取引所のサイトにログインできなくなるケースがあります。
聞いたことがない海外の仮想通貨販売所、取引所を利用するのは詐欺に遭うリスクが高いです。実際の利用者の口コミや評判も併せて調べた上で検討しましょう。また、国内の事業者の場合は、金融庁に登録済かどうかを調べましょう。
【参考】:暗号資産交換業者登録一覧|金融庁
高額の仮想通貨ソフトを購入させる手口
仮想通貨のマイニングソフトを購入すれば、毎月一定の収入が得られるなどと偽り多額の金銭を支払わせる手口があります。
「毎月最低でも30万円分のビットコインを継続的に受け取れる」と誘いSNSでユーザー登録をすると仮想通貨のマイニングをすると謳うアプリ「オートビットチャージ」を購入するように誘導します。サイト上ではアプリがインストールされたタブレット版が20万円、アプリのダウンロード版が10万円で販売されていました。実際は毎月一定額のビットコインを受け取れるという仕組みにはなっていませんでした。
【引用】:「毎月最低 30 万円分のビットコインを受け取り続けることができる」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起|消費者庁
この詐欺グループは、架空のカリスマ的指導者を創作し、サイト上に架空の利用者たちの成功体験談を掲載していました。
このように仮想通貨詐欺では、ネット上でサクラが「儲かった…」「副収入に最適…」というような、体験談を載せることで安心させて、利用者を勧誘する手口が使われます。
情報商材詐欺によくある手口ですが、「確実に儲かる」「不労所得が得られる」などの宣伝文句を安易に信じてはいけません。
仮想通貨詐欺の返金は難しい?
詐欺被害に遭ったら、何としてでもお金を返金させたいものですが、仮想通貨詐欺は一般的に他の詐欺事案と比べて返金が難しいと言われています。それは以下のような理由からです。
盗まれたお金の流れを追いにくい
暗号資産は法定通貨と違ってインターネット上にある電子情報ですのでお金の流れを追いにくいという特徴があります。
詐欺師は入金されたお金を「別な仮想通貨に変える」「他の取引所で交換する」など、巧妙に移転させるため、返金させるのは困難なケースがあります。
犯人の特定が難しい
仮想通貨の取引きをすべてインターネット上で行った場合、犯人の顔や名前はおろか、相手の所在すら知らないというケースがあります。
詐欺師は身分を偽っている可能性が高く、会社も実際には存在しないこともあります。そのような場合、所在確認や犯人特定が難しかったり、調べるためには相当な時間と労力がかかることがあります。
証拠が隠滅されやすい
仮想通貨詐欺の場合、被害者は騙されたと気づくまでに時間がかかることがあり、その間にお金が抜き取られるというケースがあります。
取引所にログインできないのは、システムの不具合や自分の操作ミスかと思っている間に犯人は証拠を隠滅して逃亡することがあります。
詐欺に遭ってから時間が経過するほど証拠は残っていない可能性が高くなります。
仮想通貨詐欺に遭った場合の相談先とは?
仮想通貨詐欺に遭った場合の相談先としては、以下の相談窓口があります。
金融庁 金融サービス利用者相談室
金融庁は金融トラブルに見舞われた人が誰でも相談できる「金融サービス利用者相談室」を設置しています。仮想通貨詐欺についても被害者から話を聞いた上で、他機関の紹介や解決方法のアドバイスを行ってくれます。
ただし、公的機関ですので相手との交渉や返金仲介手続きなどは行ってくれません。
【参考】:金融サービス利用者相談室|金融庁
消費者ホットライン
消費者庁は各種商品やサービスのトラブル相談窓口として「消費者ホットライン」を設置しています。相談者の最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口を紹介してくれます。
仮想通貨詐欺についても相談に乗ってくれますが、組織の性質上、返金手続きは対応してくれません。なお、相談は無料ですが、通話料金は自己負担になります。
【参考】:消費者ホットライン|消費者庁
警察
お住まいの地域の警察に仮想通貨詐欺について相談しても、「専門担当者がいない」「管轄外」などにより、対応してくれないケースがあります。その場合、警察相談専用電話#9110に相談してみるとよいでしょう。
詐欺について詳しい捜査官が聞き取りをしてくれて、事案によっては警察が本格的に捜査を開始してくれる可能性があります。
「被害届を出したい」「詐欺師が許せない」「逮捕して欲しい」という場合には、警察へ相談すべきです。しかし、返金させたいというのが目的ならば、警察は利用者のお金を取り戻すことが仕事ではありませんので、多くは期待できません。
弁護士・司法書士に相談する
弁護士・司法書士は依頼者の代理人として被害回復や告訴などを主体的に行ってくれます。返金させたい場合もすぐに相手側と交渉に入ってくれます。
このように第三者の依頼を受けて返金交渉ができるのは法律の専門家だけです。騙し取られたお金を「すぐにでも取り返したい」「返金させたい」というなら、弁護士・司法書士が最適な相談相手となります。
仮想通詐欺の返金を弁護士に相談すべき理由
詐欺行為は刑法上の犯罪であるのみならず、民法上は不法行為や不当利得となり被害者は加害者に対して損害賠償や返還請求をすることができます。
仮想通貨詐欺は返金させるのが難しいケースがありますが、詐欺に強い弁護士ならば、経験豊富ですので、取り戻してくれることを期待できます。弁護士に相談すべき理由を見ていきましょう。
弁護士会照会を利用した調査ができる
「詐欺を行った者がどこにいるかわからない…」という場合、弁護士であれば被害者の持つ情報を手掛かりに弁護士会照会(弁護士法第23条)を利用して相手方の所在を調査して突き止めることができる可能性があります。
弁護士会照会とは弁護士が依頼を受けた事件について証拠や資料を収集できる制度で、官公庁、企業、事業所に対して照会することができます。照会を受けたら、それに答える義務が生じます。以下のような事実の調査ができます。
【携帯電話会社に対する照会】
相手方の携帯電話番号を把握できていれば、携帯電話会社に対してその番号の契約者の氏名や住所、請求書送付先などを調べることができます。
【金融機関に対する照会】
相手方の利用していた金融機関が分かっている場合には口座名義人の氏名や住所を調べることができます。
【相手方が利用した施設・店舗に対する照会】
詐欺組織が施設を利用してセミナーなどを行っていたケースでは、特定時期に宿泊・利用したホテルなどの運営会社に対して、宿泊・利用の際に届け出た氏名や住所などを調べることができます。
詐欺師も自分の身元がばれてしまったら、観念してお金を返金する可能性があるでしょう。
弁護士名義の内容証明郵便を送付できる
被害金額や被害日時、相手方の所在地が分かった際には「内容証明郵便」によって支払いを請求するという方法があります。
内容証明郵便とは「いつ、どのような内容の文書が誰から誰に」差し入れられたのかを日本郵便株式会社が証明してくれる制度です。この内容証明郵便についても弁護士に依頼して作成してもらうことができます。
内容証明郵便は訴訟となった場合に、被害者側の意思表示の内容と時期について強力な証拠となります。弁護士名義で送付することで、詐欺師に対して強いプレッシャーを与えることができます。
相手方との交渉手続を一任できる
被害者本人が加害者と交渉することはできますので話し合いの場を持ってみることは一つの方法です。ただし、相手はプロの詐欺師ですので個人が連絡しても巧妙にかわされて返金できないケースは多いというのが実情です。
一方、弁護士が代理人として交渉に出てきたら、相手も無下には扱えません。交渉が決裂したら裁判になる可能性があることを詐欺師も理解しています。裁判になることを嫌がることが多いため、素直に返金に応じる可能性があります。
裁判手続を一任できる
任意での話し合いで解決できない場合には、裁判所に民事裁判を提起して取り戻しを請求していくことになります。
当初から弁護士に依頼しておくことで訴訟を見据えた証拠固めが行え、訴訟内での適切な主張・反論を行うことができます。また、相手が出廷しない場合には短期間で終結し勝訴判決を取れる可能性もあります。
そして判決に従った支払いを相手方が拒む場合には強制執行を行います。強制執行により相手方の不動産や動産、預貯金を差し押さえることで、被害額の返金が実現可能になります。
弁護士であれば、裁判関係手続きをすべて任せることができるので依頼するメリットは大きいでしょう。
刑事告訴・告発が受理されやすい
「詐欺師が許せない」という場合、刑事告訴をおこなうことになりますが、弁護士は捜査機関に刑事告訴する際に代理で書面手続きを行ってくれますので、事件として立件されやすくなります。
その結果、相手が逮捕・起訴され有罪判決を受けると刑事罰が科されることになります。
また、刑事手続き中に加害者と示談による和解手続きを進めることもできますので、弁護士に依頼しておくことでスムーズな解決につながる可能性は高いでしょう。
詐欺事案の弁護士費用相場
仮想通貨詐欺の返金を依頼した場合の弁護士の費用は事務所によって異なります。詐欺案件に注力している事務所ならば、相談料は無料、調査料は無料、成功報酬という費用体系が多くなっています。事務所によっては着手金が発生するケースもあります。
成功報酬の費用相場は案件の難易度で変わるケースがありますが、一般的に戻った金額の10%~30%が多くなっているようです。
弁護士に依頼すれば費用はかかりますが、多くの金額が返金されることを考えれば必用なコストと言えるでしょう。まずは調査料0円の事務所に、返金の可能性について聞いてみることをおすすめします。
まとめ
仮想通貨詐欺に遭った方ならば、「相手が許せない…」「泣き寝入りしたくない…」と怒りの感情が湧くのと同時に、「自分のお金を何としてでも取り戻したい!」と思われるのではないでしょうか。
仮想通貨詐欺の返金請求は簡単ではありませんが、これまで説明したように優先すべきは弁護士への相談です。詐欺は被害に遭ってからできるだけ早期に解決に動くほうが返金の確率は上がります。
まずは詐欺被害に強い弁護士に相談されることをおすすめします。